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第五十三話 ペアミッション5

「龍杜……?」

「いきなり奥義なんて使うな。下手に体力消耗しない方がいいぞ。回復能力があるかもしれないって、お前が言った事だろ」

「ご、ごめん……」

「まあいい。ここからは上手く連携していこう」

「うん」


 炎の攻撃が終わり、柊璃の反動の影響も終わった。


 柊璃は立ち上がり、龍杜の隣に並んだ。


「じゃあ、行くぞ」


 龍杜はそう言って、柊璃の返答を聞かないまま、ドラゴンに向かって行った。


 ドラゴンは龍杜を腕で攻撃しようとするが、龍杜はそれを華麗にかわしていく。


 まず右足を外側から斬り、後ろに抜けていく。


 ドラゴンは龍杜を追って後ろを振り返る。


 今度はドラゴンの股の下を低い姿勢で抜け、内側から右足を斬る。


 ドラゴンの右足から血がどんどんにじみ出るようになった。


 これによってドラゴンの右足は使い物にならないくらいになっていた。


 そして龍杜は柊璃のいる辺りに戻ってきた。


「タッチ」

「おう」


 今度は入れ替わるように柊璃が向かって行った。


 柊璃はドラゴンの左足を狙って行った。


 まず、ドラゴンの股下を、攻撃を搔い潜りながら通過し、その時に内側から左足を斬った。


 勢い余って壁に激突しそうになったが、なんとか体勢を立て直し、床と壁を両方蹴って2撃目を狙った。


 ドラゴンは柊璃の方を向いていて、龍杜に背を向けていた。


 柊璃は曲線を描くように左足の外側に向かい、ドラゴンはサイズの差なのか、上手く反応できなかった。


 そして柊璃はドラゴンの影に入り、左足を外側から斬った。

 これによって、繋がってはいるものの、左足も使い物にならなくなった。


 柊璃がドラゴンの裏に抜けた時、そこに龍杜はいなかった。


 柊璃が振り返ると、龍杜がドラゴンの背中に乗っていた。


 龍杜はドラゴンの背中に登り、しがみついていた。


 ドラゴンはそれに気付いたのか、一生懸命振り落そうとする。


 龍杜はなんとかまだしがみついていたが、それによって崩れた瓦礫やらなんやらで怪我をしているようだった。柊璃はそれを見ても、助けには入れなかった。


 龍杜は、ドラゴンの背中を駆け上がり、ドラゴンの頭上に飛び出した。


 龍杜は両手で剣を振り上げた状態になっていた。


 ドラゴンは、龍杜に向かって炎を吐くような動きを見せた。


 龍杜は両手でしっかりと剣を掴んでいた。そして、大きく息を吸い、一気に落下していった。


 龍杜の剣は、白っぽい光を放ちながら、ドラゴンを縦に一気に切り裂いていった。


 剣の軌道が、柊璃には光の筋のように見えた。


 一気に血のような赤黒い液体が吹き出し、龍杜はそれを頭からかぶってしまった。


「っ……うべぇ……」


 龍杜はそんな変な声を出した。


 それとほぼ同時に、ドラゴンは前方に倒れていった。


「龍杜……!」


 柊璃は龍杜に駆け寄って行こうとした。


「柊璃、息してるか確認してこい。俺は大丈夫だから」

「わ、わかった」


 柊璃は龍杜からそう言われ、ドラゴンの頭の方に向かった。


 ドラゴンの息は、止まっているようだった。


「多分、死んでる」


 柊璃がそう言って龍杜のいた方を見ると、そこには龍杜はいなかった。


「あれ」

「こっち」


 龍杜の声がする方を柊璃が見ると、そこはドラゴンの上だった。龍杜はドラゴンの上にいた。


 龍杜は、ドラゴンの背中に剣を突き刺し、何かを掘り出すように剣を動かした。


 そして龍杜は、赤い石を取り出した。

 大きさは、よくある引っ越しの段ボールのような大きさだった。


「それは?」

「ドラゴンの心臓。これで回復することはない……と思うよ」

「なるほど……」


 龍杜は、ドラゴンの上から飛び降り、その石を床に置いた。


「ここから、どうするの?」

「とりあえず、担当剣士とやらを待った方がいいかな」


 龍杜がそう言った瞬間に、扉が開いた。


 ビクッとして二人が扉の方を見ると、そこには剣を提げた男が立っていた。


 龍杜はその男を凝視した。


 その男の服の左胸の辺りに、中央剣士団のエンブレムがあった。そのことから、龍杜はこの男が例の剣士団の剣士であることがわかった。


「遅いですよ。もう、片付けてしまいましたから」


 龍杜は人が変わったかのようにそう言った。


「遅くなってしまって申し訳ない。時刻が伝えられていたものより早くてな」

「そうですか」


 龍杜はしっかりと受け答えをする。


 その時、龍杜は魂が抜けたように後ろに倒れていった。


 咄嗟に剣士が手を掴み、床に激突することは避けられたが、龍杜は意識を失っていた。


「龍杜……!?」

「毒か……? もしかして、ドラゴンの胃袋を斬ったのか……?」

「なんか、血みたいなのはかぶってました」

「ついでに斬った可能性はあるか……とりあえず、急いで運んだ方がいいな……傷口から入り込んだなら尚更」

「わかりました……!」


 そして、柊璃は龍杜を背負った。剣士は龍杜の剣を持っていた。龍杜の剣は、柊璃には持てないくらいの重さだった為だ。


 そのまま三人はその空間を出た。

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