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吸血鬼になった私の話  作者: へたっぴのゆゆ
第1章 転生編
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第2話 驚愕の連続

前回のあらすじ

学校で余命宣告されてからトラックに轢かれた。



''目が覚めた''。


なぜ?さっきトラックに轢かれて死んだのに。

とりあいず目を開けて、周囲を見渡すと、

そこは部屋のようだった。


太陽も月も届かない薄暗い雰囲気の部屋の中。

ひんやりとした空気が漂っている。


(…異世界転生、なんてね)


私はその部屋の中央に寝かされていた。

白い布一枚を被せられていて、体を起こした事でずり落ちそうになったが、

とりあいず持つ事で止められた。


被せられているだけの布以外着ている物はないので、床の冷たさが肌に染みる。

ざらざらしており、一定間隔で直線に線がある。

多分石材のタイルだろう。


そう部屋を観察していると次第に目が慣れていき、

足元にある物に気付く。


(魔法陣?)


中央にでっかく六芒星が描かれ、周りにも装飾が沢山ある。

その線の色は、黒ずんだ赤色だった。


鉄の匂いがし、それが血液であると証明する。



(…悪趣味な厨二病だわ)


周りの壁はタイルではないものの、床と同じような材質の石で作られているようで、

触ってみると、床と同じく冷たくザラザラしている。


そして布が上から垂れ下げられている場所を見つけた。

その布は黒色ではあるものの、今着ている布と同じ物のようだった。


他に動かせそうなものがない事から、ここが出入り口なのだろう。



布を巻くって通ってみると、石でできた階段があった。

先程の部屋よりかは明るく、少し月の光が入っていることがわかる。


階段を上がっていくと、木材が貼り付けてあるドアがあった。

少し開けて見てみると、そこは小屋だった。

木の板をどうにかくっつけた小屋で、今にも倒れそうだ。

木の机、椅子、本棚等があり、誰がか生活していたのだろう。



開けて出てみると、

出入り口が見える。布がかけられた出口が見え、

下に空いた隙間から月光が差し込んでいる。


机にはつけペン…というのか、万年筆のようなペンと、

インクの瓶があり、ペンは机に転がり、黒い線を描いていた。

紙が机の上に広げられており、

そこには黒いインクで先程見た魔法陣が書かれていた。



本棚は、丁寧に手入れをされていたようで、

古びてはいるが、埃などは一切被っていなかった。

適当に一冊取ってみるが、

どこの国かもわからない文字が書かれていた。


(日本語、英語、中国語とか…どれも違うし、

 強いていえば…筆記体に近いか?)


読めないものはしょうがないので本を戻し、

布を潜り、小屋から出る。


恐らく、森の中だろうか。夜の涼しい風が吹き、木々は揺られ物静かな音をたてる。

辺りを月が照らす、どうやら、今日は満月のようだ。


月に照らされ、その中央にあったものは。



何かをを取り囲むようにあった9つもの死体だった。

あまり腐敗は進んでおらず、鉄の匂いがする。


死体は、全て心臓を貫かれており、血の海を作り出していた。

等しく鎧を頭から足まで着ており、何かの兵隊のようだ。


周りには、不自然に飛び散り、木にまで付いた血があった。



「なに…これ」


思わず後ろに下がった。

恐怖からか、崩れ落ちてしまう。


地に手をつける。しかし、触れた物は予想と180°違った。

皮のような何かに触れた。それと同時に、そこから触れられた感覚がする。



「は…?」

手に目を向ける。皮は、私の背中に続いていた。

背中を見てみると、黒い線が続き、そこに皮は付いていた。


…いや、羽だ。

蝙蝠に近い羽。先ほどからの違和感。そんな訳ないと、見ないようにしていた。

死体は、確実に''50メートル''以上離れているのに。まるで近くのように見えるし、匂いも感じる。

光が何もない地下室で、自分の部屋よりも明るく感じる?


なぜ、あんなに血が美味しそうに感じるのだろうか。



死体への恐怖はあるが、軽いものだ。

自分でも驚く程に、それが当たり前だと感じている。


普通の人間、平和な日本で、死体を見て動じない高校生がいるだろうか。

もし、見た事があったとしても、1.2回ではこの様にはならないだろう。



吸血鬼。それは仮想の怪物で、墓から這い出た死した人間とされる。

夜にのみ活動し、鋭く伸びた歯で生きた人間の血を吸い生きながらえる、不死の怪物。

蝙蝠ような羽が生え、青白い肌、鋭く伸びた爪。

その眼は血の様に紅く、暗闇の中でも獲物を狙う。

全体的に身体能力が高く、夜が明ける前にその姿を消す。


そんな存在に、なってしまったのか?



「は、はは」


乾いた笑いがでる。何故、私が。

良い行いだけだったとは言えない。

けれど、地獄に突き落とされる様な事をした覚えもない。


…あの時。あの子の言葉を素直に聞いていれば?

違う結果だったかもしれない。今も私は日本で安全に暮らしていたかもしれない。


まぁ、そんな事を思っていても何も変わらない。

過去は過去、今は今なのだから。



(これから、どうしよう)


もう、頼れるものは何もない。

ただ思うのは、もう死にたくないという言葉だけ。



(…とりあいず、ここを離れよう。)

死体に釣られて野生動物が出るかもしれないし、

兵隊の生き残りが居ればさらに部隊が安否を確認しに来るかもしれない。

小屋に隠れる手もあるが、森の中にポツンとある小屋を探索しない、なんてないだろう。



全力で、森の中を駆け出した。



閲覧ありがとうございます。

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