表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/117

第三十一話 属性合宿1

「前からお知らせしておいた通り、明日から、属性合宿となります。場所は去年と同じなので、把握しておくように。そして、上級2年として、頑張ってくるように」

「はい」


 明日から属性合宿らしい。去年は兄ちゃんがいたから良かったけど……今はそんなこと気にしてる暇はないか。




「じゃあな、文人!」

「文人、お互い頑張ろう」

「文人さん、頑張ってくださいね」

『うん。みんなも、頑張って』


 俺たち4人は、去年と同じ会話をかわし、別れた。別れた場所は去年とは違うが。



「文人さん、お疲れ様です」

『史織、お疲れ』

「竜喜さん! 文人さん! お待たせしました!」

「初絃、そんなに急がなくても大丈夫だよ」

「そうですか……」


 そして俺たちは校門の方に向かった。ちなみに留花には先に行っててもらっている。


 そして俺と竜喜は王宮護衛に引き継いだ。



『瑠花、待たせてごめん』

「大丈夫です」


『明日から、属性合宿だな』

「はい」

『あと、属性決めもあったか』

「はい」

『どうだった?』

「流派は水風でした。恐らく、お兄様と同じです」

『そっか……じゃあ、属性合宿、一緒だね』

「そうなんですか?」

『ああ。属性合宿は全学年一緒だからね』

「そうなんですね。お兄様と一緒にいられるのですか?」

『部屋は違うと思うけどな……』

「それはそうですけど」

『練習の時は一緒にやってもいい』

「ほんとですか!? ありがとうございます!」


 瑠花はニコニコしていた。



『……ねえ、』

「はい……?」

『なんで、そんなにさ、したうっていうか……そのー』

「それは、私が、お兄様のこと…………いや、なんでもないです」

『え?』

「お兄様だからです!!」


 なんか怒って(?)いた。


『えぇ……』

「うー……」


 瑠花は涙目になっていた。


『ちょ……』


 そして瑠花は俺にしがみついてきた。


『ちょっと……? 瑠花?』

「しばらくこのままでいさせてください」


 えぇ……


 車の中でハグしてる、そんな状況に近い。このまましばらくだなんて……ちょっと無理がある。



 翌日


 ちなみにあの後は特に何事もなかった。


 俺たちは属性合宿の場所に集まっていた。去年と同じ場所だ。


 今年の参加者は6人。一級貴族4人と王族2人。王族も行き場がなかったようだった。


 そして去年と同じ、小羽さんが今年も担当みたいだった。


「皆さんこんにちは。今回担当させていただく小羽と申します。よろしくお願いします」


 小羽さんは去年もしたような挨拶をする。


「皆さんも自己紹介をお願いします」


 小羽さんがそう言った。そして昨年同様、端から順番に自己紹介をしていった。


「上級2年、久遠です」

「同じく、宮瀬です」


 竜喜、龍杜がそれぞれ去年と同じように名乗っていく。違う点といえば、上級2年というところだろうか。


「1年、初絃です」

「同じく史織と申します」


 王族は苗字がないらしい。なんか名前で名乗ってるのに違和感がある。


「上級2年、水風文人です」

「1年、水風瑠花です」


 俺たちは去年と同様、下の名前まで名乗ることとなった。


「では、まず皆さんの実力を見せてもらう。じゃあ、久遠と宮瀬、文人と初絃、史織と瑠花で模擬戦をしてもらう。怪我はさせない程度に頑張ってくれ」


 ここまでは全く去年と同じ展開となった。



 史織と瑠花の戦いが始まった。お互いに譲らない戦いとなり、時間制限で引き分けとなった。



「次、文人と初絃」


 そして俺と初絃が向き合った。


「お願いします」

『ああ』


 戦いが始まった。


 初絃はすぐに向かってきた。俺はそれをかわして初絃を後ろから剣で叩いた。


「そこまで!」


 かわすことができればスピード型には勝てる。ということが分かった。ただ、かわすことはかなり難しかった。それもついこの前までの話。何が転機になったかはわからないが、何かがあって、何か吹っ切れた気がする。



「強いっすね、さすがです」

『ありがと、初絃』



 そして竜喜と龍杜は竜喜が勝利した。



「実力は見せてもらった。合宿とはいえ、基本自分でやってもらうことになるので、まあ、休む人は休んで、自分で色々やってください。最終日にくじ引きで対戦相手を決めて模擬戦をやります。それまで自分で頑張ってください」


 去年と同様、完全自主トレとなった。今年はどうしようか……


 俺たちは、とりあえず部屋割り通りの部屋に別れた。


 俺は初絃と同じ部屋になった。あとは、史織と瑠花、竜喜と龍杜だった。



「よろしくお願いします」

『よろしくな』


「あのー、大丈夫ですかね、史織たち」

『どうだろ』


 瑠花、史織のことめっちゃ睨んでたしな……なんか起こってもおかしくはない。


「なんていうか、史織、ああ見えて、ちょっとずれてるんですよね、たまに」

『へぇ……』


 初絃は人見知りが激しいが。


「あの、質問攻めですみませんが、俺に足りないことって何ですか」

『足りないこと……さっきは早々に終わらせちゃったから、ちゃんと見れてないな……ごめん』

「じゃあ、もう一度、対戦してもらえませんか?」

『……わかった』


 なぜか了解してしまった。同室になってしまったことだし、俺もすることは思いついてなかったわけだし、ちょうどよかった。



 そして俺たちはさっきまでいたフィールドのところに戻ってきた。


「じゃあ、行きます」

『おう』


 初絃はさっきと同じように向かってきた。今思うとスピードはクラスメイトたちとそんなに変わらない気がする。


 俺は初絃の攻撃を剣で受け止めた。威力的には簡単に弾けたから……何もわからん。強いか弱いかは。


 そして初絃は連撃を仕掛けてきた。

 連撃の一撃一撃は結構な威力ではある。さすがに単発には及ばないが。


「どうですか?」

『うーん……連撃の一撃と一撃の間にちょっと隙がある。一撃目で決まんなかったらそこを突かれる可能性はある』

「ほぉ……」

『まあ、1年生でそこまで速くできる人も、間を突ける人もいないと思うから……』

「いえ、教えてください!」


 そこまで言われちゃったらなぁ……


『わかった。でも、本気でやれよ』

「わかってます」


『あ、あともう一個』

「なんですか?」

『一撃一撃の威力、もっと出せると思う。なんか、弱い気がする』

「そうですよね……それは前からわかってます。だから、連撃に寄って行ったんですけどね」

『そっか……じゃあ、速度に振った方がいいのかな……そこは、初絃が選びな』

「俺は…………俺は、スピードで行きたいです」

『わかった』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