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Ep7;新たなる友人

 時間は朝十時ほど、俺こと昼神暁ひるがみあきらは城下街の商店街にやってきている。

 今まで俺が見た限り、今まで衣類型の店は無かったため、きっとこれから向こうにそう言ったモノがあるのだろう。そう思って歩を進める。

 すると。


「あれ? あの(にぃ)ちゃんじゃねえか? アイリ様と引き分けたって言うのは……」

「黒髪に漆黒と真紅のオッドアイ……。きっとそうよ。アイツに違いないわ」


 アイツだアイツだ、と俺を見世物の様にして集まりだす商店街の人達。

 そう、俺は昨日の試合ではあの怪力王女に引き分けたのだ。あの戦斧(ハルバート)を軽々と振りまわすアイリス王女は、力も強く単騎で魔獣狩りをすることのできるB級騎士様で有ったらしく、どこからともなくやって来た異那人がそんな人に引き分けたと言う事は、驚きであり瞬く間に町中の噂話になってしまったようだ。


 口に戸は立てられない。

 それに昨日は見物の人も来ていたらしく、俺は異世界来訪二日目にして噂の人になってしまった。

 困ったモノだ。今の俺の容姿は、どこかヨーロッパじみているこの国では目立つし、それにオッドアイである事も拍車をかけている。


 要するに、悪目立ちするのだ。俺なんかと引き分けてしまったアイリさん(昨日の試合の後、皆そう呼ぶから俺も愛称で呼ぶよう言われた)にも、俺がこんな風に目立つのは悪い気がする。


 思いながらも、俺は人の群れを引きつれて商店街を歩いていく。


 俺が何故悪目立ちするこの商店街を歩いているのかと言うと、衣服を買うためである。

 お金は王様から渡された。理由を問うと、俺の闘い方に感銘を受けたから、らしい。


 こちらとしては今の所衣服も二、三着しかなく、昨日の服は破れてしまったので(試合後、見てみたら腹部が破けていた)好都合では有るが、王様からそんな事をされては、と拒否したのだがそれは王様と王女様の二人に却下されてしまった。どうしたものか……


 渡されたのは銀貨十枚。

 

 この世界の知識の無い俺は、試合の後王様にもう一つこの世界の事を教えてもらえるようお願いしたら、アイリさんが自ら名乗り出して色々教えてくれた。初日の罪滅ぼしがドータラコータラ言っていた。

 

 彼女曰く、この世界では、共通の貨幣として金貨、銀貨、銅貨がある。銅貨三十枚で銀貨一枚分、銀貨二十枚で金貨一枚分なのだとか。銅貨は、日本円で言えば約三百円程だと言う事も知った。有る一部の国では金貨の上に白金貨なんて言うものがあるらしいが、今の所俺には基本知識だけで十分なため、その話は聞かずに出てきた。


 よくよく計算すると、王様とアイリさんからもらったお金は服を買うには多すぎる。俺にくれるとは言っていたが、余ったお金はきちんと返すようにしよう。

 王様と王女である彼らにも用事があるだろうから、速く行くためとも思ったがやっぱり貰いすぎな感じは否めない。


「おい、そこの黒髪の兄ちゃん。なんか買ってかないかい?」


 どこかから聞こえてきた俺を呼ぶのであろう声に、俺は首を左右に振ってみるが特に人は見当たらない。と言う事は、


「兄ちゃんどこ見てんだい。こっちだよこっち!」


 やはりそうか。

 そう思いながら、道に座る人を見る。


 その人は全身に黒のローブを身につけ、頭にもやっぱり黒の、三角帽をかぶっていた。

 声音から察するに、女性だろう。

 快活な、周りも元気にしてくれるような声だ。


「あぁ、済まない。そこだったとは思わなくて」

「よし、そう思うんならなんか買ってけ」


 少し怒ったような声でそのひとが言ったため、謝罪の言葉を一言述べる。

 すると彼女は俺の方を見て、笑顔で購入の請求をしてきた。

 見ると、彼女が売っているのは腕輪や指輪、ネックレスにペンダントと、装飾品ばかり。それらは皆一様に、何らかの魔力を放っていた。


「でもそれ、魔術品だろ? 高いだろ」

「おっ、兄ちゃん解んのかい? そうさ、これは全部魔術品さ。だから少々ここらの装飾品系の店から見ると値は張るが、他の国から見れば格安さ。この国じゃ魔術品はなじみが薄いからね」


