仲間たち
レインの眠る墓石を前に、涙が止まらないルドは不思議な夢を見るのだった。
ルドは、暴走状態の反動から高熱と、獣人族の強い力を使いすぎによる、全身のダメージによる傷から意識が朦朧とし、夢で何度も魘されては、獣人族の王家の紋章が赤く光ると暴走状態を繰り返し、その度、治癒魔法が使える獣人族の仲間たちや、ルドの力を制御させる魔法を使いづけていた。
「レイン兄さん!!!」
数週間たってようやく目覚めたルドの全身は包帯で巻かれまだ血が滲むほど滲んでいた。錯乱するルドは、自分の手を見て見ると赤い血が見えて、それがレインが流した血の感触や温もりに、部屋のベッドの上で叫び声を上げた。乱暴に扉が開くと、ズカズカと靴音が部屋に響いた。起きたばかりのルドの寝巻きの首元を掴むと、オッターが声を荒らげた。
「ようやく、お目覚めか」
オッターの声にルドが顔をあげてレインの安否を聞いた。
「レイン兄さんは?」
「死んだよ」
「し、死んだ⋯??」
オッターの言葉にルドは、錯乱し王家の紋章が赤く光り出すと、グッとルドの寝巻きの襟首を持ち上げて、額目掛けてオッターが頭突きをした。
「おい、その傷を治したのは誰だ?その暴走状態を制御してるのは、誰だ?周りをよく見て見ろ!」
ルドは、耳を塞いで聞きたくないと首を振るが、オッターの一言に、顔を上げると床に倒れるように眠り続けてる獣人族、ルドの姿を見て慌てて部屋に入って来る獣人族、青白い顔でポーションを飲んで立ち上がろうとする獣人族に目が止まると、ルドの赤い紋章が消え落ち着いた。オッターそのままルドの寝巻きの襟を、掴んだままベッドから無理やり落とすように引きずって廊下を出ると、家の扉を開け森の小高い場所まで、ルド連れて行くと、オッターが声を荒らげた。
「レインの墓だ!」
ルドをレインの墓の前に放り投げると、そこには小さな石が幾つも、積み重なった墓石には、沢山の花が地面に置かれていた。
「泣きべそだけかいて、感情むき出しにして暴れるガキは、俺たちの仲間にはいらねーんだ!そんなに、兄さんが恋しいなら今すぐ、自決でもなんでもして、レイン所にでも、行くんだな!」
舌打ちをしながら、短剣を地面に投げ捨てると、ルドを置き去りにし家に戻る、オッター。レインの墓の前で、ルドは草を握りしめ、地面に伏せるように泣き崩れていた。
「兄さんが死んだ⋯レイン兄さんが⋯」
日も傾き、オレンジ色の夕日がレインの墓とルドを包むと、ルドの肩に知っている手の感触に、顔をゆっくりと上げるとレインが、ルドの隣に立っていた。
「ルド、約束守れなくてごめんな」
「レイン兄さん!生きてたんだ⋯」
レインの足にしがみついて、ルドは自分の涙を手で拭うとレインが小さく首を横に振って答えた。
「ルド、違うんだ。あまり時間がないから、よく聞くんだ」
「もう嫌だ!僕は、何も聞きたくない!」
首を左右に激しく振るルドの両肩をレインが掴んだ。
「聞くんだルド!」
ルドの大好きなレインの紫色の瞳が揺れていた。
「ルド、泣いてるばかりじゃ強くなれない。お前は俺の弟だ。そうだろ?違うのか?」
「僕にはなんの力もない、だから兄さんも守れなかった。僕は何をしたらいいのか、もう分からないんだ⋯」
ワシワシと、ルドの頭を撫でるレインの優しい手の温もりは、ルドの大好きなレインの姿だった。
『お前は、一人じゃない。それを忘れるな⋯』
笑顔でルドに笑いかけるレインの体は、光の中に吸い込まれるように消え、姿が見えなくなるとルドが手を伸ばして叫んだ。
