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ゴブリンの武器屋①

剣士には剣を、重装兵には大楯を、回復師にはポーションを

人間の冒険者は武器、装備、道具をそろえてモンスターに挑みます

それは人間だけでしょうか?

いいえ。人間以外も同様です。

オークには棍棒を、スケルトンにはアーマーを、ヴァンパイアには血を

あらゆるモンスターの為の武器、装備、道具を取り揃えています

お客様に合ったものを当店で選ばさせていただきます

お客様は選びません 

棍棒から伝説の杖までどんな商品でもお客様に合ったものを販売いたします

ようこそお越しくださいました

ゴブリンズストアへ

 

「おい、あったぞ、奴らの集落だ」

「お前が泳がせてたやつの仲間か?」

「ああ、あの見た目はグリーン種だから間違いない。今朝のでかい荷物やつは見かけないが多分同じだろう」


 二人の冒険者の茂みの中で話している。


「数は………だいたい20前後だろう。あの掘っ立て小屋の中まではわからないが」

「よし、それなら俺の剣で切り込む。そのあと魔法攻撃を頼むぞ」

「まて、あの数は二人では無理だ。応援を呼ぶぞ」

「何言ってんだよ。俺らなら楽勝だぜ」

「バカ!油断するな。リスクを考えろ。それに今日はお前の結婚記念日なんだろ。プレゼントまでかったのに、ケガして帰ったらどうするんだ」


 剣を持った冒険者のポーチには妻の髪に似合うよう選んだ髪飾りが入っている。


「うーむ…、そうだが…」

「特に今日は、だろ」

「……、そうだな、お前の言うとおりだ」


 男たちがその場を去ろうとしたその時、

「ニンゲン、ニンゲン。ミツケタ、ミツケタ」


「よし、なら一旦戻って……、!?まずい気づかれた!!!」

「くっ、やるしかねえか!!」


「ニンゲン、ニンゲン、ニンゲン!!!」

「コロセ、コロセ、コロセ!!!!!」

「ウバエ、ウバエ、ウバエ!!!!!」


 奴らの群れが二人のいる方向に向かっっていった……


 ====================================


 わたしはもう限界です


「てんちょー、この森、どこまで行くんですか?」

「もう少しだ。黙って歩け」

「もう私は疲れましたよー」

「いいから黙れ、ミックス。お前の中の猫族の血に笑われるぞ」


 改めて、わたしことミックスはもう限界です

 わたしは人間族と亜人族の血が混ざっているのでミックスです

 わたしの中に流れている血の猫族は亜人族の一つです

 亜人族の多くは昔、森の中で暮らしていたそうなので森の中の進行は楽だと言いたいのでしょうが

 いったい何時間歩いたら目的地に着くんですか???

 てんちょーはもう少しだ、もう少しだ、って、何回聞きましたか

 てんちょーの少しは少しじゃありません!!!


「本来はお前一人の仕事だったのに、面倒かけやがって」

 さっきから話しているこの方はわたしの雇い主のてんちょーです

 わたしはある店で働いているのですが、てんちょーはそのお店を仕切っているすごいお方なんです

 今はフードとお面を被って不気味な感じですが、本当の顔は結構かわいいんですよ

 まぁ、仕事に関してはとても厳しい方です


「早くしろ。今回はお前の手違いで店に商品が届かなかったんだから、本来ならお前ひとりで届けに行くところ、仕方なく付いてきてやったんだぞ」

「だからって付いて来てくれるならわたしに荷物ぜんぶ持たせなくてもいいじゃないですかー!!」


 手違いというのは昨日、わたしがとある商品の発注を忘れたことで朝届くはずが届かなくなかったのです。それに気づいたのは今朝の店の準備中。どうしようと迷っていると、てんちょーから呼び出され、お客様へ遅れた商品の配達を命じられました。

 ミスしたのは私が悪いのですが、配達なんて初めてで…

 急いで行先までのルートや商品の搬送準備をしていると、なんとてんちょーが付いて来てくれることになりました

「お前ひとりで対応してもらいたかったが、今回は相手のこともあるからな」

 ただし、荷物はわたし一人で運ぶようにいわれ、今に至るのです

 それにしても自業自得なのですが、この荷物、おもいぃ……


「そろそろ待ち合わせ場所だ、早くいくぞミックス。客をこれ以上またせるな」

 わたしの話を無視して先に進むてんちょー

「可憐な乙女が森の中で助けを求めているのにぃーー、颯爽(さっそう)と助ける方はいませんかぁ?」

「……………………」

「チラッ」

「知らん。何度も言わすな。早くこい」

 つれないなぁてんちょーは


「着いたぞ」

 出発から数時間、ようやく目的の場所に到着したようです

 指定された場所は森の中にしては少し開けた場所のようですが、ジメジメとして嫌な感じです

 周りを見渡すと、腐った卵のようなの臭い、骨の残骸、木を燃やした後。ここに近づくにつれ雰囲気が変わってきたと思っていましたが、これが原因のようですね


「ここですか?」

「そうみたいだな」

「なんだか臭いですよ、うぅぅ~、鼻がもげそうです」

「鼻をふさぐな。失礼だろ」

 誰に対して失礼なんですか??

