男の子の部屋は漁るべからず!
そろそろ作品ジャンルをコメディーからファンタジーに変えた方がいいような気がしている今日この頃。
街を発ってから早三日目となるが、俺の疲労が半端じゃない。
なんせ、うじゃうじゃと魔物は出てくるのに戦えるのが俺しか居ないという。
ラルは武器が無い&持たせたら危険と言う理由から戦闘には非参加。
女医さんの娘だと言うシュイは戦闘はからっきしなのだ。
本人いわく
「私は将来ママの後を継いで医師になるから攻撃魔法は必要ないの!」
とのことらしいが、魔物をみてビビッてる辺り本音は知れている。
さて、そんな非戦闘メンバーしかいないパーティーで旅をすれば役割は決まってくる。
唯一戦闘のできる俺の場合。
1日の半分は戦闘時間、寝ずの番、食料の調達・・・etc
ラル&ミャオの場合
癒し系、見て和む
シュイの場合
怪我の治療、料理
明らかに俺の負担がおかしい。
抜刀術は初撃必殺が基本だ。
それなのに何匹もの魔物魔獣を相手にしなければならないとなると、その強さは半減どころか一割にも満たなくなる。
何が言いたいかというと、割と満身創痍である。
「ほらほら、ぐずぐずしないでチャキチャキ歩く!」
元気良く先頭を歩くシュイ、その後ろを頭にミャオを載せたラルがひょこひょこ着いていく。
そこから数歩遅れて俺がヘトヘトになりながら歩いているわけだ。
現代人の体力の無さを痛感する。
割と体力には自信があったのだが、この世界に来てそれすらも打ち砕かれる。
全力で走ってるのにシュイにすら負けるのだ。
「ちょっと俺にも休憩をさせろ、街を出てから一睡もしてないんだぞ・・・・・・」
「大丈夫よ、人間たかだか2,3日寝なくても死なないわ。それに仮にも男でしょ?それくらい我慢しなさい」
だいぶ無茶を言う。
抜刀術は脱力と緊張を繰り返すから体への負担はかなり大きい、さらには集中力も凄まじく疲弊した精神を休ませるためにも睡眠は必要不可欠だ。
「馬鹿いえ、そういうのは実際に魔物と戦ってから言えっての」
悪態を吐いたがシュイには聞こえなかったらしくどんどん進んで行ってしまう。
仕方ないからと俺も疲れた体に鞭打って二人を追いかけた。
んで、川が近くにあると言うことで少し早いがそこで昼食をとることにした。
「悪いが少し寝かせてもらうわ、できたら起こして」
自分の役割である飲み水の確保と魚の吊り上げをさっさと済ませた俺は、近場の木に背を預けて意識を飛ばした。
――――――――――
―――――――
――――
―
「あらヤミ、どうしたのよ」
ん? なにやら鈴音の声が聞こえる。
「ちょっと、無視してんじゃないわよ」
声のする方に向き直ると、下着姿の鈴音が髪をわしゃわしゃと拭きながらこともなげにこちらを見ていた。
『・・・・・・とりあえず服を着ようか、話はそれからだ』
半身であり、生まれてからずっと一緒だった妹の半裸なぞ見てもなんとも思わないさ。
逆もまた然りだということをここに宣言しておこう。
なぜなら、俺が風呂中に気に食わないことが会ったからと俺を締め上げに来るくらいだ。
閑話休題
「で、ヤミ、なんかあったの?」
現在鈴音は俺と兄の部屋を自室として使っているらしい。
そのため、色々と隠していた俺のお宝は全て廃棄されてしまっていた。
『なんかってなにが?』
「とぼけんじゃないわよ、ラルちゃんやシュイの事よ」
『・・・・・・なんで鈴音が二人のことを知ってるんだ・・・』
「どうやらね、こっちとそっちじゃ時間の流れが半日ほど違うみたいでね、あたしがレム睡眠のときに視界とあんたと共有するみたいなの」
俺は理解ができずに「レム睡眠?」と首をかしげているとため息を吐いて徐にハリセンを取り出した。
「このお馬鹿!!」
バシーンと小気味よい音と共に俺は部屋の床に沈んだ。
『いてぇ、っつか何で今殴れた!?』
地球での俺は零体扱いになるから普通では触ることなどできない、むしろ見えているのは家族の中じゃ鈴音しかいない。
それなのになぜ今殴ることができかのた不思議でたまらない。
「簡単なことよ、お経をびっしりと書き込んでやったのよ」
・・・幽霊にお経とは安直な、しかしながら効果は抜群だったぜ・・・・・・
痛む頭を擦り、とりあえず体性を元に戻しながら鈴音に言う。
「まぁ要するに鈴音は眠るとこっちのことが見れると、そして今地球は深夜0時であると」
「・・・・・・まぁ、それでいいわ。言いたいことは色々あるけれど・・・で、何かあったわけ?」
『いや、そういうわけじゃなく単に疲れたから仮眠を取ろうとしたらこうなった』
「条件は同じはずなのよね、と言うことはあんた今まで寝てなかったんじゃないの? それかレム睡眠に入らないのか・・・・・・」
確かに寝ていなかったし、そもそも眠ったとしても夢を見るほどに深く眠ることも無い。
祖父と巡った戦争国家諸国はいつ襲撃にあうか分かったものではなかったため、自然と眠りは浅くなる。
そのせいなのか分からないが、もう何年も夢を見ていない。
『たぶん、両方かと・・・・・・』
「・・・・・・」
無言で睨みつけてくる。
鈴音は俺が夏休みに祖父に連れ歩かれていることを知らない。
合宿だとしか祖父は言わなかったから。
「あたしはもう、何も言わないわ。これから寝るから邪魔しないでね」
ため息を吐いてさっさと元俺のベッドに潜り込んでしまった鈴音が思い出したかのようにボソリと呟いた。
「そうそう、ベッドマットの下にまでエロ本隠すのやめなさいよね。いくら『自主規制』で『自主規制』な『自主規制』の内容だとしてもあたしは軽蔑はするけど見捨てないから」
この後、俺のスクリームを上げ鈴音にシバキ倒されたのは言うまでも無い。
はい、ありがちありがち。
えっちぃ本の隠し場所なんて結局たかが知れてるんですよね。
隠せていると思ってる時点で浅はかと言うことだとか、なんかの本でも書いてありましたしね。
え、私はそんな本持ってないですよ。
興味が無いかって?
黙秘権です。