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第二十一話

これは無理だ。

私はともかく娘たちにさせることができる内容ではない。


私たちは呆然としていた。

たった一人を除いて……


「なんだ、当たりじゃん。」

その声は静寂の中で大きく響いた。

その声の主はなんと唯だった。


私は慌てて

「何言ってるの!?これは無理だわ。こんなことあなた達にさせられない。」


奈月も私の意見に同調して

「そうだよ、唯。お父さんなんだよ?」


唯は私たちの言葉を聞いても平然として、ルビちゃんに向かって問いかける。


「これ、『新しい』があるってことは『前の』のカードもあるんだよね?」


ルビちゃんはイヒッと笑い、


「君すごいね!メンタリストか何かなのかな?確かにあるよ!んーっと…」


ルビちゃんが手をかざすと一枚のカードが浮かび上がりクルッと回転した。


【制限時間:24時間

前の夫と(父)と7回以上性交し、その精を体内に受ける。

※一人一回以上必須】


私と奈月は驚きで言葉が出ない。


「なんでわかったのー?ルビちゃんびっくりだよ!」


唯はふぅ…と息をつき

「99個も内容を考えるのは大変でしょ?だとすると、私たちが引いた内容を思いついたときに『前の』はすぐに思いつく内容だからね。」


唯は私たちに向き直り、

「これでこのカードがハズレじゃないってわかったでしょ?私が5回ヤるからお母さんと奈月は1回ずつお願い。」



あまりにもアッサリと宣言する唯に戸惑ったけれど、私はハッと我に返った。


「ダメよ。きっと陽一さんも断ると思うわ。」


「じゃあなに!?

ヤツに戻せばいいの?私たちはずっと生き地獄を味わえばいいの?それにお父さんだって、またアイツにゴミのような扱いをされるんだよ!?あの優しいお父さんが…

私はこのミッションに賭けてるの!!あの制限さえ無ければ私一人で構わないのにッ…」


唯は叫び、ギリッと奥歯を噛んだ。


「うーん、よく考えたら若く見えるし、爽やかでイケメンだし。何よりそこら辺の男より優しくしてくれそう…私もいいかな。」


奈月も賛成になったようだ。



「「あとはお母さんだけだよ。」」と、2人の声が重なる。


私は覚悟を決め、

「わかったわよ!でも、5回はお母さんだからね。唯と奈月が1回!」


唯が「それはズルい。要交渉。」と言った。



ルビちゃんは待ちくたびれたのか、フワァぁぁぁぁぁァッと大きなあくびをしてから


「話合いはもう終わった?ルビちゃんチカラ使いすぎて疲れちゃった。じゃあミッション頑張ってねー。」


相変わらずルビちゃんは緊張感のカケラもない。


その時、唯が「ちょっと待って!」とルビちゃんを止める。


「なに?君たち呼び止めるの好きだよねー。ルビちゃん疲れたって言ったよね?」


「1つだけ聞きたいことがあるの。アイツの邪魔は入るの?」


あれ、確かさっきもアイツって…誰のこと??邪魔って?


ルビちゃんはイヒッと笑い

「それはルビちゃんにはわからないなぁ。じゃーねー。」




私の意識は遠のいていった…

人生の中で最も長い一日が幕を開ける。


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