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第八話 属性選び

「はい。今日は属性選びをします」


 属性選びってなんだ……?


「属性選びは君たちが専攻する魔法を決める試験みたいなやつ。あと君たちにあった剣術流派もわかる。まあ、そんなガチガチな試験じゃなくて石に触るだけだからそんな心配しなくていい」


 そうなんだ……


「この結果は来週から始まる属性合宿のグループ分けにかかわってくるからな」


 そんな重要なのか……あと属性合宿とは……?



 そしてその属性選びが始まった。


 属性を示してくれる石があって、そこに手をかざすと、その人の情報がわかるらしい。

 まあ、能力鑑定士の能力以外も見れるバージョンみたいな感じかな……?


 まず飛翔がその石に触る。

 距離が近かったからか、表示された内容が見えた。


 名前:柴崎飛翔

 性別:男

 年齢:15

 身分:平民

 属性:氷

 流派:ホアリ


 ホアリってなんだ……? というか俺、流派何も知らないよ……?


「はい次」


 次は風音が石を触った。


 名前:神代風音

 性別:男

 年齢:15

 身分:宮職平民

 属性:光

 流派:アサルト


 アサルト……突撃とかそういう意味だったかな……?


 そして次はまろんが石を触った。

 女の子の情報見るのはちょっと違うかもしれないけど、見えちゃったものはしょうがない。


 名前:日和まろん

 性別:女

 年齢:15

 身分:三級貴族

 属性:電気

 流派:チサルト


 チサルト……? アサルトに似てるけどどんな意味が……


 そして最後、俺の番になった。

 石を触ると俺の情報が表示される。


 名前:水風文人

 性別:男

 年齢:15

 身分:一級貴族

 属性:不思議(言霊Ⅱ)

 流派:水風


 あ、能力バレた……ヤバい……


「不思議属性……珍しいですね……」


 まろんがそう言った。他の二人は気付かなくてもまろんは言霊に気付くかもしれない……


 だが、まろんは言霊に気付かなかった。気付かなかったというか、言霊そのものを知らないという可能性の方が大きいのか……? さすが数百年に1人の能力……

 兄ちゃんは超記憶力のおかげで知ってたと思うから普通の人が知るはずもないか……


「流派が水風って、そんなことあるんだ」


 飛翔がそう言った。


 能力には誰も触れない。もしかして、能力は自分にだけ見えるのか……?


「文人さんは一級貴族です。一級貴族はその家自体が流派です」


 まろんがそう言った。まあ、普通に考えればそうだよな……



 属性選びが終わり、一旦教室に戻った。属性選びというか、属性鑑定だった。

 今日中には今後あるらしい属性合宿の概要がわかるらしい。それまでは自由時間になった。



「文人はさ、能力のせいで喋れないんだよな?」


 飛翔がそう聞いてきた。


『まあ、そうだよ』


 多分そう。


「どんな能力なの?」


 聞かれたらまずいことを聞かれてしまった。この能力が知られてしまえば大変なことになりそうな気がする。できればうまく誤魔化したいところだけど……


「他人の能力を聞くことは御法度とされています。友人とはいえ、つつしむべきかと」


 まろんがそう言った。またまろんに助けられた。いつかまろんから見返りを求められそうな気がして怖い。


「そ、そうなんだ……ごめん」

『大丈夫だよ。でも、能力は教えられない。父さんとの約束でもあるから』


 教えられない、と最初に言っておくほうがよかったかもな。



 そして話は変わり、属性についての話になった。


「流派と属性は同じようなもので、同じ流派なら属性も同じです。一級貴族はその家が流派となり、独自の剣技を持っています」


 まろんが解説を始めた。


「不思議属性ってなん……なの?」


 風音がそう聞いた。確かに俺もそれは気になる。


「文人さんが持っていた不思議属性は何かしらの能力を持っていると言われています。能力はあの石に触れて表示されますが、能力だけは本人しか見れなくなっています。過去に特定の能力を持つ人が虐殺される事件があったためです。その時から他人の能力を聞くことは御法度とされています」


