第十一話 グループ発表
「じゃあ、今日の課題は学年で同じで、グループを作ってもらいます」
先生がそう言った。
グ、グループって、何だ……?
「まあ、このクラスは4人だし。4人で1グループって感じになるかな」
先生はそう付け加えた。
「グループって、何するんですか」
飛翔がそう聞いた。飛翔でも先生にはちゃんと敬語を使う。
「まあ、授業とかで協力したりする感じかな……進級もグループごとだったりする」
「進級も?」
「ああ。そうだ」
進級もこのクラスでなんだ……なんか珍しいというか、すごいというか……
言っちゃいけないことかもしれないけど、このままのクラスじゃ、上級2年なんて無理だ。他のグループの方が進級で有利なことに違いはない。
「進級もそれなら、俺たち頑張んなきゃなぁーっ!」
飛翔がそう言った。
え?
みんなそういう反応をした。
「だってさ、文人は一級貴族。この国で王家の次に偉い人。そんな人が下級2年じゃダメだろ?」
あ、飛翔……
「確かにそうだね」
「そうですね」
『み、みんな……』
みんな優しいな……これは俺も頑張んなきゃな……
午後
毎年恒例らしいグループ発表の時間が来た。これはメンバーとそのグループの得点がランキング化されて発表される。ちなみに今日発表される得点は入試の点数のグループ平均らしい。
「一緒に見ようぜ、同じグループなんだし」
タブレット端末で反映されたランキングを見る。俺が元居た世界よりもインターネットの活用が進んでいる。
俺たちは飛翔のタブレットを覗き込む。
1位 1組Aグループ 456点
久遠竜喜・宮瀬龍杜・藤井柊璃・津田亜羅斗
2位 3組Bグループ 447点
時山亜里・吉坂陽・倉本継
岡崎裕太・小林龍生・下浦玲誠
3位 4組Aグループ 445点
海津衛仁・藤田希來・竹国空樹
上田永亜・河越夏渚飛・一枝聖彩
4位 2組Aグループ 443点
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12位 5組Aグループ 420点
水風文人・日和まろん・神代風音・柴崎飛翔
25グループ中12位。上級2年は人数的に4位くらいまでか……
「12位って結構すごくね」
「飛翔はそう思ってれば? このままじゃダメだと思うけど」
「テストの点がすべてじゃないでしょ」
「入試は実技点も入ってるから参考になる。だからこれを採用しているのですけど」
「そっか……」
「でもこれは一時的な点数であって、進級にこのランキングはそんなに影響してきませんから。安心して大丈夫だと」
「ならよかった」
なんか勝手に話が進んでる気もするけど、直接関わってこないならよかった。
12位が凄いのかどうなのかは兄ちゃんに聞いてみる必要があるけど、個人的にはもうちょっと下だと思ってた。やっぱ、すごい人たちが集まってきているのかもしれない。
「じゃあな、文人」
「また明日ー」
「失礼します。文人さん」
『またな』
俺たちはそれぞれ家に帰った。
「今日の発表、見たよ」
兄ちゃんは帰る途中の車の中でグループ発表の話をしだした。
『あ、うん』
「結構凄いじゃん。12位」
『そう……なの?』
「うん。俺たちは最下位だったし」
『そう……なんだ……』
「この順位はあんまあてにならないけどね」
『そうらしいね』
「頑張れ」
『うん』
兄ちゃんは俺の頭を撫でた。
撫でるの気に入ってるのか……? 妹ならまだしも……弟だぞ……俺……