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吸血鬼になった私の話  作者: へたっぴのゆゆ
第1章 転生編
13/29

間話 森の中の出来事 ※別視点

間話は読まなくても本編の話は繋がるお話です。

読んだ方が今後の展開が面白くなると思います!

ー・


「依頼達成です。こちらが報酬となります。」


「ありがとう。後こっちも買い取り…」



私は待機場で椅子に座り、

受付で報酬を受け取っているラジを眺めていた。


先程負傷した左腕をさする。

あの状況でこの傷だけで済んだのは不幸中の幸いだったけど…


…でも、''あの人''に助けられて無ければもっと多くの傷を負っていただろう。

五体満足で生きて帰れたのは、あの人のお陰だ。


(…あの人は一体…お礼を言う間もなく消えてしまったし…)



私達はEランク冒険者の集まり、【森の灯火】。

リーダーの剣闘士ラジ、騎士のオクナー、私こと魔術師のティア。

この三人で結成されたパーティー。


そんな私達は、つい先程までとてつもない窮地に居た。



ー・・・


「オクナー、こっちか?」


「ああ。」


冒険者は様々な土地を冒険する。

そんな冒険の中で、私達はオーキスというこの街に着いたのが今日の夕方。


夜で視界が見えにくくなるだろうし、この街での初めての依頼という事もあり、

簡単そうだった薬草採取の依頼を受け、

私達はオーキス近くの森に入っていた。


森に入ってしばらくすると、オクナーがスキルで目標の薬草を見つけたらしく

オクナーの案内にラジと私はついて行っている。


「ねえ、本当にこっちなの?

 歩き始めてしばらく経つけど…」


「ティア、オクナーの案内が間違ってた事があったか?」


「あったでしょうがついこの間!!このバカタレ!

『こっちだ』とか言いながら森に入って

 3時間ぐらい迷った挙句何の成果も得られずそのまま歩き続けて

 最終的に森に入った場所に戻っただけだったでしょうが!」


「へへ…そんな事もあったっけ」


「…てへ」


「「てへ」じゃないのよ「てへ」じゃ!

 大体ねッ!あの時もあれもアンタが・ーーー!!」


「まぁまぁティア、少し落ち着けって…」


「アンタもよラジ!この前散々言ったのに

 まーーた新しい剣を買ったわよね!他にも・ーーーッ!」



「…あった」


「ちょっと聞いてる!?ねぇ!!」


「少し落ち着けって…おぉ!ティアも見てみろ!」


納得がいかないまま、ラジの指差している所を見てみた。

木々の先に自然豊かな光景が広がっているのが見えた。

花は咲き誇り、草は静かな風の音と共に動き、安らかな音色を奏でる。

空はキラキラと白色に輝く星と綺麗な紺色で満ち、所々雲が泳いでいる。


今まで鬱蒼とした森の中に居たため、景色なんて見えなかった。

その分、その光景はより美しく見えた。


「良い景色だな!なぁティア?」


「ま、まぁ……良い景色ね。

 言っとくけど、まだ納得してないんだから!」



「…あそこ」


オクナーが遠くに指を差す。

そこには、依頼目標の薬草が大量に生えていた。


「あれだ!目標の草!」


「『薬』草よ、全く。

 ただの草を収集してどうするのよ」



ラジが走って向かい、それに続いてオクナーも小走りで薬草を採りにいく。

私はそれを見て呆れながら歩いて向かおうとした。


「「グォガギャァアアアアッ!!」」


そんな咆哮が聞こえ、背後にとてつもない気配を感じた。

瞬時に後ろを振り返ると、すぐそこに巨体のゴブリンが居た。


(ッ、こいつ、普通のゴブリンじゃない!

 ホブゴブリン…!?)



ホブゴブリンは何回か倒した事はあるが…

しかし、前衛と離れているこの状況はまずい…ッ


「グルゥ…ギァガァアアアァッ!!」


「ひッ!?」


ギロリと目がこちらを向く。


「「ティアッッ!!」」


そんな二人の声が聞こえた。

殺される。そう思った時、どうしようもなく怖くなった。


「ぃや…いや…

「「いやゃぁあぁぁぁああぁああああッ!!」」


恐怖で倒れた私に、ホブゴブリンは無情に爪を振り下ろした。


瞬時の所で左腕でガードするが、

振り下ろされた爪が腕に深く食い込み、猛烈な痛みと共に

大量の血液がぼたぼたと流れているのが見えた。


「ぁ…あ……ぁ」


恐怖で動けない。

そんな私の様子にゴブリンは愉悦を感じているようで、

目を細めてニヤリと笑い、乱暴に腕を振われ私は木に叩きつけられた。


「「ぁがッ!」」


叩きつけられた衝撃で身体が悲鳴をあげる。

ゴブリンは更なる恐怖を与える為、ゆっくりこちらに向かってきた。

ノシ、ノシ…その時間は、どんな時間よりも長く感じた。



「発火ッ!」


「ガァギャッ!?」


そんな声が聞こえた。

飛んで来た火の球はホブゴブリンの頭に直撃し、

反撃されると思っていなかったゴブリンは取り乱していた。


(女の声…誰…?)


まだ目の前にゴブリンが居るのにもかかわらず、

私は火球が飛んで来た方向を向いた。


目が合った。


木の影に潜む紅い目をした彼女は、

見られていると気付くと、木の影に隠れてしまった。


「「ガァギャギャアァァアア!!」」


ゴブリンの雄叫びが聞こえすぐにそちらを向くと、

反撃された事に逆上したゴブリンが私に爪を振り下ろそうとしていた。

閲覧ありがとうございます。

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