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光と愛を知らない世界で  作者: 猫又 マロ


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森の奥地へ

獣人の国ルーメン。人間の兵士たちが王城に突入する前に国から離れた、獣人の王子とレイン。二人は森の奥地でひっそりと暮らす中、足を踏み外した獣人の王子が崖から落ちてしまうのだった――


「大罪人、国王と、王妃を即刻捕らえよ!」


人間の兵士たちが、城の中へと攻め入ると寝室のベットを開けると、ベットで王妃が眠っていた。


「貴様!起きろ!」


人間の兵士が、剣の鞘で王妃の体を乱暴に揺らすと、ベッドから転げ落ちた。


「こいつ、死んでるぞ!」


「おい!こっちでも死んでいるぞ!」


王子を託したあと城に攻め入る人間の国の兵士たちに、囚われ辱めを受けるくらいならと、城の中の全員が、毒薬を飲んで息絶えていた。獣人の民たちもまた、服毒し自害するもの、攻め入る前に深い森の奥地へと逃げたものがいた。この報告をイシュタル王国の国王が耳にしたのち、ルーメンの国は滅亡したのだった――


「獣人の王、そして王妃様、私が命に変えても王子をお守りいたします――」


レインの胸の中で眠る王子の温もりを感じながら、森の奥へと馬を走らせた。


✧• ─────────•✧


「レイン兄さん!朝だぞ!起きろ!」


フライパンを片手にし、お玉でガンガンとレインの枕元で叩くと、薄い毛布の中に潜るレインを、起こしているのはあの時、城から逃げた獣人の王の子ルドが、声を上げた。


「ルド、昨日遅かったんだもう少し――」


「お日様が登ったんだぞ!起きなくては、お日様に笑われるぞ!」


ルドが無理やり、薄い毛布を捲り上げると、まだ眠そうなレインは、仕方なく起きると、狭いキッチンのテーブルには黒い硬いパンと、クズ野菜と野うさぎの肉のスープが並んでいた。


「スープが冷めちゃうから、早く座って!」


「分かった、分かったから押すな」


「レイン兄さん、そろそろ俺も剣を習いたい」


「んーもう少ししたらな」


「そればっかで、全然教えてくれないじゃん!もうすぐで、12歳になるんだぞ!」


「そうだな、誕生日だな」


ワシワシと、ルドの頭を撫でるが、レインの手を払い除けた。


「俺はもう子供じゃないんだ!」


「そうかそうか。じゃ、兄さんは木を切りに行って街まで売りに行ってくるから、森の崖から下には絶対に、出るなよ」


「言われなくても、分かってるって!」


ルドがゴシゴシと、お皿を洗いながら、いつも同じことを言われてムッとする顔を見ながら、レインは家を後にした。


「肉が最後だったんだ。狩りに行かないと」


ルドは、服を着替えて、小さなポシェットの中には解体用の小型ナイフと、ロープ、弓矢を持って小屋を後にした。


「大物が狩れたら、兄さん剣を教えてくれるかな?」


小さくルドが、笑うと、獣人の身の軽やかさでシュタシュタと木の合間を風のように抜けていくと、大きなイノシシ、ボルンガを見つけ、早速罠を作るルド。


「よし、このロープに足を引っかかれば、後は弓で首を狙えばし止められる」


ガサガサと、茂みの中をわざと音を出して追い込んでいくルド。物音に反応をしたボルンガが、雄叫びを上げながらルド目掛けて突進し、避けるのが遅れて森の境目の崖の下に落ちてしまった。ガラガラと、砂石や砂埃が舞う中、どれくらい気を失っていたか分からず目を開けると、全身に激痛が走り、ルドは呻き声を上げた。


「いてて、しまった崖から落ちて――」


足に痛みが走り、ブーツを脱ぐと足首が赤く腫れ血が流れていた。どうにかして上に戻れないかと、何度か、崖を這い上がって試したが這い上がれずバタっと地面に倒れ、大の字になり空を見上げるルド。


「レイン兄さんから、森の境目から出るなって言われたのに」


ため息をが漏れるのと、足の痛みに途方に暮れてると、不思議な歌が聞こえてきた。


「歌?」


その歌声に誘われるように弓を杖かわりに、体を支えるように起き上がると、ゆっくりゆっくりと声のする方へ、ルドは歩みを進めた。手や肩に鳥たちが止まって、森の生き物が、彼女の方へと集まるのが見えた。ルドは見たことない生物に、心臓が強く高鳴った。


ルドの気配にバサバサと、鳥たちや動物たちが一斉に離れていくと、一面の花畑に座っていた、彼女が後ろを振り返って声を発した。


「そこにいるのは、誰かしら?」


地面を手探りで探す素振りを見せる彼女の姿にルドは、首を傾げてみていた。すると、こちらに歩み寄りルドのズボンに触ると彼女が口を開いた。


「まあ、あなた怪我をしているわ」


ルドは、黙ったまま彼女の奇妙な行動と、嗅いだことがない甘い香りに、視界がぐらついてドサッと倒れ込んだ。


「大変!人を呼ばなくては!」


レインが心配するだろうなとか、彼女の不思議な歌と香りは、なんだったんだろうと、ぼんやりと視界が遠のくとルドは静かに目を閉じた。

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