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母と私と

作者: ミナ


「ミナは失敗だった」


母と一緒に居た時にふと母の口から出た言葉だ。


通信制の高校をギリギリで卒業して、実家に住んで統合失調症という精神疾患を患い、アルバイトしか経験のない私に対してしみじみと言った感じだ。


「ふーん」


私は特に感情も出さずに興味もなく返した。


私の母はいわゆる毒親というものだ。

母も精神疾患を患っていた。今となっては正式な病名は分からない。


小さい頃から母の不平不満愚痴、罵りを聞いてきた私にとっては、またかという諦めから軽く流していた。


「子供なんて産まなければよかった!」


と、耳にたこができる位聞いてきた。

そしてその後


「産んでなければお父さんと別れられるのに!」


そう癇癪を起こして自分の親、妹、父の親、妹の悪口を延々と繰り返す。毎日のようによくもまあ、そこまで悪口が出るなと不思議に思いながらも聞いていく日々。

近所のおばさん達の噂話を蔑んでいたが、子供に悪口や罵りを聞かせるのはいいのかなとも思う。


私から見たら母は世界の何もかもを憎んでいるように感じた。


母は私が30歳の時に亡くなった。


それまでは私が家を出ても、結婚しても、執拗に干渉してきた。携帯がある時代なので、電話を掛けてきては怒鳴り散らしてきたものだ。


自分にとってはとても重い存在だった。

亡くなった後の今でも夢に出てきては罵って私を苛む。


母が亡くなった後に生きるのはこんなにも楽なものだったのかと衝撃を受けた。母が居ない世界はとても優しさに満ちた世界だと知った。


そうして、寂しくもあった。

ある意味、共依存の存在であったから、孤独を感じた。


私を失敗というなら何故にそこまで、固執していたのだろう。

今もその失敗作の烙印は消えない。

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