表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

あなたは召喚されました

戦場は静まり返っていた。


コル・ヴァエルロスは廃墟の中に一人立ち尽くしていた。彼の体は闇のエネルギーで脈打ち、黒い瞳は破壊された世界を見渡していた。かつて強大な城、悪魔の支配の中心地は、ただの瓦礫と化していた。血が地面を染め、世界そのものを揺るがした戦いの残骸となっていた。


嵐は過ぎ去った。戦争は終わった。


少なくとも、そう思われた。


突然の空気の変化がコルの視線を揺らめかせた。神聖なエネルギーに揺らめくポータルが開いた。


そこからリサ、エリザベス、そしてジェイコブが歩み出た。彼らの表情は硬直し、戦いへの準備を整え、コルの傍らに立つ覚悟ができていた。しかし、崩れ落ちた地面に足が触れた瞬間、彼らは息を呑んだ。


戦場は空っぽだった。軍勢は消え去り、悪魔の姿はどこにも見当たらなかった。


そしてコルは一人立ち、その存在感はかつてないほど恐ろしかった。


リサの目が見開かれた。「コル?」


彼はゆっくりと彼らの方を向いたが、表情は読み取れなかった。彼は何も言わなかった。


エリザベスはためらいがちに一歩踏み出した。「君…勝ったのか?」


ジェイコブの拳が握りしめられた。あり得ないことだった。悪魔の軍勢、残った6人の騎士、そして悪魔自身――コルが一人で勝てるはずがない。


リサはもう戦場を見ていなかった。コルを見ていた。


何かがおかしい。しかし、彼女は気にしなかった。


彼の周りの空気が違っていた。彼を包み込む闇は、以前とは違っていた。


その時、新たな門が開いた。


フードをかぶった人影が現れ、リサは息を呑んだ。魔女たちだ。


彼女たちは完璧な足並みで前に進み出た。黒いローブをはためかせ、輝く瞳をコルに見据えていた。そして――ためらうことなく――彼らは彼の前に立った。


リサとジェイコブは凍りついた。


エリザベスの心臓が高鳴った。


魔女たちのリーダーが顔を上げた。「ご主人様」と囁いた。「お帰りになったのですね」


リサは一歩下がった。「何…何をしているの?」


コルは答えなかった。ただ、魔女たちが頭を下げ、彼を受け入れるのを見守った。敵としてでも、生き残りとしてでもなく、新たなご主人様として。


エリザベスの手が震えた。「コル、何か言ってくれ」


それでも、彼は黙っていた。


ジェイコブはリサの前に立ち、本能的に剣を抜いた。「下がってろ」


その時――コルがようやく口を開いた。


「そんなことは必要ない」


彼の声は穏やかだった。不自然なほど落ち着いていた。言葉の裏には静かな確信が宿っていた。


リサは全く怖がっていない。


ジェイコブは武器を下ろしなかった。「コル…一体何が起こっているんだ?」


コルの視線が彼へと向けられた。「終わった」


ジェイコブは一歩前に進み出て、剣を握りしめた。「終わった? どういう意味だ?」彼はコルの傍らにまだ立っている魔女たちを指さした。「なぜこんなことをするんだ? なぜお前を師匠と呼ぶんだ?」


エリザベスの息は荒かった。「コル…あなたは…」


彼女は言い終えることができなかった。


心の奥底では、彼女は既に分かっていたからだ。


コルは以前の自分ではなかった。


彼はもはやただのコルではなかった。


ジェイコブの姿勢が変わり、筋肉が緊張した。「もしお前が彼らの一人になったのなら、もし悪魔が…」


コルが動いた。


ジェイコブが反応するよりも早く、コルが目の前に現れ、素手で剣を握りしめた。黒いエネルギーが彼の指の周りで弾け、剣は震えた。


ジェイコブの目は見開かれた。彼は長年コルと共に戦ってきた。彼の強さを以前にも見てきた。


でも、これは?


これは違う。


コルの唇がゆっくりと微笑んだ。「怖がっているんだな」


ジェイコブは剣を抜こうとしたが、剣は動かなかった。


コルは身を乗り出し、声は静まった。「怖がるな」


リサは彼の手を取った。「コル、やめて!」


コルは彼女を一瞥した。


彼女の金色の瞳は大きく見開かれていたが、恐怖からではなかった。


一瞬、彼の視線に何かが揺らめいた。


それから、彼はジェイコブの剣を放した。


リサは落ち着いた声で一歩近づいた。「コル…まだあなたなの?」


コルは彼女を見つめていた。彼女からは恐怖以外の何ものも感じられず、ほんのわずかな痕跡さえ感じられなかった。


しかし、彼は微笑んだ。


「大丈夫だ」と彼は言った。「怖がる必要はない」


リサは彼を信じることができなかった。


しかし、ジェイコブは信じることができなかった。


エリザベスもそうだった。


しかし、コルは彼らに尋問する暇を与えなかった。


彼は魔女たちの方を向いた。「立ち去れ」


リーダーは頭を下げた。「命令通りだ」


数秒後、彼女たちは姿を消した。


リサはまだ彼の手を握っていた。「彼女たちはどこへ――」


コルは彼女の方を向いた。「そろそろ帰る時間だ」


リサ。「どこへ行くんだ?」


コルは彼女の視線を合わせた。「家だ」


ポータルをくぐった時、太陽は昇り始めていた。


オリン、ヴァレン、そしてデインはすでに待っていた。


コルが現れた瞬間、オリンは信じられない思いで目を見開いた。「コル!?」


ヴァレンが前に出た。「生きてるのか?」


デインは安堵のため息をつき、首を振った。「本当に生き延びたのか?」


ほんの一瞬、緊張が解けたように見えた。オリンは震える笑い声を漏らし、感情に潤んだ目を潤ませた。「畜生。あんなに簡単に死なないと思っていたのに。」


コルは微笑んだ。「オリン、会えて嬉しいよ。」


オリンは凍りついた。


コルは何世紀も彼の名前を呼んでいなかった。


ジェイコブとエリザベスは口を開かなかった。


彼らは黙って立ち、他の者たちが祝福するのを見守っていた。


しかし、心の奥底では真実を知っていた。


コルは生き延びた。


しかし、彼は以前の姿ではなかった。


そして、彼がどんな姿になってしまったとしても…


まだ終わっていなかった。


突然。


金色の光が部屋を満たした。


人影が現れた。


神聖な輝きをまとった彼らの存在自体が、人々の注目を集めた。力は波のように彼らから放たれ、部屋にいる全員へと押し寄せた。


リサは本能的に他の者たちの前に立ち、体を強張らせた。


「あなたたちは誰?」と彼女は問いかけた。


その人物の輝く目はコルの兄弟姉妹に釘付けになった。そして、彼らは口を開いた。


「コル・ヴァエルロスだ。」


リサは息を呑んだ。


その人物は続けた。


「七日後、彼は神界の王の前に立たなければならない。」


沈黙。


リサの心臓は激しく鼓動した。「なぜ?」


その人物の表情は読み取れなかった。


「自分が何者になったのか、責任を取るために。」


冷たい恐怖が部屋に漂った。


リサは拳を握りしめた。


「違う。彼は怪物じゃない。彼は…」


「あなたが決めることじゃない」と、その人物は断固とした口調で遮った。


それから、何も言わずに彼らは姿を消した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