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第三十五話 グループサバイバル2

「それじゃあ準備して」


 井花先生がそう言った。全員がスタートのラインに並ぶ。


 そして、井花先生が合図をする。


「よーい、スタート!」


 井花先生の合図で全員が一斉に飛び出していった。



 俺たちは他のグループとは違う方向に行った。俺たちがまず向かったのは『水性ドラゴンの羽』というミッションだった。『ドラゴン』と書いてあるから、避けていったのかもしれない。



「水性ドラゴンねぇ……」

『知ってんの?』

「いや、名前からして水辺のドラゴンなのかなーって」

『まあ、そうだけども……』



 そして俺たちは地図通り、とある洞窟までたどり着いた。


 洞窟には川みたいな水の流れがあって、洞窟内は湿っていた。


 やけに実戦的になったな……ダンジョン1回しかやったことないのに……


 そう思いつつ、洞窟の奥に進んだ。そして、ドラゴンの声がかすかに聞こえ始めた。


「隠れながら行こう」


 竜喜がそう言った。そして曲がり角はちゃんと確認したり、周辺に注意をし始めた。


 そしてドラゴンの姿を発見した。俺たちはその姿を物陰から見つめる。あっちはまだ気づいてはいないみたいだった。


「行こう」


 竜喜がそう言い、俺たちはドラゴンがいる空間に入った。息をひそめる必要も結局はなくなるわけだから隠れて進むこともしなかった。


 俺たちはドラゴンにすごく睨まれた。それでも俺たちはドラゴンに近づいた。


 約5メートルくらいまで近づくと、ドラゴンは問答無用で火を噴いてきた。


 俺たちは瞬時に反応し、それをかわした。


「戦う気か……」


 どっちにしろ、羽を取るには倒さないといけないだろう。


「龍杜」

「……わかってる。ずっとそんなことも言ってられない」


 龍杜も今回ばかりは貫いてもいられないだろう。


 俺たちはドラゴンの攻撃をよけながら攻撃を仕掛けた。



「俺が注意を引く! 文人と龍杜で頼む!」


 竜喜がそう言った。


 竜喜に向けてドラゴンが炎を吐く。それを竜喜がかわす。それを見届け、龍杜が攻撃、そして入れ替わるように俺が攻撃を仕掛け、それがはじかれる。

 そのあと俺が炎の攻撃を受けて、かわす。そして竜喜が攻撃、龍杜が入れ替わり、はじかれて炎攻撃を受ける。そんなのを繰り返していた。


「これは3人じゃきついな……」


 龍杜がそう言った。

 攻撃を仮に受けてしまったときや、体力の限界が来た時に3人じゃ休む暇がない。そういうことを龍杜は言ってるんだと思う。



「龍杜、文人、とっとと決めよう。家の技で」


 竜喜がそう言った。俺と龍杜はそれにうなづいて同意する。


「行くぞ、3・2・1!」


 そう行くのか……と一瞬思ったが、異論を唱える暇はない。俺たちは炎攻撃をかわし、3人で一斉に家の技を発動させた。


 久遠家の『氷河』、宮瀬家の『雷』、そして水風家の『影斬り』、その3つがクリーンヒットし、ドラゴンは動かなくなった。


 水性ドラゴンなのに炎なのか……と今頃になってそう思った。もしかしたらこれが全てじゃないのか……? とも思った。


 まあ、そんなことを考えている間に竜喜がドラゴンの羽を取ってきていた。


「今のうちに行こう」


 そこから逃げるように俺たちは洞窟を走って抜けた。


 ちょうど洞窟から抜けたあたりで、後ろからすごい音が鳴った。


 後ろを振り返ると水が噴き出して来ていた。


 俺たちはその水の直線上から横に避けた。


 水は勢いよく洞窟の出口から出てきた。同時に大きい石がたくさん出てきていた。


『うわぁ……危なかった……』

「そうだな……」


 俺の呟きに反応したのは龍杜だった。龍杜もそんなに嫌味な奴じゃないのかもしれない。と少し思った。


「そっち大丈夫?」


 逆側によけていた竜喜がそう聞いてきた。


「大丈夫。竜喜は?」

「俺も大丈夫」


 そして俺たちは合流した。竜喜はしっかりとドラゴンの羽を持っていた。


「水性ドラゴンなのに炎かよって思ったけど、こういうことだったんだな」


 龍杜がそう言った。龍杜も同じことを思っていたようだった。


「そうだな……それにしても、珍しいな……」


 竜喜は羽を見つめてそう言った。羽は青かった。去年の進級テストでかえったヒナは薄かったものの、茶色系だった。


 ちなみにそのヒナは王国剣士団のところに行ったらしい。今どうしてるかはわからない。



「じゃあ次、ゴブリンの石、行く?」


 竜喜がそう言った。


「そうだな」『うん』


 そして俺たちはゴブリンの石のありか、とある崖に向かった。


 ◇◇◇


 Aグループはゴブリンの石に向かっていた。


「ゴブリンの石、どんなのですかね」


 まろんは陽にそう聞いた。


「俺はお前の実力はわかってる。敬語じゃなくていい。三級貴族の中で一番昇格に近い家だしな。そのうち同じ二級貴族となるだろう?」


 陽はそう言った。まろんにしてみればすごく意外だった。でもまろんの家が一番二級貴族に近いのは事実だった。


「わかった。それで、」

「ゴブリンの石、名前のまんまだろ」

「まあ、そうなんだけど……」


 分析力が能力のまろんは情報は最大限知っておきたいところだった。いつものグループだったら通用するけど、このグループで能力を言おうとは思わなかった。

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