魔獣?いえ、ペットです
今回は会話主体です。
もう完全にグダグダです。
平和って素晴らしい!!
俺とラルは街道の途中で出会ったドラねこ(ドラゴンねこ)を連れて次の街を目指した。
クオルカンからベルバンドまでの距離は直線にして約163キロ程度だが、途中迂回しなければならない場所や上り下りの激しい道なんかもあるため、街道にそって進むと200キロ以上かかる。
そんな距離を一日やそこらで行けるはずもなく、仕方ナシに点在する村や町で一夜を明かしながら進んでいくことになったのだが・・・・・・
「あなた方が連れているそれは魔獣ですよね?」
「いえ、ペットです」
「どう見ても魔獣・猫龍にしか見えませんが?」
「どこをどう見ても猫です」
先ほどからこのようなやり取りが永遠に繰り返されている。
相手はこれから一夜を明かすために宿を探そうと思っている町で警備を任されている兵士さんだ。
頑なだなぁ、猫だと言っているのに。
「そもそも猫には角も翼も無いでしょう!」
「きっと着飾りたかっただけだなんだ!」
「着飾る云々の前に生えてますよ! 動いてますよ!」
「そういう服なんです! それか魔法です!」
俺らの言い争いが続く中、ラルはドラねこのミャオと遊んでいた。
なんでそんな名前にしたか、それはこいつがメスだったからだ。
「あれを見て害を成す生き物だとでも言うのですか!」
「確かに猫龍が人に危害を加えたという報告はありませんが、それはそれです。魔獣は町には入れさせられません!」
「あんなに可愛いのに! 飼い主にただ尻尾を振るだけしか能が無い犬なんかよりもよっぽど可愛いのにダメと言うんですか!」
「可愛いのは認めますが、それより犬を馬鹿にすることは許しませんよ? 犬が尻尾を振るしか能が無いというのであれば、猫なんか気まぐれで何の役にも立たないじゃないですか」
「猫は気まぐれだからいいんだ! あの気まぐれさが気高く高貴な雰囲気をかもし出しているのが分からないとは、それに犬なんかよりもよっぽど滑らかな毛並は何物にも変えがたい物だろう!」
「犬の忠義心は騎士や兵士として見習うべきもので、師であり家族であり親友であり続けられる犬の素晴らしさが分からないとは!」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「どうやら、決着をつけねば成らぬようだな犬派」
「受けて立ちましょう猫派」
俺と兵士の間に火花が散り、背後には猫と犬が見えていただろう。
それほどまでに燃え上がっていた俺たちの決闘に水を指す事件が発生した。
「魔物の群れがこちらに向かってる、急ぎ西門前に集合しろ!!」
別の兵士が俺の前にいる兵士にそう告げて駆け足で別の兵のところへ向かった。
「・・・・・・一時休戦だ」
「・・・仕方ありませんね、町を守るためです。強力してはもらえませんか?」
「それは任せろ、今夜寝る場所がなくなるのはこちらとしても困る」
俺たちはそう言って同時に西門へ向けて駆け出した。