 そう思いながら、わたしがてんちょーに注意を受けていると


「お前が店のものか??約束の物は持ってきたか?」

 声が…、わたしたちが来た側と反対の方向から声がしたとおもうと

 声の方向から何かが私たちに近づいてきました


「目の前の客に対してだ」

 現れたのはわたしの働くお店のお客さん

 1人というべきか、一匹というべきか、はたまた、まとめて1種類というべきか

 醜く、小賢しい者

 目の前にゴブリンが姿を見せました


 ====================================


「お待たせしました。ご注文の商品をお持ちしました」

「早く寄越せ」


 ゴブリンがものを買う

 考えられないような状況ですが、わたしたちのお店の主なお客さんはこのような人間の敵対する相手であるモンスター達なのです

「ミックス、カバンの中の商品をだせ」

「は、はい、てんちょー」

 わたしはカバンの中から大きな袋を取り出しました。

 この中にゴブリンの頼んだものが入っているのですが


 ドン!!!!!

「おい、ニンゲン、早くしろ!!何をもたもたしているんだ!!はやく渡せ!!」

「す、すいません」

「落ち着いてくださいお客さん。」


 わたしが知っている本来のゴブリンは知能が低く、新人冒険者の最初の獲物のような存在です

 自分より弱い存在を好んで襲い、小さな魔物や動物を殺して食べているそうです

 基本的には怖い存在ではないですが、繁殖力が強く、大量に集まりコミュニティを作り始めます

 コミュニティが完成されると大きな勢力となり、今までの獲物ではゴブリンは満足できず、

 村や人間を襲い始めるのです

 ニンゲンを襲い始めるころになるとコミュニティ内ではどうゆう訳かゴブリンの中から

 知性を持ったものが現れ始めるのです

 知性を持ったゴブリンは一筋縄ではいかず、簡単には倒せなくなるそうです

 このゴブリンも知性を持ったゴブリンの様なのですが、

 そのあたりの知性をもったゴブリンとは違うようにみられるのは気のせいでしょうか?


「なら、はやくしろ!金のかわりのものはこの袋に入っている」

「ありがとうございます。この度は私の店の者の不備で迷惑をかけて大変失礼しました。ここまでご足労いただきありがとうございます」

 てんちょーはわたしから商品をゴブリンの前に置いて、頭を下げ、ゴブリンから袋を受け取ろうとしましたが、ゴブリンはニタッと笑い、袋を渡そうとしません。


「おい、チビのやつ。まだ話は終わってはない」

「まだ何か?」

「これでは足りないなぁ」

「今回、注文された商品はこれだけですが」

「たりないなぁ、これだけでは今朝と同じではないか」

「……なにか付けろということですか?」

「そうだ、本来なら今朝もらうはずだったんだ。何か他にあるだろう」

「ですからお客様が指定されたこの場所まで配達させてもらいました」

「それだけではたりないと言っているのだ!」

「ですが、これ以上は……」


「ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ!!!!」

 ??、ゴブリンが吠えましたが、これは…


「今、俺の合図で俺の仲間がお前たちをねらっている」

「ここには私とお供とあなただけということでお願いしたのですが」

「うるさい!!これ以上言うとこのまま殺してしまってもいいのだぞ」

 やはり相手はあの卑怯なゴブリンでした。約束さえ守らない最低のお客さんです。このままでは…


「わかりました。そうですね……、でしたら、これしかありませんね」

 そう言って、てんちょーは腰に携えた一本の剣を抜きました

「これで、納めてもらいましょうか」

てんちょーが剣を抜くとそれを見てゴブリンが手を挙げました

「剣を抜くかニンゲン、ならば後悔させてやろう」

周りの草むらから別のゴブリンたちがわたしたちを囲むようにあらわれました


「ニンゲン、ニンゲン」「コロス、コロス」「ハヤク、ハヤク」

現れたゴブリンはつたない言葉でわたしたちを脅します

確認できるだけで5匹はいますが、他にまだかくれているかも

てんちょーがその気なら、わたしも戦わなくては…


「お客さんあわてないでください。私は戦う気はありません」

「何?」

???、てんちょー?何を言っているのんですか?

今さら相手の数を見て、許してもらおうとしているんですか?


「ミックス、そこに置いた袋から商品を取り出せ」

「は、はい。てんちょー」

「動くな亜人が。チビめ、何をするつもりだ」

わたしが持ってきた袋に近づこうとするとゴブリンが吠えました。


「俺のものに触るな。」

ゴブリンはそう言って目の前の袋から商品を取り出しました。

「ほぉ、いいもんじゃないか。

これはニンゲンたちは何と言っているんだっけか?

チビ、答えてみろ」

ゴブリンはそれを手に持ち、てんちょーをにらみます


「私たちの店ではその()()棍棒(こんぼう)と呼んでいます」






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