 魔術品とは、何か身につける物に何らかの魔術を仕組んだ品物だ。この国では圧倒的に、魔導師よりも騎士の方が多いし、彼らは皆魔術品に頼らないし、更にここにはそれを好む風習がある。

 ここでそんな物を売っていては、上がったり下がったりだろう。

 買おうにも、俺がもらった銀貨は、服買うためのモノだしなぁ。


『アキラさん。それ、買っておいた方がいいですよ』

「いやぁ、でも……って、何で出てきてんの……!?」


 右側から聞こえた俺を呼ぶ声に、そちらを見ると、見覚えのある四等身。

 いつだかの精霊さんが其処に居た。


「兄ちゃん。そいつぁ、精霊かい? 面白いの連れてるね」

『へぇ、貴方私が見えるんですか。やっぱり高位魔術品を売っているだけは有りますね』

「おっ、アンタは其処まで解るのかい。最近そう言う奴いなくてねぇ、アタシは嬉しいぞ……!!」

『そんな、涙ぐまなくても……』


 何故かは知らないが意気投合している様子のお二方。現在二人だけの世界形成中に付き、俺はハブられてます。暇だ! もの凄く暇だ!!

 よし、そこら辺に有る、なんか一風変わってそうな服でもいじってようかな。

 これが面白そうだな、なんか不規則に黒いの出てるし、気にいった。


 俺は黒い煙みたいなものがモヤモヤと噴き出す、赤色の外套を羽織ってみる。

 その時、何かが噛み合ったようなカチリと言う音がしたと思うと、黒い煙は出なくなった。

 何でだ?


『あっ、アキラさん何してるんですか……!! それ超貴重品ですよ!』

「……え?」


 マ ジ で !?


 やべぇ、やべぇぞ! 貴重品ってことは高額な筈。そんなんに手ぇ付けちまったの俺!?

 しかもなんか最初出てた煙は消えてるし、どうしよう……?


『シル、これはアキラさんに購入させます。本当に、本当に申し訳ありませんっ……!』

「あぁ、それここじゃ売れないだろうし、それになんかその子、アキラくん気にいったみたいだからあげるよ。だからこれからもよろしく頼むよ」

『そ、そんな……、じゃあ今度また来ますね』


 必死にシルさん(露天商のおネェさん)に謝る指輪の精霊に対し、シルさんは親友に対するように接する。どうやらこの外套は俺の物になるようだ。

 その態度に感動する指輪の精霊。って、勝手に予定決めてる!? まぁ、予定はあんま無いからいいけど……


「そうかい、じゃあ、これあげるよ。それありゃ、どこに居てもアタシの居場所分かるから」

『はい、ありがとうございますっ』


 小さな宝石のような物をシルさんが渡す。指輪の精霊は涙ぐんでいるようだ。


 何だろう、この感じ。

 俺、口出しいしちゃいけない気がする。


『では、また』

「あいよ、またね。あとアキラくんもまたね~」

「あ、はいまたいつか。これも譲っていただいて、ありがとうございました」


 流れるように別れのあいさつに移った両雄に、一息遅れて別れの挨拶と感謝を述べる。


 帰り道、色々と服を購入した後、指輪の精霊はこんな事を言いだした。


『アキラさん。シルさんはいい人ですよねぇ、火精霊サラマンダーの宿る外套を下さるんですから』

「……へ?」


 何だか妙な予感のする一言は、精霊の笑顔によって誤魔化されるのだった。







 貰った外套の能力は後ほど。

 宝石の方は、ワンピースで言う所のビブルカード。

 要するに人の居場所の解る石です。


 最近は勢いでやっておりますので、チョクチョクおかしな点があるかも知れません。見つけたら、報告していただけると嬉しいです。(*^_^*)


 感想も書いてくれるともっと嬉しいです。(*^^)v 


 では、またの機会に。ノシ

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