第14話 ダンジョン
前回のあらすじ
シュウと協力する事になった。
私の大体のスキルや称号の内容を話し終えた頃、
シュウにスキルや称号のことを尋ねると、
こちらがあまり隠さず話したのが功を奏したのか、あっさりと教えてくれた。
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ースキル『命令』レベル:3
条件を全て満たした対象に命令する事ができる。
対象は命令に逆らえない。
自身と同系統の種族
自身よりレベル低い相手
(レベルが同じ場合は条件を満たさない)
対象が意味を理解していない場合と
対象が命令を聞いていない場合、効果は発動しない。
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さっきのホブゴブリンの動きを止めていたのはこのスキルだろう。
条件が多いが、それでも尚強そうだ。
同系統と言うのは、ゴブリンのホブゴブリン、メイジ等の事かな?
種族が違うと発動出来ないらしいので、
私に対して発動される事は無さそうで良かった。
まぁレベルさえ高ければどんな生物でも
操れるスキルってあまりにも最強過ぎるしね。
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ースキル『感覚共有』レベル:4
対象の感覚と自身の感覚を共有する。
対象が共有を拒んだ場合共有出来ない。
共有可能な感覚ー
視覚
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ー称号『ゴブリンの王』レベル:3
従えるゴブリンの数に比例し魔力が上がる。
従えるゴブリンの意思を理解出来る。
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スキルの説明を聞きながら歩いているうちに、
いつの間にか大量のホブゴブリンが居た広場の前まで来ていた。
シュウが先行し、大声で『吸血鬼を襲うな』と叫ぶ。
私は名前でも良いのでは…と思ったが、
ゴブリン達は私の名前を知らないから、スキルの説明にあった
「対象が意味を理解していない場合」に当たるからか、と自己完結した。
その後身振りでこちらへ来る様誘導され、そのまま着いていった。
物凄い数の視線を向けられるが、命令通り襲われる事はなかった。
再び一本道の通路を歩き始め、ステータスの詳細を聞き続けた。
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ー称号『剣士』レベル:2
剣を手に所持している際、力が上がる。
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最後一つの知らない称号、ダンジョンマスター。
その称号について、ショウに尋ねる。
「ねぇ、このダンジョンマスターって…」
『見た方が早いでしょ?もう着いたよ』
そう言われ、目の前を見る。
今までの何もない空間の先にあるとは思えない程、しっかりとしていて大きく、
更に鉄らしき物で装飾が施されている木製の扉だ。
シュウが扉を開ける。
その先にあったのは、広くもなく狭くもない石造の空間と、
中央の台座に置かれた、薄い青紫の様な色をした水晶だった。
私は入ろうとすると突然、シュウが叫んだ。
『入らないでッ!!』
その叫びは強い拒絶を感じされられた。
案内しておいて入るなとは何事かと思い文句を言おうとしたが、
シュウが喋り出したので言えなかった。
『''アレ''はここ...このダンジョンのコア。
権限で見るのは良いけど、近付かないで』
叫んだ事に謝りもせず、少しイラッとしたが、言われた通り見させてもらう。
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ー名称「ダンジョンコア」レベル:2
ダンジョンの魔石であり、ダンジョンマスターの魔石でもある。
称号『ダンジョンマスター』を持っている者のみが操作できる。
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魔石?魔石って…灰になったホブゴブリンの中にあったやつか。
あれ、小説でよく聞く設定は…
『魔石は魔物の心臓。
僕にとってあれは、第二の心臓なんだ。』
「…なるほどね」
だからあの反応ってわけね。
でも事前に説明する事ぐらい出来たと思うけど…
…不器用なのか?
『あのコアを介して、ダンジョンの地形や魔物を生成できる。
今は魔力がないからできないけど…』
地形…そういや、入口にトラップがあったな。
「入口にあったトラップもそれ?」
『そうだね、あれ当たった事ないけど』
当たった事ないのか…トラップって弱いのか?
私が踏んだ時、初見で避けれたぐらい遅いからまぁ当然なのかな。
でも侵入者がどれくらい居たかとか知らないし、まだわかんないか…
私がそう考えてるうちに、シュウは扉を閉めた。
『さっきなんで逃げ出さないのかって聞いたよね。
理由はダンジョンコアだよ。
動かせない訳じゃないけど、ダンジョン外に出せないんだ』
えーと…ダンジョンはコアの周囲に出来ている訳じゃなくて、
ダンジョンの中にコアがあるって事?
あくまでもここがダンジョンと言う場所であり、
そこから持ち出すことはできない…って事なのか?
『僕自身はダンジョン外にも行けるけど、
無防備な自分の心臓を置いて、行き先もわからないまま散歩なんてできないよ。
そりゃそうだ。
「それについては分かったわ。次の質問だけど…
件の話を聞いた冒険者って誰?そしてなんで信じてるの?
嘘をついている可能性だって…」
『ただの冒険者だよ、それ以外僕も知らない。
僕自身も完全に信じている訳じゃないけれど…
死ぬ可能性を少しでも減らしたいと思うのは、当然じゃない?
事実、君もそう思ったから協力しようと思ったんじゃないの?』
…図星だった。
「…私が裏切るとかは考えないわけ?」
『んー、ルナは裏切らないんじゃないかな?』
ま、ただの勘だけど』
「少しでも死ぬ可能性を減らしたいと言ったのに、
そこは随分と適当なのね?」
私が揶揄うようにそう言うと、シュウは少し間を置いた後、
『昔から勘だけはいいからね』
と自信げにそう言った。
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