「待って!レイン兄さん!」
「ねえ。あんた、こんな所で寝たら風邪ひくわよ」
「⋯誰?」
ルドが目を覚ますと、辺りはすっかり暗く、ため息をついた、マレンが、腰に手を置くと毛布をばさっとルドの頭に放り投げた。
「あんた、寝ぼけすぎでしょ?」
フワッと、マレンが魔法を唱えるとルドの体が浮いた。屋敷の中に戻りそのまま浴槽に連れて行くと、寝巻きのままルドを浴槽に落とすと、バシャンっと白い湯気が立ち上った。
「薬湯よ。傷に染みるかもだけど、急激に使った力や筋肉を癒す薬が入ってるわ。次、あんたが暴走状態になったら、私も皆もあんたの面倒は二度と見ないから」
フンッとマレンが顔を反対に向けると、バンッと乱暴に浴室の扉が閉めれ、ルドは全身ずぶ濡れのまま唖然と扉を見つめていた。マレンが出てくると、扉の前で腕を組んで壁にもたれながら、オッターが待っていた。
「本当、馬鹿ばっかのお守りなんて、私は嫌だわ」
「マレンそう言うなって」
ニッと、笑うオッターの前に猫族の治療師リランが、腰に手を当て仁王立ちで二人を見ていた。
「リランいつから?」
「これは、そのだな⋯」
「言い訳なんて、問答無用です!未来の王になる尊きお方の扱いをなんだと思ってるんですか!しかも、重症の怪我人なのにそれを、起きたばっかりの王を外に引っ張りだし、夜まで野ざらしで放り出すなんて!」
リランの怒鳴り声に、オッターもオロオロとしてる側で、マリンが、その場を後にしようとした時、マリンの肩を強い力で掴まれ、ゆっくり後ろを振り返ると、リランの目が鋭く光り口角が上がってない、笑みを浮かべると、マリンが生唾を飲み込んだ。
「マリン、オッター!暫く廊下で、正座して反省しててください!」
廊下の端でオッターとマリンが、小さくなるように正座してると部屋の扉から覗いてた仲間たちが、小さく笑って見ていた。リランが浴室に入ると、ずぶ濡れのルドの姿を見て、腰を下ろし傷の手当を始めた。
「オッターと、マリンの御無礼、変わりに私から謝罪させてください。それから、ご挨拶遅くなりましたが、私の名は、リラン、治療師をしています。気軽に、リランとお呼びください」
リランが頭を下げて挨拶をし、顔を上げると笑顔をルドに向けた。ルドの全身の傷に、薬を付けたり包帯を巻いたり治療が終わると、リランの付き人に抱き抱えられ寝室へと戻った。
「今は、ゆっくりと休むことが、一番の薬になります。ご用がある際は、ベッドサイドに置いている呼び鈴を鳴らしてください」
「あの⋯リランさん、僕のために治療をありがとうございます。それから皆さんにありがとうと⋯」
「王を助けることは、我々の指名です。もったないお言葉感謝いたします」
リランが、笑顔を向けてルドの前でお辞儀をすると、部屋の扉が閉り、部屋の蝋燭の光がゆらゆらと揺れていた。ルドは、夢の中でレインと話したことを思い出していた。
「仲間⋯」
柔らかなブランケットに体を丸めて、ルドは目を閉じた。途中、誰かが部屋の中に入り、ルドの様子を見に来たりしていたが、深い眠りについたのかその夜、ルドの暴走は起きないまま朝を迎えたのでした。
ルドの辛い過去を描写する、執筆するのが難しいなって思いながらも、苦しみがいつか自分の強みに変わるきっかけにと思いながら小説にしました。ブックマーク登録ありがとうございます!これからも長編小説となりますので、ブックマーク登録、評価など応援よろしくお願いします(♡ᴗ͈ˬᴗ͈)




