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Ep14;発見、入手、魔光石



 あの盗賊との戦闘から一時間ほど進んだ所。空はもう、赤く染まり始めている。

 その場所で、俺は大量の魔物(モンスター)達を殲滅(せんめつ)していた。


「クソッ……どんだけいんだよ! キリがねぇ!!」


 手にした大剣(クレイモア)で、四方八方から襲いかかってくる獣の姿をした魔物(モンスター)。魔獣達を片っ端からたたっ切る。

 それでも、切っても切っても何処からかわいてくる魔獣達に、正直な所俺は疲弊していた。


『焦らないでください、アキラさん。私がこの原因を探ります』


 指輪から顕現し、飛んでいくリン。

 リン達精霊から見てもこの状況はオカシイらしく、彼女は自身の身体を霊体に変化させて周囲を探し出す。当然のように、その姿は半透明だ。

 ちなみにサラは俺の受けきれない攻撃を、外套の中から防いでくれている。

 無論、彼女の得意な火焔魔術でだ。俺は魔術に関する知識は少ないが、彼女達はそれが豊富だ。その知識と個体として持っている能力を使い、彼女達は俺の魔力を喰う事で上級の魔術をホイホイ使えるようになるらしい。

 魔力だけは魔王か勇者並。とは彼女達二人の言だ。

 俺はそのお二方のどっちかと渡り合う可能性があるのだから、あって損はないだろう。まぁ今の所は、宝の持ち腐れなんだが。


「吹き飛べ!!」


 叫び、俺は手に持つ大剣を横薙ぎに大きく払う。

 この手に持つ大剣は、世に言う所の超重武器だ。そう呼ばれる武器はこの世界に数多くあるが、その武器には必ず一つの共通点がある。

 そう、金剛力(バカぢから)のスキルでもない限り、攻撃の軌道が制限される事だ。

 制限された軌道とは大きく分けて二つ。上方からの(たた)き落としか、もしくは薙ぎ払い。その二つが超重武器の攻撃動作だ。

 それ故に、基本的に一定以上の重さを持つ武器は多対一の戦闘には使えない。


 それが一般常識。

 しかし此処は、常識と言う手錠を外された自由の場所。永久(とわ)に寝むる神の夢。


 前方、後方、左右に上下。魔獣(ケモノ)は何処からでもやってくる。こちらの都合など全く意に介さずに。

 

 それに対してこちらだけ武器の攻撃が遅ければ直ぐに噛みつかれて喰い殺される。ならば速さを上げて、魔獣(ケモノ)達の攻撃に追い付けばいい。

 とはアイリさんの言である。

 これを言いきった時のあの時の事は、今でも鮮明に蘇る。


 共に稽古を付けてもらっている兵たちの断末魔が聞こえる中、彼女は喜悦に歪んだ表情をしていた。

 口元はネジ曲がり、冷徹な視線でこの身を射ぬくあの顔はまさに、恐怖と言う言葉を具現化したものに思えた。


 考えていると、段々嫌になってきた。これはもう考えない事にしよう。


 気付くと、周囲の魔獣は粗方(あらかた)一掃し終えて、色のついた半透明な石ころがゴロゴロと足元に転がっている。

 色は赤、青、緑、銅色と、基本的に四つの色をしている。一つ二つ黒か白の石が混じっているが、あの色は如何言う意味を持つのだろうか。大きさもまばらだし濁っている石もある。

 こんな経験は今まで無かったから、如何していいのか良く分からない。


『主、何時ぞや教えたであろう。それは魔光石(プリズム)、各属性ごとの魔力を含んだ石じゃ。専用の換金所もあるし、その含まれた魔力に方向性を持たせて放出すれば、特殊な魔術として扱う事も出来る。

 更にそれに適性のある人間ならば、魔光石と融合して新たな魔術や特殊な能力が発現する事もあるんじゃよ。

 特殊な能力は、まぁ主は持っているし意味はないかも知れんの。

 あと、個人の成長の上限を底上げすると言う事も聞いたことが有るの。

 これが前吾(われ)らが主に教えた事じゃよ』


「そうだったか、忘れてた。ありがとな、サラ」


 そう、これは魔光石。

 俺はサラとリンに教えては貰ってあったが、今までギルドで討伐系の依頼は受けていないから見た事がなかったため、それが何なのか解らなかったのだ。


「それじゃ‘移せ’」


 一つの言霊に反応し、俺の身体から漆黒の炎が滲みだす。

 それは、リンに教えてもらった唯一の中位の空間魔術にして「獄焔」との合わせ技。広範囲に獄焔を放ち、それに触れた物を任意で自らの作りだした別空間に移すと言うモノ。


 名称は「黒界転移」。

 ギルドで受けた依頼で使っていて知ったのだが、この黒焔は俺が燃やそうと思わなければ火としてだけではなく、俺のもう一つの手足として使用可能な程になるらしい。

 感覚神経と言うモノが有る訳ではないのだが、それでもそれが触れている物とその形状などが瞬時に理解できるようになっていた。

 そして、焼き払おうと思えば何であろうとも燃やしつくすことが可能だと言う事も解った。

 

 その黒焔の持つ特性から、広域に放った感覚から魔光石のみを感じ取り自己の持つ別空間に淡々と移していく。

 すると、


「何だ?」


 自身から斜め右前方二十メートル程に、人間らしきものを感知した。


「ぎゃぁぁああ!!」


 感知したその瞬間に、少年の声らしきものが、夕刻になるかと言う森の中に木霊した。 






 お久しぶりです。

 一週間以内には更新が出来て良かったです。(*^_^*)

 

 それと、今回アクセス数などを確認して見た所、PVは18,000アクセス。ユニークは3,000人を突破していました。

 読者の方々、毎度ありがとうございます。<(_ _)>

 これに応える為にも、これからも頑張ります(*^_^*)


 ではでは、またの機会に。ノシ

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