表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼になった私の話  作者: へたっぴのゆゆ
第1章 転生編
3/29

第3話 魔力の存在

前回のあらすじ

目が覚めたら小屋の地下にいて、森で沢山の死体を見つけて逃げてきた。


ひたすらに走った。

いつもよりも速く、長く。


少し顔を上げてみると、木々が瞬時に動いていく。

まるで車から見た景色みたいに。


どこにこんな体力があったのか、何時間も走り続ける事が出来た。



しばらく走っていると、森を抜け、草原に出た。

その先には、街が見えた。城壁に囲まれているが、建物の屋根が見え、

入り口であろう門が見える。


建物は…屋根しかないから憶測だが、ステンドガラスで出来た白い屋根、

普通の家っぽいの、お店の看板が貼ってある建物…

ビールっぽいマークがあるから居酒屋だろう。他は…わからないな。


ステンドガラスは多分教会だろう、てっぺんに十字架らしき物があるし。


…十字架、か。



私の知っている吸血鬼は、日光、ニンニク、十字架が弱点だ。

どう弱点なのかはわからないけど…


アレを見る限り、いやーな感じがする。

近付きたくはないな。



(とりあいず、布一枚は嫌だし、衣服が欲しい…

 幸い、今は夜だし、きっと、うん多分…寝てるでしょ)


少し街まで距離はあるが、この身体能力ならすぐだ。

…こんなの、いらなかったけど



月が登ってるけど、まだ明るくなってはない。

ただもうちょっとしたら夜明けだろう…急がないと


(日光に当たったら灰になる…んだよね

 都合良く、洞窟とかがあったら良いんだけど)


近づいて見てみると、石で出来た門だった。同様に石でできた城壁もあり、

中々の高さがある事から、跳び超えるのは難しいだろう。


門をガチャガチャと動かす。しかし…


「あ、あれ?開かない…」


鍵…かな?鍵穴もあるし…はぁ

でも門番も居ないしそりゃ鍵かけるか…



(どうしよう…)


よじ登るにしても隙間がないし、

こんなに高くジャンプも出来ないし、

…飛ぶしかない?



この羽で…?無理無理、動かそうと思えば少し震わせるぐらいしかできないのに…

でも、やるしかないよなぁ…布一枚、常に片手を塞がれて生活?嫌すぎるし


「ふぅー…」



背中に繋がってる羽の骨を意識する…

それは私の身体の一部で、腕と同じ様に動かせる…はず


バサ…


背中で風の音がした。とりあいず、動かせてはいるようだ。

でも、鳥ってどうやって飛んでるんだっけ?


羽を動かして、バサバサする…?

でもアレは羽で支えれる重量以下の体重だから持ち上がるんじゃ?



…別に太ってる訳じゃないけど、多少人間サイズに大きいとはいえ、

人間を浮かせるのは無理では…? いや、別に太ってる訳じゃないけど!




もし、ここが異世界なら。

殆ど確定はしている…地球に、吸血鬼は存在しない。

それは私自身の存在で証明しているからだ。


魔力があれば、行けるかもしれない。

フィクションでは魔力は何かを行使する為のエネルギー、もしくは

魔力自体が何かを強化する物だったはず…だったら



羽に魔力を通せば、強化出来るかもしれない。


まずは魔力という物をわからないといけないが…

私が見てた奴だと、お腹とか、心臓とか?にあるとかだったけど

とりあいず体に意識を集中させ、前世と違う感覚を探してみるが…


(んー…わからん。)


感じとれた前世と違う感覚は羽だけだった。

魔力…もしかしたら、ない?


フィクションと現実が同じなのはおかしいし、

もしあったとしても私に無い可能性だってある。


でも、まだ決め付けるには早いから、もうちょっと頑張ってみよう。



深呼吸しながら…意識を集中させて、手、腕、足、頭…そこにある何かを胴体へ流し、集める。

胴体に集めた後、骨を通り、羽へつながり、皮まで全体に流す。

その上で、少し羽ばたかせ、通っているかを確認する。


失くさないよう集中しながら、羽根に通す。


ばさっ。今までで一番、大きな音だった。

浮かぶ感覚に驚き目を開けると、目の前にあった門はなく、下を見渡せば

灯りの無い街、そして足元に城壁があった。


「!?っ」


ジェットコースターの様な浮かぶ感覚に驚き、集中が切れてしまう。


「あだっ!…うぅ」

地面に叩きつけられ、不時着したお尻が痛む。

でも、進歩はあったし。感覚を掴んだ…とは言いづらいが、

できる。飛べる。それに、魔力があるという事も確定した。



「…よしっ」


もう一回、もう一回とやって行くうちに少し明るくなってきてしまったが、

なんとか城壁に飛び乗れ、なんとか街に入れた。



見れる範囲には人はおらず、街灯もない。

大通りには店が並び、その中で恐らく服屋であろう服のマークが描かれた看板があった。


急いで向かうが…案の定、鍵がかけられていた。

防犯的には正しいんだけど、今はやめて欲しかった…


…でも、扉は木製。魔力で強化したら、壊せるかも。


(ごめんなさいっ!)

羽根に集めていたものを拳へと集め、思いっきり殴る。バゴンッという大きい音がしたけど、

ここら辺には店しかないし、大丈夫…なはず!



急いで中に入り、とりあいず大きめの服を選ぶ。

サイズを確認している時間はないし、着られれば良い。

黒いワンピースの様な服があったので、それを今着る。


羽根が引っかかって着れなかったが、

無理矢理破ってなんとか着る。



他にも数着、ワンピース、下着を選んで持っていく。

あまり多過ぎると飛べないと思うし、時間が長いと朝になってしまうから。


一応、着ていた?布も持っていく。私には布は作れないし、

少し汚れてるけど洗えばカーペットぐらいにはできるかも。


ある程度物色し、店を出た頃には少し太陽が見えていた。

気のせいかも知れないが、少し肌がチリチリと痛い…



急いで城壁を飛び越え、全力ダッシュで森に駆け込む。

少し進むと、葉っぱで日光は遮れたようで、痛みは止んだ。

さて、隠れながら日中を過ごせる場所を探さないと…



閲覧ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