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光と愛を知らない世界で  作者: 猫又 マロ


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命の灯火

数日待っても、真新しい情報がない不安からルドは眠れない日々を送る。そんな朝、廊下が騒がしく目を覚ますと、ルドはソッと部屋を出て話し声のする部屋の隙間から、耳を済ませていた。


「いたぞ!追え!」


馬で、追い込まれ息を切らしながら森の中を走る、虎の獣人族、レインは、ルドが無事に仲間の元へたどり着くまでの時間を稼げればいいと、剣の柄を握り走っていた。


「獣人族の生き残りだ!生きたまま捕縛せよ!」


「はっ!」


100人規模の人の騎士たちが、レインを追い込み不運にも、崖の側まで追い込まれ嫌な汗がレイン額から流れ落ちた。


「追い詰めたぞ!」


「突撃!弓部隊、弓を構え!」


怒号が入り交じり、地が揺れるほどだったがレインはまだ、獣人族の真の力を使ってはいなかった。マルスの蹄の音が、遠く離れるのを感じ、レインが深く息を吐いた。


「我が獣人族の誇りと信念、我が命は獣人の王にありて!」


レインの首に下げられた、白い石のネックレスがパリンと割れると同時に、眩い光が当たりを照らした。馬たちが一斉に、(いなな)くと、バランスを崩した兵士たちが、落馬し失神するもの、レイン遠吠えが森に響き渡る。凄まじい闘気と風圧に、吹き飛ばされた人の兵士たち何人もが地面に倒れていた。


「この化け物めが!」


「怯むな!総員進め!」


気絶を免れた人の騎士たちが一斉にレインに剣を向けながら走った。物凄い爆音と地鳴りが鳴り響くと、森の鳥たちが一斉に羽ばたいた。騎士隊長らしき人間が、黒馬で、レインに突進し、剣同士がぶつかると、激しい火花が飛び散った。人間の国の騎士隊長が、レインに話しかけた。


「生き残りは、お前だけではないな?」


眉ひとつ動かさないレインは、剣を振りかざし続けていた。


「先日、城の敷地内で足を怪我をした少年を、我が城の王女様が助けたのだが、その夜には忽然と少年の姿が消えたのだが――」


意味深に呟く人の騎士隊長は、レインの耳元で囁く。


「城のものによると、灰色の毛色に銀の髪が混ざった少年だと聞いた。少し気になって調べたのだが」


「私が、何を言いたいか分かるかね?」


ニヤッとレインに笑いかけると、レインは無言のまま一撃をと間合いを取る。


「獣人族の生き残り、それも、こんな森の奥地で隠れるように、住む理由はただ一つしかないのだが。王族の生き残りか⋯」


レインが、けたたましく吠えると、騎士隊長が剣を空高くかざした。分厚い灰色の雲が集まると、雷鳴が響き渡りその一撃がレインの頭上めがけて、落雷が落ちレインの体が崩れ落ちると乗っていた馬から、人の騎士隊長の重い鎧靴の音が地面に響いた。


「その慌てた様子が、何よりの答えだな」


レインの髪を鷲掴みにすると、振り下ろした剣が深く刺り血が、吹き出しレインの叫び声が森に響き渡りレインは、気を失った。


「レイン兄さん!!」


次に目が覚めた時には、見知らぬ部屋とベッドに寝かされていたルドは飛び起きると、部屋の扉が開く音がした。耳の長いルドと同い歳くらいの女の子が部屋に入ってきた。


「気分は、どうかしら?」


「ここは⋯レイン兄さんは!?」


ベッドから飛び起きるルドに、うさぎ族の女の子が温かいミルクが入ったカップを、ルドに手渡した。


「今、皆が情報を集めているわ。もう暫くここで待ってて」


「兄さんが危ないのに待ってられるわけない!」


「今、貴方が行って、何が出来るの?」


冷静な彼女の声を聞いて、ルドは思った。


(何の力もない自分が行っても、レイン兄さんを助ける力なんて、今の僕にはないんだ――)


「貴方の焦る気持ちは、痛いほど分かるわ」


ソッとルドの手を握ると、彼女は部屋を後にした。数日待ってたある朝、ルドが目を覚ますと、バタバタと家の中が騒がしいことに気づいて、ベッドから起き上がり、隣の部屋から話し声が聞こえ、ルドは耳を済ませた。


「レイン隊長が、今日公開処刑?」


「そんな!」


「リーダー俺たちで、今すぐ助けに行けば間に合う!」


「皆!静かに!」


シンッとなる部屋の空気に、ルドの心臓だけはうるさく聞こえていた。


(――レイン兄さんが⋯今日処刑?嘘だ!嘘だ、嘘だ⋯)


「人の国イシュタルで、今日の昼、レイン隊長が処刑される。我々生き残った獣人族は、レイン隊長の支援や、剣術、武術、魔法を習ってきた。今すぐ出陣の用意をすれば、レイン隊長を救出できるかも知れない。皆の気持ちはどうだ?」


「行くに決まってんだろ!」


「治癒魔法を使えます!」


「俺は久しぶりに、暴れるならなんだっていい」


「よし、今すぐ作戦を考える。各自、総員出撃の準備を」


ルドは、それを聞いて目の前が真っ暗になるのと、同時に全身の血が抜け落ちて、無意識に体が動いていた。部屋の洋服棚からフードを手に持つと、それを深く被り、隙を見てルドは、馬小屋まで走った。レインの馬マルスに跨るとルド一人で人間の国イシュタルへと馬を走らせた。


「レイン兄さん絶対、僕が助けるから――」


ルドの胸元の赤いネックレスが馬の振動で揺れるたびに、太陽の光で赤く光り輝くのだった。

ルドの生い立ちや、兄として慕っていた唯一の拠り所のレインが、人間の国の兵士たちに囚われその安否が分からないルドの不安を執筆してみました。もう少しルド編を、書いていきますので、お楽しみに!ブックマーク登録、評価など皆様からの応援よろしくお願いします!

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