第15話 探索
前回のあらすじ
ステータス等の情報共有をした。
「随分と自信があるようで…
それで、冒険者がいつ来るかは知ってるの?
他にも規模とか。」
『分からない、時期も規模も。
だから、いつ来ても良いようにここで生活して欲しいのだけど…』
ま、拠点の場所もわかんない事だし、思ってもみない事だけど。
寝首掻き切られそうで怖い…と思ったけど私寝ねぇわ。
常に警戒してたら大丈夫か。
「わかったわ。部屋…は、あるの?
別に無くても良いんだけど。」
『ゴブリンはずっとあの広場だから、
部屋自体結構はあるよ。殆ど家具とかないけど…大丈夫?』
「睡眠取ったりとかしないし、別にいいわ。」
「じゃあ部屋に案内するよ。行こうか。」
「ええ。」
コアの部屋の前から右に曲がり、すぐに部屋が見えてきた。
左右に扉…と言うか入り口が掘られており、かなりの数があるが、
聞いたところによると殆ど空室らしい。
「空いてるとこならどこでも良いよ。」
そう言われ適当な手前にある部屋に入ると、
正方形の広くもなく狭くもない丁度良い空間だった。
棒や藁などが雑多に置いてあるが、どこか生活感を感じる。
「妙に生活感あるけど、誰か住んでたの?」
『…前にね。嫌なら別の部屋行ったら?』
「特にこだわりはないし、
ある程度一人になれる空間があったら別に良いわ。」
早速藁や棒などを部屋の角に一纏めにする。
シュウはその様子を黙って見つめていた。
片付け終わり、適当な場所に座った後、シュウに話しかける。
「それで…協力するのはいいけど、これからどうするの?
時期も規模もわからないんでしょ?」
『こっちで調査はする、けど成果は期待しないで。
情報がないから対策の取りようがないから、対策としてはレベル上げる…ぐらいかな
ゴブリン達は夜目が効きづらいけど、君はそうじゃないでしょ?
昼、夜と交代で平均的にレベル上げをする。
ただ、今はゴブリン達よりルナの方がレベルが低いからルナのレベル上げかな。』
「弱くて悪かったわね。」
嫌味を言ったのにも関わらず、シュウは先程と変わらない様子で話し続ける。
『ルナのレベルが低い間は昼にゴブリン達が獲物を洞窟に集める。
そしてそれをルナが仕留める。夜間はルナが出てレベル上げ。
僕はダンジョンの中からルナと感覚共有する。
冒険者が来た場合はすぐに帰還。ルナ自身が危ない場合も同様の対処。
他には何かあるかな…。』
これまでとやる事は大して変わらない、か。
「それで良いわ。」
『獲物が集まったらか夜になったら教えに来るよ。
それまで好きにしてていいけど、ダンジョンコアの部屋には入らない事。
扉も開けない事。もし破ったら…』
「殺す。そのぐらい分かってるわ。」
『仲間は殺したくないんだ。そうしなくて済む事を祈るよ。
…じゃ。』
シュウは部屋から出ていく。
入り口から覗き、コアの部屋に入って行ったのを見届ける。
(とりあいず探索だ。禁じられてるのはコアの部屋に入ること、だからね。)
部屋から出て、部屋数を数える。
左右に其々8部屋ずつ。合計16部屋。
出て真っ直ぐの部屋に入る。
私の部屋と同じく、枝や藁、葉っぱなどが散乱していた。
次の部屋…次の部屋と行くが、
同じ、もしくは何もないだけだった。
(最後の部屋も何もない、か。さて、戻るか…。)
そう思い振り返ろうとすると、ふと突き当たりの壁が目に入る。
…何か、線が入っているような…?
もしかして、隠し通路?
そう思い、少し押してみると、石扉だったようで、簡単に開いた。
中にあったものは…
「白い汚れた布?いや、これは…」
死体だ。人型…でも、この大きさはゴブリンではない。
ゴブリンではない、とするならば…
「……」
布の隙間から見える何かを、私は見ない事にした。
部屋の壁には武器や鎧等が立てかけられていた。
辺りには血の跡や腐った何かが散らばっている。
「冒険者……。''冒険者に聞いた話''、ね。」
…別に、私がやった訳じゃない。そう言い訳をしながら、隠し部屋を出た。
ここでばったり遭遇…なんて偶然も無く、無事に部屋に戻る。
部屋に戻り、座ろうとしたが、床の土が変な感覚がするような気がして、
持って来ていた布を敷き座布団にする。
「……もしかして…。いや、まさかね。」
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