 飛翔に追い打ちをかけるかのようにまろんがそう言った。


「ごめんって……言ってるじゃん……」


 すねてる。


「悪かったわね」


 怒ってる。


「まあまあ……」


 風音が2人をなだめる。


「全員流派違うみたいですし。お互い、頑張りましょうね」


 まろんがニコッと笑ってそう言った。

 むしろ怖い。



 午後、先生が教室に戻って来た。


 そして俺たちはある紙をもらった。


 そこには『属性合宿について』と書いてあった。


 明後日から約2週間、それぞれの流派の施設で合宿をやるらしい。それもクラス・学年関係なく。

 一級貴族に関しては一級貴族で集まってやるらしい。

 何をするかは流派によって違うからわからない。とのことだった。ただ、前に聞かされていた特定の高度な魔法を教えてもらえるというのは、この属性合宿でのことだったみたいだ。それなら一級貴族はわからないな……


 誰も知らないところに行くのは少し不安でもある。でも俺の場合、学年で分かれてるわけでもないから兄ちゃんがいる。ちょっとは安心できる。

 でも他は……


「この属性合宿はクラスも学年も関係なく行う。授業の一環だからしっかりやってこいよ」


 先生がそう言った。


「先生は来ないんですか?」


 飛翔がそう聞いた。


「ああ。これは流派の人に任せてるからな。あと、この合宿は別の剣士学院と一緒にやる場所もある。君たちはこの学校内では劣等生かもしれないけど、他の学校の優等生よりは優秀だ。それを忘れるなよ」


 先生がそう言った。しれっと劣等生って言ってるし……でも、他の学校とかと一緒にやるんだったらまだ気が楽だよな……

 まあ、俺は一級貴族の集まりみたいなとこに行くからどうであれそんなに変わらなさそうだ。


「あ、文人は色々ありそうだけど頑張れよ」


 先生が追い打ちをかけた。


 何かが起こるみたいに言うなよ……


「文人さん、頑張ってくださいね」


 まろんまで……



 その日の授業が終わった。まあ、授業という授業はしてないけど。


 明日は休みで準備をする日。そして明後日からその合宿が始まる。


「うわぁ……やっぱ一級貴族ってすげー」


 飛翔がそう言った。

 ロータリーに結構高級そうな車が並んでいたからだと思う。

 今更とも思うけど、今日はいつもよりも早く教室から出てこれたからこんだけの車を見た。だからだと思う。


「じゃあな、文人!」

「文人、お互い頑張ろう」

「文人さん、頑張ってくださいね」


 みんなになぜか励まされた。


『みんなも、頑張って』


 そして俺はみんなと別れて水風家の車に小走りで向かった。普通に兄ちゃんが待っていたからだ。



『ごめん。遅くなった』

「大丈夫。あの教室は遠いからな。そんなに急がなくても大丈夫だ」


 兄ちゃんはそう言ってくれるけど、いつも待たせてるのは確かだ。


 この世界の学校には部活はない。だから何年生であっても帰る時間は同じとなる。中学校と高校にあたるものではさすがに違うらしいけど。



「そういえば今日、属性選びだったよな?」

『うん』

「どうだった?」


 兄ちゃんは俺の属性もわかってるはずだ。多分無理に話題を作ろうとしてるんだろうな……


『不思議属性、流派は水風だった』

「そっか。同じだな」

『うん』


「属性合宿なんてなくていいのにな……」

『なんかあったの?』

「去年は、さ、色々あったから」

『そうだったね……今年は大丈夫なの?』

「さあな」

『そっか……』


『一緒……なんだよね? 一級貴族』

「そうだな」

『俺、大丈夫かな……』

「大丈夫だよ。文人、強いから」

『そうかな……』

「文人なら、大丈夫」


 兄ちゃんは俺の頭を撫でた。

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