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依存少女  作者: かなん
19/22

十九 大人の女性 2

申し訳ありません。投稿が遅れました。

読んでいただけたら、嬉しいです。


 俺が落ち着いたのを待ってから、礼華がようやく腕を解く。その体温から離れがたいと思う、思ってしまった、そんな俺自身を無理やり黙らせて顔を上げる。


「その傷・・・悪かった」


 礼華の整った顔を汚す、口元の青あざ。白過ぎる肌のせいで余計に目立ってしまう。

 

「気にしなくて良いわ。あんな腰の入ってないビンタ、少し、口を切っただけよ。明日には傷一つないわ」

「・・・ありがとな」


 彼女の言葉に、素直な感謝が口をついた。

 そんな俺に礼華は満足そうに頷くと、再び俺の目の前に座る。


「さて、本題に戻ろうかしら」

「ああ・・・」


 さっきの事を皮切りにして、ここ最近、慢性的に俺を悩ませてきた頭痛がだいぶ治まってきた。

 呼吸も落ち着き、まだ喉はイガつくが、胸の奥を掻きむしりたくなるような苛立ちも収まっている。


「まず、知っていて欲しいのが、私に貴方の事を責める気は特に無いということと、私は貴方の味方であるということ。実を言うと、二回目に貴方と会った時から、貴方の状況はある程度把握していたの。だから、すぐに貴方を呼んだのよ」


 「まあ、それよりも早く椿が来てしまったのだけど」と困ったように礼華は笑う。

 成る程、彼女の言い分は分かった。

 だが、まだ不明な点がある。

 

「味方なら、どうしてあの時秋音を?」

「あの時、あの子があそこにいたっていう情報が多くあったからよ」

「・・・マジか」

「安心なさい、誰かと一緒に居たとはバレてないわ。ただ、後で貴方が一人の時に問い詰められるより、私がいる段階でアリバイを作っておいた方が良かったでしょう?」

「それは・・・確かに」


 変装していようが、バレる時はバレる。そんな当たり前の事を改めて突きつけられた。

 それに、俺と秋音が一緒に居たのは事実だ。もし、真夜に問い詰められたらやばかった。


 と、そこである事実に思い至る。


「なあ、そういえばあの時、どうして秋音は真夜に嘘を吐けたんだ?」

「簡単よ、嘘を言ってないだけ。だって、実際に秋音は本を買ったもの、あの付近の書店で」

「・・・」


 俺が訳がわからないと、無言で示すと、礼華は楽しそうに続けた。


「真夜は嘘を見抜けるだけ。本当の事を言わない、嘘を真実で隠す、そういった事は見抜けないの」


 言われて、納得する。どれも、心当たりがある。


「道理で、最初から知りたかったよ」

「いえ、あまり過信し過ぎるのも良くないわ。流石に嘘に無理があれば、彼女自身の直感とは別に、普通に見抜かれるから」

「・・・あー、善処するよ」

「ふふ」


 そこまで話したところで一度、会話が途切れる。

 礼華がコーヒーを飲んだのにつられて、俺も水滴の滴るグラスに手が伸びた。

 だが、その直後に続いた彼女の言葉に、グラスを運ぶ手が止まる。


「今の状況、一瞬で解決する手がある。そう言ったら、貴方はどうする?」


 

 


 



 

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