第19話
気がつくとあの暗闇だった。
途端に全てのことを思い出す。
(そっか…一週間経ったんだ。)
今までのことは全て夢だったんじゃないかと思える。あまりにも幸せすぎたから…
それはきっと唯と奈月も同じだろう。
すると、やはり暗闇の一部に光が当たり彼女が姿を現した。
(ルビちゃん、いつも浮かんでるなぁ。)と心の中で思う。
「やぁ!この一週間はどうだった?幸せだったかい?」
私は笑顔で答える。
「えぇ、幸せだったわ。ずっと夢を見ていたような気がするくらいに。」
「それは良かったよ。でも、約束の期限だよ。」
これほどの夢を見させてもらったのだ。ルビちゃんには感謝しかない。
『夫が元に戻る』
そう考えただけで身体が震える。またあの日々が…
ルビちゃんが告げる。
「君たちには2つの選択肢と4つの結末があるんだよ。まぁ、まずは選択肢の話からしようか。」
ルビちゃんの提示した選択肢はこうだった。
①…今までの一週間全てを無かったことにし、元に戻る。この場合、日時も一週間前に戻る。
よって、全て元通り。
②…ミッションにチャレンジする。クリアすれば夫を交換できる。つまり、今の生活を続けることができる。
今までの一週間もちゃんとあったことになる。
「先に言っておくけど、ミッションは難しいものが多いよ。中には簡単なものもあるけど…まぁ、そこは君たちの運だね。」
私は最初からずっと気になっていたことがある。
ルビちゃんはずっと『君たち』と言っている。3日目が終わった時にも『3人とも同じ質問を〜』と言っていた。ということは、やはり…
「ルビちゃん、このミッションは私だけで受けるものじゃないんじゃない?」
ルビちゃんはフフンと、
「その通りだよ!君たち3人でミッションを受けてもらう。君と君の娘2人とね。」
「今、同時刻に君の娘たちにも同じ提案をしているんだよ。ミッションを受けるには全員が『受ける』を選択しなければいけない。そこで、次に結末の話さ。」
①…全員が『受けない』を選択。元に戻る。説明は不要だね?
②…全員がミッションを『受ける』を選択し、見事に達成。これも先程の通り。
③…1人でもミッションを『受けない』を選択。これは最悪。ヤツはこちらの記憶を持ったまま向こうへ戻る。ということは、『受ける』を選んだ人は、ヤバイことぐらいわかるよね?
④…全員がミッションを『受ける』を選択し、失敗。ヤツはこちらの記憶を持ったまま戻る。まぁ、全員生き地獄を味わうだろうね。
「という感じだね!理解できたかな?」
私は質問を続ける。
「ミッションの内容は前もって知ることはできないの?あと制限時間は?」
「当然の疑問だね。内容を前もって知ることはできないよ。君たちに有利になりすぎるからね。それと、制限時間はミッションによって違うから一概には言えないよ。」
「実現不可能なものは入ってないんだよね?」
「それは大丈夫だよ!それだとルビちゃんが面白くないからね!」
「質問は終わりのようだね。さて、そろそろ決まったかな?」
最初にミッションの話が出たときから私の答えは決まっている。
その答えはたとえ実現不可能なものが入っていると言われたとしても変わらない。
私は覚悟を決める。
「えぇ、決まっているわ。」
ルビちゃんが意地悪そうに告げる。
「あっ!もちろん、この会話はヤツも聞いてるからね。まぁ極度の熱さに転げ回ってるだろうけど笑笑」
「わかってるわ。」
「フフン、じゃあ聞こうかな。君の答えは?」
『受ける!!!』
私は今まで生きてきた中で一番の大声で宣言した。
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