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第46話 再会

下層の外れで、足を止めた。


これ以上は走り続けられなかった。

肺が痛い。脚が震えている。


背負った重さが、現実を主張してくる。

革鎧、装身具、靴。

どれも今の俺には必要なものだ。


街の方を見る。

火はまだ上がっているが、音は少し遠くなった。


――追っては来ていない。


そう判断するまでに、しばらくかかった。


呼吸を整え、路地の影に身を寄せる。

ここはもう、下層ですらない。

人の気配が薄い、街の縁。


足音がひとつ。

反射的に身構える。


だが、現れたのは見知った影だった。

互いに言葉はない。


生きている。

それだけで十分だった。


皆、少しずつ違う方向を見ている。

示し合わせたわけじゃない。

自然と、そうなった。


一緒に動けば、目立つ。

今は、それが一番まずい。


短く、視線だけを交わす。

合図にもならない程度の、確認。


それぞれが、それぞれの逃げ道を選ぶ。


俺は、低い壁の切れ目を選んだ。

古い排水路に続く、小さな穴。


靴を替えた意味が、すぐに分かる。

濡れた石でも、滑りにくい。


鎧がかすかに擦れる音がした。

不快だが、安心でもある。


――まだ死なない。


街の中では、まだ騒ぎが続いているはずだ。

だが、俺はもう関わらない。


今は離れる。

力を溜める。


霧の向こうで、鐘が一度だけ鳴った。

合図なのか、終わりなのかは分からない。


俺はそれを聞き流し、

さらに暗い方へ進んだ。


次に立ち止まる場所は、

もう「町」じゃない。

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