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光と愛を知らない世界で  作者: 猫又 マロ


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20/24

訓練での事件

模擬戦が始まり激しい、剣技がぶつかり合う中、事件が起こる。


午後からの授業は、ルドのクラスとマレンのクラスの合同で模擬戦を競技場で担任のハント先生から聞いていたクラスメイトたちが、闘技場に集まっていた。男女に別れたグループ戦が組まれ、ルド、クレンは同じグループになり、隣のクラスも同じように合同による模擬戦が実技としてやることになっていた。ノワールとシュプリは同じグループに決まり、ノワールは俄然やる気に満ちていた。


「よし。やりたいもの手を上げろ」


ハント先生の声掛けに、皆が一斉に移動を始める中、きつね族のシュプリが先頭に立ち、ミーヤキャット族のクレンを冷たい 目で射抜いた。そのプライドの高さが、その場にいる誰よりも先に発言させた。


「先生、私から戦う相手の名を決めてもよろしくて?」


誰も名乗り出ていないことを確認すると、ハント先生が頷き許可を出した。シュプリは優雅なカーテシーをすると、前を向いて1人の生徒に、指を突きつけた。


「クレンさんを、ご指名しますわ」


「わ、私…?」


皆が一斉に、クレンを見ていると手をモジモジして俯いていた。


「棄権するのもありだぞ!」


「わ、私は…その…」


クレンの声が小さいのと、オドオドと喋り方にクラスメイトからヒソヒソと、声が上がった。


「先生!なら、俺がクレンのサポート役をやるのはダメですか?」


ルドがいきなり手を挙げて先生に頼んだ。


「サポートか、よし、許可をしよう。シュプリのサポート役は…」


「俺が、やります!」


有無を言わずに、ノワールが手を挙げて前に出た。マレンが、ノワールを止めたが制止を無視して、対戦の場に向かい、残ったマレンとシュプリの相手がその場に残ることに。クラスメイトたちが、騒いでると担任のハント先生が、各自所定の位置に並ぶようルドたちに指示を出した。


「さあ、行こうクレン」


「あ、あの…私、ルド様の足手まといに…」


「大丈夫、俺がクレンを守るから」


ルドがクレンの肩をポンと軽く叩くと、顔を上げてルドの顔を見上げると、クレンの頬が少し赤く染まっていた。


「が、が、頑張ってみます…負けちゃうかもだけど…」


「クレンらしく、楽しくやればいいから」


ルドの励ましに、俯いた顔をあげたクレンは所定の位置に着いた。


「よし。今からルールの確認だ。相手が降参、または木剣を落としたり、膝を着いたりしたら、負けだ。予期せぬ戦闘不能や、私が危険だと判断した場合、試合は終わりだ、分かったな」


木剣を構えるルドとノワール。そして、シュプリとクレン。 ハント先生が手を振り下ろし合図が出ると、シュプリがすぐに氷魔法の詠唱を始め た。 同時に、ノワールが鋼速でクレン目掛けて木剣を振り落とそうと突進する。


「ガンッ!」


鈍い木の音と共に、ノワールの木剣と、ルドが咄嗟に受けた木剣がぶつかり、凄まじい爆風と砂埃が競技場に舞うと、他の生徒たちの悲鳴も聞こえるほどの剣技のぶつかり合いが続いた。その隙を見逃さず、シュプリが詠唱を終えた氷魔法を、放った。


「氷の(アイスレイン)!!」


尖った雨の氷が無数に飛び交うと、ルドたちに降り注ごうとした隣間、硬い士の壁が地面から飛び出した。氷の刃が、次々と針のように土壁に突き刺さる。


「……」


ルドの目の前に、硬い土の壁が地面から出てくると氷の刃が、グサグサと針のように刺さっていた。驚いたルドが後ろを振り返ると、クレンの土魔法だと気づいた。


「ねぇ、あの子詠唱した?」


「詠唱してないよね?」


ザワザワと、シュプリを見ながら話すクラスメイトにマレンも驚いていた。ルドがノワールを吹き飛ばすと、後ろを振り返ってクレンの元へ走った。


「クレン!凄いじゃないか!」


ルドは木剣を握りしめたまま、クレンの元へ駆け寄ろうとした瞬間、土壁の向こうから、 シュプリの勝ち誇ったような笑みが、一瞬見たクレンが周りを見渡し警戒していると地面の下から、追るのを感じ、直感的に、ルドへの危険を察知したクレンは、近づいてくるルドの体を強く押し除け叫んだ。


