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吸血鬼になった私の話  作者: へたっぴのゆゆ
第1章 転生編
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第24話 混乱

前回のあらすじ

戦いが始まった。

少しずつ混沌と化しつつある乱戦の最中、その中で冷静に動く4人組が一際目立っていた。

見覚えのある四人組。偵察隊だと言っていたあの四人だ。


大剣を持つハガルは大きくゴブリン達を薙ぎ払う。

だがその隙を見逃す程ゴブリンは甘くはなく、すぐにゴブリンメイジの攻撃が飛んでくるも、

側にいるヒルタが軽々と払い、払い切れない攻撃はナキが魔法で相殺。


ナキを狙うゴブリンはハガル、リーリェ、ヒルタが斬り伏せる。

冒険者達は連携など取れておらず、精々周囲に迷惑をかけない様立ち回るのが関の山と言った群衆の中、

四人で連携を取り戦う様は強大な存在にも思える。

あんな事を言うだけの強さはある…って事か。


先程の様に魔法で狙撃されるのを警戒しているのか、どの冒険者も隙を見せない戦い方をしている。

あの四人も警戒しているのか、前線に立つのではなく、少し離れた位置で戦っているようだ。


あの位置ではゴブリンか他の冒険者に当たるし、

仮に当たらず丁度いい位置に攻撃出来たとしても魔法の一発ぐらい防ぎ切られるだろう。


それならと私が直接行こうにも、今の前線の位置は通路の半分程。

まだ行くには早い…と思う。仮に行ったとして、正直勝てる気はしない。

目障りだが、今の所は手を出せないだろう。


(…はぁ…落ち着け、焦るな。前線の戦力を削りつつ、隙を窺う。)

今の私は強い訳じゃない。この身体(吸血鬼の能力)で下駄を履かされているだけだ。

調子に乗るな、慢心するな。もしそうなればすぐ足元を崩されるのは目に見えている。

冷静に、戦況を俯瞰しつつサポート。それが今の私の精一杯(実力)


先程と同じように石弾を撃ち込むが、先程の様に一撃で致命傷を入れる事は難しかった。

更なる攻撃で進軍速度は少し落ちたものの、状況を改善するには至らず、通路の6割を侵攻されてしまった。

対してあちらは30、35人程の戦力が残っている。


(…このまま同じ事を続けていてもこちらの戦力が減るだけで相手の戦力を削れない…

 でもこの遠さで持ち場を離れる…?)


そう悩んでいると、右上…シュウの視界が動いた。

コアから目を離し、壁へ文字を書いている。

急ぎの為か、それはいつもより素早い動きだった。


『動かずにそのまま攻撃。

 ダメージよりも数を減らす事を優先』


位置は変わらず、確実に数を減らせと。

この進軍速度じゃ扉に辿り着く。ただ全範囲に攻撃した所で状況は変わらない。

ただ私の命中率じゃ出来るだけ数を減らしたとしても、この状況が好転する程の打撃にはならないだろう。

それはシュウも分かっているはず。その上で数を減らす?

私には考え付かない作戦があるのだろうか…


とりあえず私は返事として右手に添えていた左手を少し離し、丸を作って見せた。

その後同じ位置へ戻し、一番最初の攻撃の様に魔力を強く硬める。

しかしその個数は一個。一回の攻撃で確実に一人を持っていく。

シュウは丸を見た後、再びコアへと視界を戻していた。



方針を切り替えた後、ゴブリン達も耐久を主軸に動きを変え、その結果今の戦況は膠着していた。

傷を負うゴブリンは減ったが、その代わり徐々に前線は私の居る奥へと押されつつあった。


これだけの人数、これだけの乱戦で完全に隙を無くす事は出来ない。

僅かでも隙を見せた冒険者へ魔法を撃ち込み続け、徐々に数を減らし20人程になったものの、

通路の侵攻具合は8割程であり、一人や二人、広場に抜ける冒険者が居てもおかしくない範囲にまで来ていた。


ゴブリン達も最初の三分の一程になってしまっていて、

今の所無理矢理にでも奥へ進もうとした冒険者はその行動を見逃さなかったゴブリンが攻撃するか、

手一杯そうなら私が狙撃しているが、そろそろ限界かもしれない。


(そろそろ前線に出る?いや、狙撃が来ないと分かれば無理矢理にでも押し通る者も現れるだろう。

 戦闘を生業としている彼らに、ただ人間よりは身体能力の良いだけの素人が勝てるだろうか…)


しかも今生き残ってる連中は不定期に来る私の射撃を避けれながらゴブリン達の攻撃を掻い潜ってきた連中。

そんな相手と戦い、出来るだけ早く蹴散らせなければならない。

勿論吸血鬼と人間との差は大きい。が現状私はそれに甘え切って尚五分五分と言った戦力。

前に出る事でそれがどうにかなるかは定かではないし…

いくら考えたとしてきっと明確な答えが出る事はない、それは分かっているけれどもこのままではジリ貧だ。

 

早くシュウにこの状況を伝えるべきだろうか。しかしそんな合図は決めておらず、

伝えようとするならば直接的な行動を起こすしかない。

叫んでも伝わるかどうか…距離的に離れている訳ではないが、

今視界を離すわけにも行かない。


それにおそらく私の姿を見て隙を窺ってる奴もいるだろう。

こちらも視認し易くなったという事は、あちらも同じ事。

目を離したとなれば一気に攻撃に出るかもしれないし、弓や魔法が飛んでくる可能性もある。

一体どうすれば…

閲覧ありがとうございます。

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