誇り高き騎士として
人間の国に知られてしまったルド。それを警戒したレインが、ルドの秘密を話すと引越しをすると伝えたが⋯
ルドが倒れて数日、熱も下がり、いつもの日常が戻る中、レインの様子がおかしいことに、気づいていた。
「レイン兄さん、話してないことがあるんじゃない?」
「心配するようなことはないから気にするな」
ルドに笑って見せるレインのぎこちない笑顔にルドが声を荒らげた。
「嘘だ!ここ数日やけに、周りを警戒してるし、俺だってもう子供じゃない!」
ガタンッと立ち上がると椅子が後ろに倒れた。レインが小さくため息をついた。
「話すから。とりあえず食べなさい」
「分かった」
片付けが終わると、温めたミルクが入ったカップを持って、椅子に座るルドに手渡した。
「何から話せばいいか――」
重い口が開くレインの真剣な話に、ルドはあまりの衝撃的な話に口が開いたままだった。そして、自分が獣人族の王族と知って、どう答えたらいいのか分からず俯いたままのルドにレインが口を開いた。
「いつ、この居場所が見つかるか分からない。3日後、ここから先の奥の東の森に進んだ場所に、隠れ住んでる仲間の元に、引っ越すから、荷造りをしとくんだ」
レインが椅子から立ち上がると、ルドだけが部屋に残されたままだった。
出発前日の夜――
「明日の早朝には、出発する。その前に、非常事態が起きた時は、俺を置いて馬に乗るんだ」
「そんな!レイン兄さんだけ置いて逃げるなんて、絶対に嫌だ!」
「ルド!」
声を荒らげたことがないレインの声にルドがビクッと身体を震わせた。
「王や、王妃様から託された命を無駄にしてはならない。いつか、ルドが獣人族の王となる日までは、生き延びて欲しいんだ。」
(レイン兄さんが、俺の頭をワシワシと撫でる姿、笑う笑顔を今でも忘れてはいない。俺は兄さんの為に生きるとあの日に誓った――)
「今日は、早く寝ろ」
「おやすみ⋯レイン兄さん」
ルドは、部屋に戻りベッドに横たわると、窓から差し込む月明かりが綺麗で、何故かあの森で見たあの女の子のことを思い出した。お礼も言わないまま城を出たことが、気になりながらも、ルドは深い眠りについた。その真夜中、誰かに、体をゆり起こされて目を覚めるとレインが慌てた表情でルドを叩き起した。
「ルド!起きろ!」
「に、兄さん?」
「今すぐ、森を抜けるからすぐ支度をしろ!」
寝ぼけ眼から、ハッと目を見開いたルドはベッドから飛び起きると枕元に置いていたリュックを持って、家の裏手に走り馬小屋から、レインの愛馬マルスに跨るレインがルドに手を伸ばした。
「隊長!獣人族の隠れ家と思われる場所を見つけました!」
「総員!!突撃せよ!」
たいまつを手に持った人間の兵士が、家の前まで突撃し走ってくる足音と、後方部隊が火がついた弓が引かれ、ヒューと嫌な音がすると、家の屋根に火が瞬く間に燃え広がった。
「ルド、先に行くんだ」
「レインに、兄さん⋯」
「マルス、ルドを頼んだぞ」
「ヒヒーン!」
レインが、マルスのお尻を軽く叩くと森の奥へと走った。
『ルドの誕生日に、剣の稽古を教えよう』
『兄さん、本当?』
『俺が、一度でも約束破ったことがあったか?だから、今は逃げることだけ考えるんだ⋯』
ルドの頭を、ワシワシと撫でると、トンッと首の後ろをレインが叩いた。そのまま気を失ったルドの体をマルスに乗せ走る姿を見たレインが、足止めするために、腰に下げた剣の柄を握り走り出すのだった。
急な気候の変化や寒さから体調崩してなかなか更新ができずに、すみません。書き溜めはしていますが、なかなか編集作業が追いつかずに、出発が遅くなっています。更新速度はゆっくりですが、ブックマーク登録まだの読者様よければ、登録、お待ちをお願いしますm(*_ _)m




