フィオーレの歌
ルドの計り知れない王の力が、イシュタルの空を赤く染める頃、城にいたフィオーレがルドの心の叫びを感じ取り不思議な力、歌を赤く染める空へ響き渡らせるのだった。
ルドの暴走状態が発動する少し前に遡る――イシュタル王国の城にいたフィオーレは、朝詰んだ色鮮やかなお花を手に栞を作ろうとしていた。
「あら?さっきまで、よく晴れていたのに急に空が暗く⋯」
フィオーレの部屋の窓を見て侍女が呟くと、眩しい雷光がフィオーレの部屋を照らした瞬間、爆音のような落雷が鳴り響くと城がグラグラと揺れ、フィオーレが、あまりの恐怖に叫んだ。机の下にフィオーレを隠すように、体を盾にし守る侍女たち。他の侍女たちが声を揃えて呟いた。
「空が赤い⋯」
「こんな空見たことがないわ⋯」
フィオーレは、目をギュッと瞑り、頭を抱えるように、目を閉じていると、誰かがすすり泣くような声に目を開けた。
『⋯兄さん』
「…誰?」
ゆっくりとフィオーレが顔をあげると、まだ城の外から雷鳴が聞こえ侍女たちが悲鳴をあげている中、胸が締め付けられそうになる悲しみにフィオーレが机の下から、出て立ち上がると、涙が溢れ流れ落ちた。
「フィオーレ様?お加減が悪いのでは?」
「今すぐ、侍医をお呼びしますわ!」
フィオーレは小さく首を振ると、誰かに呼ばれているような感覚に部屋の窓を開けて手を伸ばすと、痛みのような、感じたことがない悲しみと怒りにドレスの胸元を掴んで、フィオーレの体が後ろに下がると足元がふらつき、慌てて侍女がフィオーレの肩を支える。
「やはり、お嬢様のお加減が悪いのですわ!」
「早く!侍医をすぐに!」
部屋を出て廊下を走る侍女の声すら聞こえずフィオーレは小さく口を開いた。
「胸が…こんなにも⋯」
空へ祈るようにフィオーレの手の指が絡みゆっくりと、息を吸い込んだ。息を吐いた瞬間、フィオーレの歌声が城の外へと、響き渡った。
「フィオーレ様!ご無事ですか!」
フィオーレの名を呼び中に入ろうとしたが、ハルウドの足が止まっていた。フィオーレの明るい栗色の髪色が、金色に透き通り見たことがない彼女の姿に、動けずに見ていたのだった。どれくらいの時が止まったのか分からないまま、フィオーレの歌声が止むと、金色に輝いていた髪色は明るい栗色に戻り、真っ赤に燃えるような空は、いつの間にか、青空に戻ると暖かな陽の光が、部屋の中に差し込んでいた。不思議な歌の力を使ったフィオーレは、そのまま意識をなくし部屋の床に倒れる寸前、慌ててハルウドが、フィオーレの体を抱き上げると、侍医と呼びに行った侍女が、慌てた様子で、フィオーレが気を失う姿に急いでベッドにと、ハルウドに指示を出し、侍医が、診察した結果、異常はないものの、数日は安静に休むよう、指示を出した。
「…ようやくだ。古の時が動き出す…もう少し、あと少し――」
地下深くの空間に黒いロープに身を纏った、怪しげな人影が揺らめき、暗闇に消えるように小さく笑う声が響いた――
11月に入り、朝晩の冷え込みと胃腸炎に泣いてる作者でございます。読者の皆様、おはようございます(*^^*)秋はどこへと思う中、読書の冬もありかなと思っておりますが、フィオーレ編を少し書いていけたらと。それでは、次回の物語もお楽しみにお待ちください!ブックマーク登録、評価ポイント、リアクション評価など読者の皆さんの応援が、執筆の要になっておりますので、応援よろしくお願いいたします( *˙˘˙ ) *.ˬ.))ペコ!




