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新しい道

僕の足下には、一本の道が常にある。これは、両親が僕の為に構築したものだ。

 両親の想いだけで埋め尽くされた人生ともいわれる、緻密な道。足を踏みしめながら歩く横には、両親がピッタリくっついている。

「安定した職に就くと、後々楽だからな。そのサポートは俺達に任せろ」

 深い掘りの様な皺をさらに深めながら、僕に笑いかけるお父さん。

「貴方は私達の希望で、幸せの証よ。しっかりね」

 傷一つない真っ白な手で、僕の頭を愛しむように撫でるお母さん。

 二人の言葉は、まるで赤子を包む胎盤のように、生温かかった。

『貴方は、とても良い子だから』


「良い子じゃねぇよ」

そう言って僕は吐き捨てて、両親の手を振り払った。困惑する両親を、僕は見つめ続ける。きっと両親の目からは、僕の『良い子』な雰囲気は感じ取れないんだろうな。

 むしろ、どんな風に見えてるだろう。『良い子』の反対は『悪い子』というが、そう見えているだろうか。是非とも、そう受け取って欲しい。目の吊り上がった、悪魔みたいな非対称な笑顔。それを、僕の両親の瞳の中に映して欲しい。

 僕はもう、お前らの元には戻らないから。

 子を支配して、自分達が楽する為のゴールに誘導する下衆な奴らだからな。

 僕は踵を返すと、両親が構築した道とは逆方向に地を蹴る。

 これでいい。こっちが、僕の行きたい道なんだ。

 

 不安定で凹凸が激しい道に、しっかり足を踏みしめて、走り出したのだった。

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