第1話:転移
放課後、高校の屋上、1人の男が告白をした。
「俺は咲の事が好きだ。付き合ってくれ!」
「んーごめん。実弥とは付き合えない」
高校2年生の春、俺は幼稚園の頃から仲の良い幼馴染の咲に振られた。なぜ振られた?悪くない関係性だったはずだ。あっちも俺に好意を抱いていると確信していたのに。
「どうして……」
「まず私は実弥の事が友達としては大好きだよ?だけど、恋愛感情は生まれなかったんだ。だから、付き合うことは出来ない。ごめんね。私もう帰らなきゃ」
小さい頃に出会って無ければ付き合うことは出来たのだろうか。友達にならなければ付き合えたのだろうか。そう考えると涙が出てきた。
そして、目の前を気まずそうな顔をした咲が通り過ぎた時、急に視界が真っ暗になった。
何も見えない。頭が焼き切れそうだ。俺、死んだのか?
数分後、暗くなった視界がだんだん明るくなってきた。群青の空が目の前に広がる。肌で風を感じる。地面に仰向けになっていた。体を起こすと、1人の少女が死んだ俺の目の前に現れた。
「お前は誰だ?」
「私は、アモア・リーフデ。この世界の案内役だよ」
つまりここは死後の世界なのか。
「俺は死んだのか?」
「死んでないよ。この世界はリーブワールド。地球に住む人間の分だけこの世界に体はあるんだ。もう1つの現実だね」
こいつは何を言っているんだ。そんなものアニメの話だろう。死んでないのだとしたら、俺は現実に戻りたい……いや、咲と付き合えない世界なんてもうどうでもいいか。
「お前は俺の何を知っているんだ?」
「三条実弥。高校2年生。父、母、妹の三条葵と暮らしている。幼馴染の早川咲に告白するも砕け散る。そんなところかな」
驚いた。どうして告白を失敗したことまで知っているんだ。
「俺はどうしたらいい?この世界で生きないといけないんだろ?」
「その通り。君にはこの世界の生き方を教えてあげる。そのために私がいるんだよ」
振られたばかりの俺は、1人で生きていける気がしない。
「これからよろしくな。リー……リー……」
「リーフデだよ。よろしくね。じゃあ早速この世界での生活を始めようか!」
こうして俺の物語は始まる。俺はわくわくしていた。
もう1つの世界があるなんて思っていなかったからだ。
しかし、不安もある。なぜ俺はここに来たのか。リーフデとは何者なのか。そして、あいつは地球に住む人間の分だけこの世界に体があると言っていた。
つまり、俺の体は元々ここにあったのか。まぁ、色々考えていても仕方ない。まずはこの世界を楽しんでやろうじゃないか!
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