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こういうのを骨折り損のくたびれもうけって言うんだぜ

多少痛々しい表現とY談ギリギリの内容が含まれていますのでお気をつけください。



森に入って道無き道を突き進んでゆくと、パッと開けた場所にでた。

どうやらここがウィッチの里らしい。

俺が想像していたものよりも、いたって普通な里だった。

先に先刻を受けていた通り、女性しか見られないが・・・。


「何者だ!」


俺がその景色に目を奪われていると、目の前に三角帽子を呼ばれるつばが広く先の尖った帽子を被った女性がこちらに、というよりも俺に杖を突きつけていた。


「あ~・・・私たちは」


「黙れ!」


俺がシュイと打ち合わせした通りに言葉を発しようとして氷の柱が飛んできた。

三角錐の形をした柱は俺の横をかすめ、直ぐ後ろの木に突き刺さった。

まさに問答無用という奴だ。

予定と異なる展開に、一瞬頭の中が真っ白になったが即座に状況の解析に入った。

なぜ、こうまでもあちらが好戦的なのか、まずはその理由だ。

男子禁制の里と言うことで、色々と屈辱的ながらも女装して、少なくとも男には見えていない格好でここまで来た。

しかし、向こうは明らかに俺だけを敵視している。

この判断材料からみて、答えは簡単。

俺が男だとばれている。

そこで、思考の海から浮上すると、いつの間にやら俺は三角帽子を被った女性集団に杖を向けられていた。

さらに、その向こうにはいつの間に移動したのかシュイとラル&キュイが魔女の一人に匿われていた。


「もう大丈夫だリトルウィッチたち、君たちを危険に曝す者は我々が排除する」


どうにも聞き捨てなら無い。


「ちょっとま」


「黙れと言っている!」


再び放たれる氷柱をギリギリで回避して、魔法を放った魔女を見やる。

ここで彼女らと敵対するのは簡単なことだが、そうすると後々面倒なことになってくることは想像に難くない。

しょうがないと、俺は降参の意味を込めて宗近を魔法を放った魔女の足元に放り投げ、頭の後ろで手を組んだ。

魔女は怪訝な顔をしていたが、こちらに抵抗の意思がないと見ると、土系統の魔法なのだろう。大地から伸びた足かせを嵌められた上で魔女が口を開いた。


「女装して姿を誤魔化したあげく、二人のリトルウィッチを連れてこの里への侵入を試みた愚かな男に聞く、何用だ!」


とりあえず初見で男と分かってもらえたのは嬉しかったが、色々と誤解だらけで正直泣きそうだ。


「プロランテの魔女医さんから言伝を頼まれた。ルドラ渓谷の谷底にイビルズホワイトが群生している。至急対策を、とのこと。詳しいことはそこにいるシュイに聞いてくれ」


俺の言葉に周囲一体騒然となった。

魔法を放った魔女が周りの魔女に指示を出していく。

どうやら彼女がこの中では一番偉いらしい。

一通り指示を出し終えたのか、彼女は俺の方へ近づいてきた。


「セノリアンテ様の使いだったとはな、突然の攻撃、失礼した。私はウィッチビレッジガーディアンの団長を務めるリアリレッタだ」


リアリレッタは俺に掛けた足枷の魔法を解除して杖をしまった。


「門音だ、とりあえず刀を返してくれないか? 大切な物なんだ」


俺の言葉に頷くと、指をツイっと動かして落ちていた宗近を俺の前まで移動してくれた。

それを受け取り、その重さを確かめる。


「そんで、俺はこれからどうすればいいんだ? 詳しく事情を話すなら里長の所に行かなきゃならない。その為には里に入る必要があるんだが?」


「里に入りたければ男を捨てろ」


「・・・・・・この格好を見てそれを言うか?」


「両足の付け根の物を切り落とせば入れてやる。里は男子禁制だからな」


事も無げに恐ろしいことを言うリアリレッタに思わず身震いした。

流石にそれは勘弁願いたい。


「・・・・・・はぁ、仕方ない、ここで待つことにするさ。まだ男たる尊厳を失いたくないしな」


「もったいない奴だな、それだけの容姿をしていながら・・・・・・」


「好きでこんな格好してるわけじゃねぇよ」


「違うのか?あまりにも違和感がないからそういった趣味の持ち主かと思ったが・・・・・・私ですら魔法を使わなければ見抜けなかったしな」


「・・・なるほど、ネタは魔法か。っつか、俺をそっち方面の危険人物扱いするな」


「なぁ、やっぱり切らないか? 男にしておくにはもったいなさ過ぎるぞ」


「切らねぇよ! ってにじり寄ってくるな! 杖を構えるな!」


「安心しろ、痛いのは一瞬らしいからな。そもそもあんなおぞましい物なぞ必要ないだろう?」


「ばかやろう。その一瞬で死んじまうわ!おぞましいとかお前、見たことあんのかよ!」


「ある分けなかろう!さて、覚悟はできたか?」


「できるか!!って不味い、ここは不利すぎる! 一時撤退!」


「まて門音! 逃げるな!」


俺は180度方向転換して全力で駆け出した。

シュイたちが戻ってくるまで俺は逃げ切れるだろうか?

背後から放たれる異様な殺気と風の刃に冷や汗を流すのだった。

今回は色々と新しい固有名詞を出したのでおさらいしたいと思います。


魔物の襲撃された街の名前「プロランテ」


その街の魔女女医でシュイのママさん「セノリアンテ」


ウィッチの里のガーディアン団長「リアリレッタ」


PS.男の子を切っても女の子にはなれません(笑っ

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