表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/42

第24話 手を伸ばす者たち

決断は、どちらも静かだった。


貴族の屋敷で、執事は帳簿を閉じる。

炊き出しの報告の端に、短い注記があった。


特筆すべき問題はない。

混乱も、騒ぎも起きていない。


それでも、その少年の名前――いや、番号だけが、視線に引っかかる。


理由を言葉にする必要はなかった。

危険ではない。

だが、偶然とも言い切れない。


「次は、近くで見よう」


護衛は一瞬だけ眉を動かし、頷いた。

保護でも監視でもない。

ただ、距離を詰めるという判断だ。


一方、町の裏側。


盗賊ギルドでは、紙が一枚、机の中央に置かれていた。

特別な内容は書かれていない。

それでも、扱いが変わったことだけは全員が理解している。


放置するには、安定しすぎている。

消すには、理由が薄い。


「近づけ」


それが結論だった。


脅すな。

囲うな。

名を名乗るな。


ただ、気づかせろ。

――“一人ではない”と。


両者の判断は、互いを知らない。

だが、向かう先は同じだった。


路地裏にいる、名もなき少年。


彼はまだ知らない。

自分が守られる側でも、狩られる側でもなく、

選ばれる側になったことを。


町は変わらない。

空腹も、夜も、刻印も。


ただ、次に伸びてくる手は、

これまでとは意味が違っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