鳥殺し
洞窟の外では風が唸り声をあげていたが、コルはひるまなかった。入り口近くに座り、腕を組み、目を半分閉じ、まるでそよ風が通り過ぎるのを待っているかのようだった。
コルの隣では、キラがしゃがみ込み、目を大きく見開き、震えながら洞窟の端から覗いていた。
そこにいたのは――山道の上空を舞う、巨大な鳥だった。その翼は峡谷の幅ほどもある巨大なもので、赤と青の羽根がステンドグラスのように光を反射していた。体は主にコバルトブルーで、頭は炎のように赤く燃え、翼は両方の色が完璧に混ざり合い、羽ばたくたびに炎と氷の嵐のように揺れ動いていた。
キラはコルの袖を両手で掴んだ。「あれが彼女よ!」彼女は慌てた声で囁いた。「あれが彼女よ!私が話していた鳥よ!」
コルは振り向きもしなかった。
「…わかった。」
「彼女は私を狙っているのよ、本当よ!小さな卵を一つ取ろうとしただけよ!」
コルは小さくため息をついた。
キラは彼の袖を強く引っ張った。
コルはゆっくりと瞬きをした。
彼女は叫んだ。その声が洞窟にかすかに響いた。
外では鳥が悲鳴を上げ、翼を雷のように叩きつけた。天井から埃と岩が舞い上がった。
キラはコルの後ろに飛び込んだ。「ほら!私の声が聞こえた!分かってる!私を食べちゃう!殺さないと!」
コルは洞窟の壁を移動する影に目をやった。「彼女は私を狙ってないわ。」
キラはあごが外れそうになった。「私はどうなるの!?」と泣き叫んだ。「小さな女の子が死ぬのをただ見ていられるの?」
コルはまるで腐った果物を見るかのように彼女を見下ろした。「鳥に卵を返してあげなさい。」
キラの表情は罪悪感と恐怖で歪んだ。「できない…」
コルは目を細めた。「どうして?」
「…食べたんだ。」
「…何だって?」
「お腹が空いていたのよ!」彼女は再び泣き叫び、お腹を大げさに抱きしめた。「卵になるところから救ったのよ!それに、美味しかった!ふわふわだったのよ!」
まるで会話に加わるかのように、コルのお腹がゴロゴロと鳴った。
彼は瞬きをして、お腹に手を当てた。「あの…」
外からまたゴロゴロと音がした。もっと大きく、もっと近くから。
コルは肩を回し、立ち上がった。「仕方ないわね。」
キラはコルの足にしがみついた。「待って!本当に戦うの?!まるで…まるで…伝説の獣!復讐の精霊よ!」爪と死と…の女神よ!」
コルは洞窟から出てきた。
鳥は甲高い声を上げて飛び降りた。
一秒が過ぎた。
黒い稲妻の閃光と雷鳴が空を切り裂いた。
ドカーン。
コルは一瞬後、今や息絶えた鳥を翼で引きずりながら戻ってきた。その巨大な体は彼の後ろに溝を残した。
キラは顎が外れそうになった。
「あなたは彼女を殺したのよ」と彼女は囁いた。「本当に殺したのね。そして今、私はあなたの共犯者よ!」
コルは鳥を落とし、その横にひざまずいた。「あなたは彼女の子供を食べた。これはただの因果応報よ。」
キラは頬を膨らませた。「言ったでしょ、お腹が空いてたのよ。」それに、卵もすごく美味しかったよ。」
コルは眉を上げた。「うーん。」
それから1時間、二人は折れた枝と熱した石で作った火で巨大な鳥を炙った。焼けた肉の香りが洞窟に漂い、宴会場のようだった。
キラは脚の肉をちぎり、かぶりついた。「うーん!こんなに美味しいなんて信じられない。俺たちが悪者だって思ってたか?」
コルは噛みながら、ぶっきらぼうに答えた。「いいえ。」
キラは満足げにため息をつき、背もたれに寄りかかった。「で…どうしてここにいるんだ?こんな山に?」
コルはもう一口食べた。「私も同じことを聞いてもいいけど。」
「でも、先に聞いておいたんだ。」
コルは息を吐き、立ち上がった。「そのまま進もう。朝までには山頂に着く。」
キラはうめき声をあげ、彼の後を這っていった。「わかった…わかった、鳥殺し。」
翌朝は冷たく静まり返っていた。太陽が山の背後から昇り、雲間から長い影を落とした。
コルとキラは山頂で並んで立っていた。風が二人の髪と服をなびかせ、手つかずの空の香りを運んできた。
二人の目の前には、まるで天国への入り口のように、山頂にそびえ立つ巨大な白い扉があった。その光は、まばゆいばかりではなく、雪に降り注ぐ陽光のように、温かみがあった。
その表面は水晶のようにきらめき、二人には解読できない古代のルーン文字や記号が刻まれていた。
キラは少し後ずさりした。「…わあ。」
コルは前に出た。
扉が反応した。
低い音とともに扉が開き始め、星が誕生するように光が溢れ出た。
コルは目を細め、未知なる世界を見つめた。