「ルド様!危ない!」


クレンの中にはなかった行動だった。ルドの周りに見える、不思議なカに惹かれ、ルドを守りたいと願った感情が、クレンを大きく突き動かしたのだ。


「ザッシュ!」


氷の刃が地中から飛び出し、クレンの左肩を切り裂いた。握っていた木剣が地面にカランカランと落ち、クレンは地面に倒れた。


「クレン!」


ルドが慌ててクレンの体を抱き上げると、クレンは苦しそうな息遣いで、口を開いた。


「ルド様に…怪我がなくて、よかった」


「そうだ、すぐに医務室に!」


ルドの手に、ヌルッと生暖かいものが付着し、自分の掌を見て見ると、クレン の肩から鮮血が渗み出て、地面にポタポタと、地面に落る光景が、あの時見たレインの姿と重なり、ルドの頭の中でフラッシュバックした。


「先生!試合の中止を!」


マレンが叫ぶと、先生がルドたちの元に駆け寄ろうと走った瞬間、パリパリとルドの体から赤い闘気が、滲み出ていた。ハント先生が防御魔法を使いながら近づくと、ルドはクレンを抱き上げ、ハント先生に任せると、次の瞬間、ルドの姿は一瞬で消えた。


「クレンに怪我させたな」


「ひっ!」


シュプリの背後に回ると、その殺気にシュプリが地面に尻もちを着いて、木剣を床に落すとガタガタと体が震えていた。


「ルド!俺がお前の相手だ!」


ノワールが、木剣を握って突進して来たが、ルドが片手をノワールの体の前に出すと風圧で、ノワールを後方の壁に吹き飛ばした。壁がミシミシと崩れ落ち、体が崩れ落ちるようにノワールは気絶していた。


「姑息な真似で、勝ちを得たいのか?」


「い、いえ、それは…」


冷めた声にシュプリは涙を流して許しをえようとしたが、ルドの目の色は暗く濁った目でシュプリを見下ろした。


「俺の仲間に、怪我をさせた罪を償え」


ルドが木剣を振り下ろしかけた瞬間、その手を強く握ったまま、ルドは固まった。


「邪魔するなら殺す!」


「落ち着けルド!!」


マレンが、走ってオッターを呼びに行き戻って来た頃には、ルドの凄まじい闘気に、オッターですら止められる保証がなかった。だが、これ以上ルドの暴走が増すと闘技場が吹っ飛ぶだけじゃ収まらないことに、オッターもマレンも危惧していた。


「ルド、お前が今やろうとしてるのは、目の前の仲間を傷つけようとしてるんだぞ!」


オッターが獣人の力を、すぐ解放出来るようネックレスを握っていた。後ろからマレンがルドに叫んだ。


「ルド!次、暴走したらあんたの面倒もう見ないって忘れたの!」


闘気が溢れ出る中、ルドの殺気がわずかに止まる。しかし、 手についた血の感触と、自分の中のどうしょうもない怒りにルドは空に向かって、凄まじい雄叫びを上げ闘技場はガタガタ揺れ地面には亀裂が走り、 マレンはバランスを崩し地面に手をついた。


「この、馬鹿弟子が!獣人になるしか…」


オッターがネックレスを引きちぎろうとした瞬間、誰かがルドの服の袖を掴んだ。


「ルド様、私は大丈夫です…」


怪我をしたクレンが、治療班の制止を振り切って、闘技場に戻って来たのだった。ルドの凄まじい闘気に、体が震えていたが、それよりも悲しさを感じたクレンは、涙が止まらず震える声でルドの暴走を止めようとしていた。


「ルド様!お願いします。私のために、ご自身を傷つけないでください…」


クレンの震える手が背中越しに伝わり、ルドの闘気が急速に沈めていった。


「クレ…ン?」


「はい、ルド様。クレンです」


「怪我は?血が…」


正気に戻ったルドが、闘技場を見渡すと、割れた地面や半壊した住を見て、血のついた自分の掌を見つめていた。オッターは、安堵し溜息を零した、次の瞬間、渾身の力を込めた挙をルドの類に叩き込んだ。


「お前は、何をやったか分かってるのか!」


オッターの怒号が飛び交う中、ルドは黙ったまま俯いたままだった。


「お前には、俺の許可なく、鍛練、木剣の使用を禁止する。分かったな!」


オッターに言われ、自分の掌についた血を見つめながら壊れた闘技場で立ち尽くしていたのだった。

少し長くなりましたが、いかがだったでしょうか?

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