第三十八話 グループサバイバル5
そして扉を開け、その空間に入った瞬間、大きな雄叫びが聞こえた。それは、今までに聞いたことのない雄叫びだった。
そして目の前に現れたのは大きなドラゴンだった。全長約5メートル以上だと思われるくらい大きい。
「うわぁ……」
飛翔はそう声を漏らしていた。
「ど、どうしますか?」
まろんがそう聞いてきた。俺は数秒考え、指示を出した。
『俺と風音で行く。そしてまろんと飛翔で入れ替わって攻撃。それを繰り返して行こう』
「わかった」
そういち早く反応したのは飛翔だった。
『行くぞ』
「うん」
俺と風音はそのドラゴンに向かって行った。風音が足元の間合いに入り、俺が高く跳び上がり、何発か連撃を入れた。
そしてうまく連携を取って入れ替わって攻撃を仕掛けようとしたが、ドラゴンというだけあって炎を吐いてきた。炎はさっきの水性ドラゴンとは違って色が青かった。青の方が高温と言うので多分、こっちの方が危ないっぽかった。
そのあと、ドラゴンは尻尾で外壁をえぐり取り、破片を俺たちに飛ばしてきた。
俺は何とかかわすことが出来たが、すごく危なかった。一方飛翔、風音、まろんはその破片を思いっきり受けてしまった。
「いったたたぁ……」
飛翔はなんとか大丈夫みたいだった。
ドラゴンがいつまでも止まっててくれるとは限らない。だから、そんなに気にしてる暇もない。残りの二人のことは飛翔に任せよう。
『飛翔、そっち大丈夫か?』
「俺は大丈夫!」
『まろんと風音は?』
「私もなんとか大丈夫です! でも、動けそうにないです。折れてるかも」
『わかった』
「風音は破片が刺さってる。多分、結構危ない」
『わかった。今はその破片抜かないで動かないように固定して。それで三人ともできるだけ前線から離れろ』
「わかった!」「わかりました」
こんな状況になってもまだ剣士は動き出さない。まだ様子を見ているようだった。遅いが。
俺がやるしかないか……
そう決意し、俺は一人でドラゴンに向かった。
まず助走をつけて、ドラゴンの高さまで跳び上がる。そして一旦腹の辺りに傷を付ける。ドラゴンはかなり固くて、傷を付けるのが精一杯だった。
「……武器強化」
剣を強化し、ドラゴンの後ろに着地する瞬間に尻尾を切り落とした。痛みからなのか、ドラゴンは大きな声を上げた。これが雄叫びなのか、叫び声なのかは全く分からない。
そして俺はドラゴンの股下を抜けながら片方の足をそのまま斬った。さすがに切り落とすまでは行かなかったけど、さっき腹につけた傷よりも深い傷だったとは思う。
股下を通り抜けて飛翔たちの前まで来ることが出来た。これは奇跡に近いことだった。
その時、やっと剣士が動き出した。
「ここは……」
「出てくんな! 俺が死ぬまで出てくんな」
言霊の能力を使いつつ、俺はそう言い放った。
今更出てくるなんて意味が分からない。助けるつもりならもっと早く出てくるべきだった。俺もやっと調子が出てきた頃だった。今更譲るなんてできない。
――ドラゴンは、俺の獲物だ。
その後、炎攻撃のモーションを見せたので、俺はドラゴンの右側に走り込んだ。三人に当たってしまうことは避けたかったからだ。
そして俺はそのまま外壁を駆け上り、ドラゴン上を取った。ドラゴンは、俺がいる上の方向に炎攻撃を発射した。
俺はさらに上に上り、壁を蹴ってドラゴンの真上を取った。それでもまだドラゴンの攻撃が来る。俺が反対側の壁まで到着したところで炎攻撃が止まった。
――今しかない
俺は武器強化と加速を駆使し、威力を今出せる最大まで上げて、ドラゴンの心臓辺りに剣を突き刺した。何か、やわらかいものを突き刺した感覚があったから、おそらく心臓に達したと思う。
そしてそのままドラゴンは後ろに倒れた。俺は素早く剣を引き抜き、宙返りをして着地点を確認し、上手く着地した。
『はぁ……はぁ……うっ……』
言霊の使いすぎはやっぱダメだ。反動が大きすぎる。
「文人、大丈夫か?」
『ああ……なんとか。風音は?』
「大丈夫。あの剣士の人が処置してくれた」
『そっか』
あの剣士、何を考えているのかが全く分からない。行動が一歩遅いというか、なんか裏があるように思える。もう全てに裏があることくらい、わかってはいたが。
◇◇◇
その後、学校に戻り、今回の結果というか、そういうのをみんなで話していた。もちろん、
俺は聞いているだけだったが。
話を聞いた感じだと、半分くらいが怪我して、治療が必要な状態らしい。それに、あの悪性魔物を倒せた班は俺たちと竜喜たちの班くらいだったらしい。ドラゴンが出た、という話は聞かなかった。何が出たかはわからないが、話の途中途中で出てくる特徴はとてもドラゴンではなかった。
進級テストで終わったと思ってたけど、まだ潰しに来てることがこれで明白になった気がした。
「文人、お前らの班はどうだった?」
みんなが話し終えた後、竜喜は個人的にそう聞いてきた。
『ま、まあ……風音が怪我したくらい。一応、倒したけど』
「そっか……でも、倒せたのはすごいな。俺たちでも結構苦労したし。みんな倒せなかったみたいだしさ」
『そうみたいだね』
色々あったことは言わないでおくし、知られないようにしなきゃいけない。俺は強くそう思った。
「風音くん、大丈夫なの?」
『ああ、うん。大丈夫みたい。まあ、すぐに復帰は無理だろうけど』
「そりゃそうだな」




