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Ep1;会合と解放

 なんとなく考えてしまっていた物語を、性懲りもなく投稿しました。

 今回はキャラクター性に重点を置く事にしてみたのですが、如何でしょうか?


 草木の茂る山道の中、高校生らしき男女が二人。大きな石の上で座っている。


「おなかへったぁ。ねぇ、あきらぁなんか食べ物ぉ~」

「いきなり何言ってんだよ。真夕美まゆみ

  

 ボーっとしていた俺は幼馴染みの突然の要望に、一瞬ビックリする。

 その後、「ちょっと待ってろ」と言って俺は自分の背負っているリュックの中に有る数少ないお菓子を、ガサガサと音を立てながら探す。


 お、あったあった。これならアイツも不満は言わねぇだろ。

 

「ほい、これやるから少し静かにしてろよ?」

「おぉぉおお!! こ、これですかい!? しかも二つ!?

 ヘイヘ~イ、解ってるねぇ~、お代官様~」

「ちょっ、痛い痛い‼」


 渡したお菓子がそんなに嬉しかったのか、俺の横腹を肘でドスドスしてくる真夕美。これ案外痛いぜ?

 ちなみに真夕美に上げたお菓子の名前は、『期間限定!! 一瞬でリスに成れる飴!!』だ。コイツの好みは少々、と言うか大分変っている。

 俺もなんか食うか。え~と、あったあった、う〇い棒。げぇっ、これ砕けてやがる。捨てるか。


 そんな事を考えていると、いきなり真夕美が不安げな声でささやいた。


「ねぇ、これからどうするの?」

「そうだな、まずは昨日泊まった山小屋を目指そう」


 やはり不安でたまらないのだろう。さっきの妙に高かったテンションも、きっと無理して上げていたのだろう。

 俺達は高校の行事で登山に来ていたのだが、つい先程、先生達からはぐれてしまった。それに今は夕暮れ時。精神的にもきついのだろう。


 ちなみに、ケータイは圏外だった。


「それから、事情を説明してもう一度だけ止めてもらおう」

「うんっ、そうだね。

 そうと決まれば、行動あるのみ。昨日の小屋だね」

「ああ、そうだな。行動あるのみ、だ」

 

 今まで腰をおろしていた石から離れて、歩み始める。


 そうさ、早く帰るんだ。

 早く小屋について、真夕美を安心させなきゃな。



 ◆ ◇ ◆



「なんで? どうして?

 ねぇ、暁。何で私達、またここ(・・)いるのかな? どうしよう、私達帰れないのかな?」


 不安げな瞳を俺に向けて、質問をする真夕美。けど俺はその質問には答えられない。なぜならば、俺自身がこの状況に打ちひしがれているからだ。


 あれから、一時間が経過しただろうか。

 今、俺達はまたさっきの石の前に居る。

 見間違えはしない。俺の捨てた、う〇い棒の残骸と俺の書いた印がそこに有るからだ。


 印はこれまでに何回かここに戻って来た中で、数回前に付けたものだ。

 これで計7回だろうか。ここに戻ってきたのは。

 さっきは木に印をしながら、四角形に少しずつ進んでいく『スクエアサーチ』と言う方法をとっていたから絶対にここに戻ってくる事は無い筈だと言うのに。


 何故、どうして、なんてことは言っていてもなんの意味もない。

 原因の捜索をしよう。まずは、


「真夕美、まずはじめに落ち着こう。さぁ、息を吸ってー、吐いてー。吸ってー、吐いてー」

「え、う、うん。 スー、ハー、スー、ハー」


 いつも通りに戻そう。


「ハイッ、そこでラマーズ法!」

「ヒッヒッ、フー。

 ……って、何でラマーズ法なのさ!!」


 突っ込みと共に飛んでくる小さな石の群れ。


「フッ、俺とお前、いつからの付き合いだと思ってんだ?」


 そう小さく呟いて、石を避ける俺。まぁ、10年以上も一緒に居れば、こういう物も慣れてくると言うもんだ。

 

 そう思い、最後の一際大きな石をよけきった時、バキッという音がして、

 そして────


    「「「「ハハハハハッ!!」」」」


 そして、高笑いと共に、大量の黒いナニカが現れた。


『人間だ、人間が2匹いる』


 何処に?

 俺達二人の周り、四方八方に。


『男と女だ、女は俺達を解放してくれたぞ』


 何処から?

 感覚としては、音のした方向から。


『感謝しよう、感謝しよう』


 如何して?

 多分真夕美の投げた石がナニカを壊したから。


『でも、どっちも美味そうだな(・・・・・・)


 こいつ等は、ナニ?

 解らない。けれど、このナニカは完全に俺達に敵意を向けている。


『そうだな、ウマソウダ』


 それなら、如何する?

 そんなの、決まってる──── 


「真夕美ッ!」

   『『『『『なら』』』』』


 「何? 何?」と言う真夕美を、周囲から隠すようにして腕に抱いて、


「お前は俺が────!!」 

 『『『『『喰ッチマオウ』』』』』


 ────守る。

 そう言おうとした瞬間、劫火にに包まれた妖しき怪物が目に映り、

 俺の意識は断線した。



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