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笑わない巫女少女と笑わせたい鬼 3

 


 *


 *



 撫子が、妖想郷に来てから三ヶ月が経った。その間、少女は口角をうんともすんとも、上げようともしない。


「あの……、大鬼様……」


「なんだ?なでしこ」


「……食べ、にくいです……」


 夕飯時。大鬼は、漆の塗られたお椀を手に取ってご飯を咀嚼する撫子をじっと見ていた。


「!!ふふーん、そうであろう!?」


 少しだけ困ったように眉をひそめた少女を見た大鬼は、何故か瞳を輝かせ、嬉々とした表情である。


「はい……少し……近い、です」


 困った気持ちになるほど、ジリジリと大鬼に近寄られた少女は、その感情が揺らぐのがいけないのかと思考し、ヒュンッと即行で気持ちを押し殺しては、表情を真顔に変えた。

 それから、黙々とご飯を食べ進める。


「ぬ!!なんでまた無表情に……ったぁぁ!?なんぞ!?」


 すぱーーんっ!!


  撫子の女房の話を聞いて、急いで駆けつけてきた大鬼の側近が、白い扇子で大鬼の頭を思い切り引っ叩く。

 それから側近は、こめかみに手を置いて苦悩な表情を浮かべると、クワッと口を開いた。


「……大鬼様……。なんぞ!?ではありませんよ!!なに考えてるんですか!?嫌われたいんですか!?アホなんですか!?」


「あ"あ"!?きさま!!誰にそんな口を聞いておるか!」


「あんただよ!!このアホ鬼様!!」



「………もぐ、もぐ…」


 少女は笑わない。

 大鬼と側近のやかましいBGMを聴きながら、眺めながら黙々とご飯を食べ進めた。


「……ごちそうさまでした……」


 騒々しい二人に我関せずを貫いた少女が、手を合わせて席を立った。



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