精霊幕間1;家族、それは大切な宝物
なんだろう。書けてしまった。(゜-゜)
書けちまったからには投稿しなければ。そんな感じに投稿。
今回はどっちかって言うと暗い話です。
この話は幕間ですので、読んでも読まなくてもそこまで大きな影響はないでしょう。
家族、それは産まれたときから側に有る者達。
家族、それは親しき者達。
家族、それはきっと、とても温かく冷たい関係性。
「家族か……」
ひとり虚ろに呟く少年は、今私を右手に付けている。
私はリン。彼が付けてくれた名だ。ここにきてから精霊の社会や、サラや他の精霊達に出会うなど多くの事が有った。それは私を感情豊かにさせた。それが良い事なのか悪い事なのかは分からない。
『アキラさん、前を向きましょう。ノエリアを目指すのでしょう?』
「あぁ、そうだな」
私は彼の右方向に出現し、質問する。
問いかける言葉に、彼はうっすらと反応する。
上の空だ。これはきっと彼の過去に関連するのだろうが、今の私にそれを確かめる術はない。魔術回線は繋がっているから、夜中に彼の夢の中でならどうにかなるかも知れないが、今はどうしようもない。
不安だ。彼の心がそう言っている。
魔術回線が繋がったおかげで、私は彼の持つ感情を知ることが出来るようになっている。
流れてくるのは、不確かなの感情。恐怖と憤怒と冷静さ、色々な感情の混ざり合った不自然なモノ。それは私にとって、とてつもない毒だ。
私達精霊は、基本肉体のを持たない魔力を持っただけの思念体だ。それは四元素の象徴である四大精霊でも同じ事。これはその一画であるサラに聞いたから確実だ。
『アキラさん。アキラさん大丈夫ですか?』
返事がぶっきらぼうなのはいつもの事だから気にしないが、流れてくる感情が不安定なのが気にかかる。
するとサラも同じことを思っていたのか、サラも左方向に出現した。
『一体どうしたと言うのじゃ主。リンの呼びかけにも答えぬとは、家族について何か嫌な事でも有ったのか?』
サラの十八番、直球質問。いえ、技とかじゃないんです。私がそう呼んでいるだけなんです。
こんな質問、普通尻込みしてしまうと思うのだけどどうだろう。
「そう、かもしれないな」
そう言って、有らぬ方向を向くアキラさんは、どこか悲しい目をしていて、私は何だか話しかけてはいけない気がした。
「なぁ、二人とも。俺の昔話を聞いてくれないか?」
そう言えば、私もサラもアキラさん昔の事を殆ど知らない。私達が魔術や他の事を教えている時、熱心に聞いてくれたり、困っている人を見て見ぬ振りしようとしてとして失敗する少し間の抜けたご主人様。今更だけど彼の過去は、一体どんなのだったのだろう。
「それは、─────
◆ ◇ ◆
それは、気持ちの悪い程に生ぬるい風の吹く、真夏の昼下がり。
突然父から放たれた中学二年の俺の人生をぶっ壊す、最悪の告白。
「暁ぁ。俺会社首になった」
「ハァ!? 何言ってんの親父!? 嘘だろ!!」
泥酔するまで呑んだくれた父が明るい口調で放ったそれは、俺にとっては死神からの死刑宣告と同じだった。
我が家は父一人子一人の家庭だった。母は俺が生まれたすぐ後に体調を崩して死んでしまった。死因は高熱がどうのこうのと言うものだったと思う。俺はハッキリとした理由を告げられて居なかったため、良く分からないのだ。
家計の殆どは父に一任していたから、その時の家計が火の車だった事は後で知った。その理由も父がキャ〇クラとかそう言った店に通い詰めていたのが理由だった。
その翌日から、俺のアルバイト生活は始まった。
道路工事、定食屋、コンビニに、殆どバイトは完璧になった。最初はバイトも大変だったが、段々と慣れていった。
だが、その地気には学校と家。その二つの場所は俺にとっての地獄に変わっていた。
学校ではバイトをしている事を知った上級生が、俺から金を巻き上げようと躍起になり、それにより友達も一人また一人と俺から去って行った。
そして家では、真昼間から酒に溺れてドメスティックバイオレンスを受けていた。それだけならいい、俺は痛いのくらいは小さい頃から大人達とかと闘っていたから大丈夫だ。打たれ強さには自身が有った。でもその時に親父が放つ言葉に問題が有った。
「お前さえ生まれなきゃ、アイツは死なずに済んだのに! 何で、何でお前が生きてんだ!」
しらねぇよ! 俺に聞くんじゃねぇ!
そう言えたら、どんなに楽だったのだろうか。
そう本気で思えたら、どんなに心が軽かっただろうか。
俺は親父がどんなに母を愛していたのか、爺ちゃん達から嫌と言うほど聞いていた。
彼らが言うには、それは日本、いや世界の中で最高の夫婦だったらしい。常に互いを労り、相手の事は手に取るように解ってた。まさに夫婦の鏡だった、とのことだ。
学校では、先生に気に掛けられていたり、俺が親父に暴力を受けているのを知った連中からいじめを受けた。
数人俺を気にかけてくれる人もいた。それに、真夕美は遠くからだったが、いつも俺を心配そうに見ていた。あの時の俺の唯一の救いは、それだったのかもしれない。
家では 俺が抵抗しない事によって、親父の暴力は加速していった。
最後の辺りでは偶に包丁とか、刃物も持ち出された。だから俺の服の下には無数の切り傷が有る。最初はただナイフを振りまわしているだけに見えた。だが、日を追うごとにそれは大きなものになり、最後には何処から入手したのかも知らない長細い日本刀で切り付けられた。
毎回切られては病院に行っていたから、その時にはもう警察に眼を付けられていたのだろう。
ほぼ廃人と化した親父を見て、俺は知らぬ間に涙を流していた。
それは悲哀からなのか、喜悦からなのか、不安からなのか、安心からなのか、多くの感情が入り混じり、それは自分自身でも理解できなかった。
ただ一つ解るのは、俺の家族は存在しないという事実。
◆ ◇ ◆
「今思うと、あの世界は俺にとって、最悪な世界だったんだな」
最後に吐きだしたのは、憎しみの籠もった独白。
苦しみでパンパンになった静寂。ザクザクと言う暁の足音だけが、無音の森に染み渡る。
何故、何故……。
そんな言葉が頭を駆け巡る。
私の疑問は一つだけ、たった一つだけ解らない事がある。
『アキラさん。貴方は如何して……』
ならば如何して、貴方はそんなに悲しそうな貌をしているのですか。
「家族」それは美しき絆。
「家族」それは醜悪な運命。
「家族」それはきっと、醜くも愛しき、愛憎の狂想曲。
なんだろう、暗い、暗い、暗すぎる!!
と言う事で次回からもっとファンタジーしたいなー。(;一_一)
そんな作者の独り言。
自分の作品が面白いのかどうか、出来れば知りたいと思いますので、完結もしていない作品に評価なんて……
などと感じるかもしれませんが、出来れば評価や感想をお願いします。
またかよ。って感じですね(ーー;)
批評でも、誤字報告でも、足跡を残して下さると、私はとても喜びますので、執筆速度が上がります。
ですので足跡と言う名の潤滑油を私に一滴お願いします<(_ _)>




