【宇宙人とルームシェア】

作者：虫松

この物語は、フィクションです。実際の出来事や人物とは関係ありません。ＳＦの雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。

私が新しいルームメイトが宇宙人だと知ったのは、引っ越しの日のことだった。彼女は美人なお姉さんで、髪の毛からは不思議な角と触覚が生えていた。最初はただのファッションだと思っていたが、彼女が壁を通り抜けるのを見た瞬間、私は言葉を失った。

「あなたが新しいルームメイトね。私はリリア。地球のことをもっと知りたくて来たの」と彼女は言った。彼女の声は、宇宙の静けさを思わせるような穏やかさだった。

私たちの共同生活は、予想もしなかった形で始まった。リリアは地球の文化に興味津々で、特に「カラオケ」に夢中になった。彼女の歌声は、星々が奏でる旋律のようだった。

しかし、私たちの平和な日常は長くは続かなかった。リリアの存在が知られると、彼女は研究対象として追われることになる。私は彼女を守るため、そして彼女との友情を守るために、立ち上がる決意を固めた。

私たちの物語は、ただのルームシェアではなく、異文化交流と友情の物語だった。そして、それは地球という星の小さな一角で、静かに花開いていく。

リリアの正体が明らかになってから、私たちの生活は一変した。彼女はただの宇宙人ではなく、遠い銀河系からの使者だった。彼女の任務は、地球の文化を学び、その知識を彼女の星に持ち帰ることだった。

私たちは、彼女を追う政府のエージェントから隠れるために、日々移動を続けた。リリアは人間の姿をしていたが、彼女の能力は人間をはるかに超えていた。壁を通り抜けるだけでなく、時間を少しだけ遅らせることもできたのだ。

ある日、私たちは古い倉庫に隠れていた。リリアは静かに私に語り始めた。「私の星では、感情は弱さとされている。

でも、地球で過ごした時間は、私に多くのことを教えてくれた。特に、あなたとの友情は…」彼女の言葉は途切れ、彼女の目には涙が浮かんでいた。

私は彼女の手を握り、「リリア、君が教えてくれたこともたくさんあるよ。君の星に持ち帰る文化だけじゃなく、ここでの絆も忘れないで」と言った。

エージェントたちの追跡は激しさを増し、ついに私たちは角を曲がった路地裏で彼らに囲まれた。リリアは私を見て微笑み

「ありがとう、私のマイベストフレンドよ。でも、もう大丈夫。私の星には、地球の記憶がある。そして、あなたのことも」と言った。

彼女は触覚から光を放ち、エージェントたちは一瞬で動けなくなった。リリアは私に別れを告げ、空に向かって光の道を作り、ＵＦＯに乗って星へと帰っていった。

私は空を見上げながら、リリアとの日々を思い出した。彼女は去ったが、私たちの友情は永遠に続く。そして、私は知っている。この星のどこかに、リリアのような他の宇宙人が、私たちと同じように生活しているのだと。

【宇宙人とルームシェア】　完