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朝舞探偵事務所~妖魔のおもてなし~  作者: 空と青とリボン
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圧倒的な力の差

圧倒的な力の差。今まで闘ってきた妖怪の中でも一位二位を争う強さだ。茜はわき腹の痛みに耐えながら起き上った。

「そなた、わしには敵わないと分かっていてまだやるのか。」

鶫守は呆れたような表情で聞いてきた。

「当たり前よ!太郎ちゃんを返してもらうまでやるわ!!」

そう断言するとすぐに巨大な霊弾を作り出し鶫守に投げつけた。

「それはさっき見たぞ!」

霊弾が鶫守を襲う寸前、鶫守は片手でそれを薙ぎ払った。弾かれた霊弾はその威力を落とさないまま淳目がけて飛んで行った。

「淳君!!」

茜が叫ぶ。しかし間に合わず霊弾は淳を襲った。淳はかみそりの刃のような鋭い霊弾に吹っ飛ばされた。

「淳君!!!」

茜は真っ青な顔で淳の元へ駆け寄った。倒れこんでいる淳。茜は震えが止まらない。

「淳君・・・。」

茜は今にも泣き出しそうだ。すると淳はゆっくりと体の向きを変え茜と視線を合わせた。

「大丈夫だよ。とっさに自分の霊気でガードしたから。たいした怪我ではない。」

淳はそう言ってにこっと笑った。どう見てもたいした怪我ではないという風に見えないが淳は茜を心配させまいと笑顔をみせる。

「淳君、ごめんね・・・。」

茜はとりあえずほっとし、謝った。

「茜ちゃんが謝ることはないさ。今まで茜ちゃんの必殺霊弾をたくさん見てきたんだ。いざという時の為に訓練は出来ているさ。茜ちゃんのパンチは世界を狙えるからね、まともにくらったらあの世行きだ。」

淳がからかうように言った、これもみんな茜を安堵させるため。茜に淳のいたわりが伝わったのか

「もう、淳君ったら。からかわないで!」

茜がやっと笑顔を見せた。それを見て淳もほっとする。

「そちらの男は素晴らしい反射神経の持ち主だな。あの速さの霊弾を見極め、とっさに自分の霊気で防御するとはなかなか出来る事ではないぞ。」

鶫守も心底感心しているようだ。

「そりゃどうも。」

淳は苦笑いしながら答えた。敵に褒められるというのはそれほど力の差が歴然という証拠だ。茜と淳に打つ手なし、かなり追い込まれていた。まさか鶫守がこんなに強いとは。

「こうなったらトラップで行きましょう。」

茜が淳の耳元で囁いた。淳はそれに頷く。

「なにをこそこそ話しているのだ。」

鶫守は訝しげに聞いてきた。

「いいえ、なんでも。それより太郎ちゃんは無事なんでしょうね。」

「案ずるな。わしはそなたらのような力のある者にはそれに見合う力を出して戦うが太郎のような弱き者には手を出さん。しかし太郎はわがままで困る。」

「わがまま?」

「ここは寒いのだのお腹が空いただのわがまま過ぎるわい。」

鶫守の困惑した顔を見て茜と淳は思わず顔を見合わせた。わがままが言えるくらいなら本当に太郎は何も危害を加えられていないのだろう。それを知って心底安堵する二人。

「それで?太郎ちゃんをほったらかしにしているんですか。」

茜がちなみにと聞いてみた。

「布団と食事を差し入れしてやった。今頃布団の中でぬくぬく過ごしているだろう。しかし太郎がこのわしを見てもあぁも余裕でいられるのはそなたたちのおかげじゃな。」

「私たちのおかげ?」

「そうじゃ。心強い仲間がそばにいるから安心してわしにあぁしろこうしろと言えるのだ。いざとなればそなたたちが助けに来てくれると信じている。太郎は良い仲間を持ったな。」

鶫守の瞳に浮かぶ優しい色。茜と淳は自らの緊張が解けていくのを感じた。この妖魔は良い人だ、二人はそう確信した。しかし太郎は無事だとしても夜鶫の鏡を持って帰らなかったら朝舞探偵事務所の名に傷がつく。鶫守が良い妖怪だと知って迷いそうになる心を振り切って茜は隣の淳に合図を送る。

「封魔陣を敷くわ。」

「・・・あぁ、了解。」

淳は答えた。しかしその声には少し迷いの色があった。淳は正直迷っていたのだ。果たして夜鶫の鏡を手に入れることが本当に最善なのかと・・・。



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