10.初登校
次の日
俺が目を覚ますといい匂いがしてきた。
そうだ、ここって学校の寮だっけ?
で、この匂いはパンの焼けた……
部屋のドアを開けるとエプロン姿の正樹がキッチンに立っている姿が目に入ってきた。
「おはよー。」
「柾美、そろそろ起こそうと思ってたとこだよ。おはよう。」
テーブルにはトースト、ベーコンエッグ、サラダがキレイに並べられる。
え、これって……
「もしかして俺の分まで作ってくれたの!?」
「うんっ一緒に食べた方が美味しいじゃん。」
うわ〜正樹様!
「お母さんって呼ん「呼ばなくていいから早く着替えておいで。」
朝食は文句なく美味しい。
「あのさ、正樹ばっかり悪いしご飯作るの交代制にしない?」
「別にいいよ。好きでやってるし、調理の腕あげる練習にもなるし。気にしないで。」
「でもなぁ……じゃあ食費は出させてよ。」
「う〜ん…じゃ一ヶ月分の半分くらいいい?」
「うん。」
「ときどき買い物してもらっていい?」
「ああ必要なものメールで伝えてくれると助かるよ。」
交渉成立。
スーパーの場所は教えてもらったから大丈夫だよな。
身支度を終えた俺たちは寮を出る。
いよいよ新しい学校か。
途中、正樹の友達に会って軽い自己紹介をする。
このまま普通に学校生活送れたらいいなぁ。
だけど俺は知らなかった。
自分を見る生徒たちの中に顔を赤らめる者が数人いたということを。
やっぱり転校生って目立つよなぁ。
「あのさ、俺職員室行くよ。」
今は昼間だから校舎の方でいいんだっけ。
「昇降口入ったら右に曲がって廊下をまーーすぐ進んで調理室を右に曲がった先を左に曲がるとあるよ。」
「複雑だね。」
「ついて行こうか?」
「大丈夫。とりあえず一階にあるんだよな。」
たかが学校の職員室だ。
問題ないじゃん。
そんなワケで数分後……
うん 、迷ったね。
普通わかりやすいもんだよな!?
「柾美?こんなところでどうしたの?」
あれ、聞き覚えのある声が聞こえてきた。




