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王子の誕生

獣人の国では王子が誕生したが、それを秘密裏に王様が騎士に託し、国を出るところから物語は始まるのだった。


この物語は、人の国と獣人の国は長きに渡り争い、戦争を繰り返してきた。そんな中、人の国では、王女が誕生し、獣人の国では王子が誕生した所から物語が始まるのである─────────


「お母さん僕、お腹空いた」


「坊や、ごめんね」


「そこ邪魔だ!退け!」


道端の隅で横たわる、ぼろ布の服を身につけた獣人の母親を蹴り飛ばす人間の兵士に、男の子が泣き叫ぶが、誰一人として親子を助けもせず、自分の家の窓を、次々とバタンバタンと閉める音だけが、街に響いていた。


「ちっ!スボンに汚い血がついちまった!」


「汚らしい、獣人が!」


動かなくなった、獣人の母親の顔に唾を吐き捨て、冷たくなった母の体を、揺さぶるように、子供が泣き叫ぶ声と雨音だけが、獣人の国『ルーメン』に響くのだった。



「王子の存在を、誰にも知られてはならん」


「我が王の御心のままに」


王の側近の獣人の騎士の一人が、立ち上がり、その足ですぐ王妃の寝室に向かい扉を開けて寝室の中に入ると侍女が、部屋の中に入るのを静止する。


「王妃様のご準備が――」


騎士は、黙ったまま侍女を押し退けると大きなベッドのカーテンを、捲り上げ開いた。王妃様の腕の中で白い布で包まれた、灰色と白銀が混ざった髪色と、右の首元には、獣人の王の証、獅子の紋様が赤く光っていた。


「この子をどうか守ってください――」


王妃様のベッドの前で、騎士が片膝をつき頭を下げる。獣人族の王の側近、騎士隊長、虎の獣人レインが無言のまま目を瞑っていた。


「我が子に栄光の光と、無事であらんことを――」


王妃様の瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ち、眠っていた王子の頬を濡らすと、眠っていた王子が目を、パチっと開けた。エメラルドグリーン色の瞳が輝き、小さな手を広げると、王妃様の顔をぺたぺたと触れる愛おしさから、強く王子を抱き締めた。 王妃様が、赤いルビーのネックレスを首元から外すと、それを王子の首元に優しくかけ、王子に託した。レインが抱き上げ、無言のまま王妃様の部屋を後にする、我が子を見る最後の姿に、王妃様は自分の口元を手で押さえ、声を押し殺して泣き崩れる姿に、侍女たちも、静かに涙を流すのだった。



そう、俺はレイン兄さんから聞いた。あの時は、何故俺だけが守られ生きていたのか、まだ分からなかったが、今となっては分かる気がする。人間を憎み、人間の王族は、必ずこの手で全員抹殺してやる────

9月から新連載、「光と愛を知らない世界で」如何だったでしょうか?登場する人物や、国の名前、表現などは作者のオリジナル、フィクションですのでご理解をお願いします。


この物語が面白いな、続きが気になるなって思っていただけたら是非、ブックマーク登録、高評価、アクションスタンプなど応援よろしくお願いします(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”

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