表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

第11話 それでも今は腹が減っている

 どこかでわかっていた。


 こんな暮らしが長く続けられるはずはない。

 盗み、逃げ、隠れ、飢え、寒さに震えながら夜を越す日々。

 誰かに捕まれば終わりだ。

 いや、捕まらなくても、ある日力尽きて倒れるだけかもしれない。


 少年は、その結論を心のどこかで丁寧に丸め、奥底へ押し込めていた。


 ――考えたって変わらない。

 ――悩んだって腹はふくれない。


 そう思っていた。

 いや、そう思い込むしかなかった。


 胸の奥が小さく重くなり、ため息とも吐息ともつかないものが漏れる。


 「……でも」


 ぐう、と腹が鳴った。

 現実はとても分かりやすく、そしてとても残酷だった。


 生きるには食べなければならない。

 食べるには奪うしかなかった。


 明日の計画など立てられない。

 来週の姿など想像もできない。

 一年後? 笑ってしまう。


 それでも今日の、いや今の飢えは誤魔化せない。


 少年は立ち上がる。

 薄汚れたマントの裾を払い、心を決めるわけでもなく、ためらうわけでもなく――ただ、足が勝手に動く。


 まず、食い物だ。


 その一歩は小さく弱々しい。

 けれど確実に、また盗みへと向かっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