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料理屋の看板娘 揺れる女心3

シリアスなので、ちょっと長めでしたね。

「CMの間に、看板娘さんへ激励のお電話がじゃんじゃか、かかっております。女の生きる道を頑張って模索いたしましょう!ライフ先生お願いします」



さあて!幼馴染を解剖しましょ。


小さい時から、仲良かったの?

お兄ちゃん感覚ぅ。おっ気の毒ねえ。そいつ多分ずっと貴女の事想ってたんじゃなあい?


ほー。モテるのね。ずっと誰かかれか女の子がいたわけねー。どんな男?


あーいるいるー。

小さい頃からリーダーで、そこそこキップが良くって、男友達の方が女の子より優先で、適度にワルくて適度にヤンチャ。そのくせ情に厚くて、家族や貴女みたいな身内には、守ってやろうとする一本気。突っ走るから、失敗もするけど、非はすんなり認める竹を割った性格が周りに好かれて……

どうしたの?


あ、ああ。

そうよねーっ……

いい奴過ぎて、前世の貴方には、キツいわ……

苦しいねえー。嫉妬しちゃうわよね。そんな男の子になりたくてもなれなかった。でも、女の子の貴女サイドは、彼を拒絶できない。


その涙は、前世の貴方ね……。

それで、貴方を虐めてた奴らみたいだったら、復讐して少しは気も晴れるってもんだけどね……。

いい奴よね、そいつ。

前世を思い出すまでは、きっと貴女はそいつとどーかなっちゃうんだろうなーなんて甘〜く思ってたんじゃない?


それが、崩れた。

だって、行けなくなった学校って社会をすいすい謳歌した人と居たら、そりゃ卑屈になったり哀しくなったりするわ。わたしも覚えがある。


マイノリティーはよっぽどとんがらないと、自分を認められないのよ。


前世取り戻した看板娘は、そいで、騎士に出会っちゃったのね。

そっかあー、ある意味、騎士様は貴方にとって、逃げ道でもあったのね。


んで?

……お決まりねっ!

貴女が騙されてるって、あんな奴と一緒になったら不幸になるって、言い寄られたのねっ!幼馴染のお兄ちゃんが求愛者に変身って訳!


殺し文句は?

俺ならお前を大切にする!

俺となら、今の生活のまま、お前のそのまんまで、幸せになれる!する!


……キター!壁ドン?

先生クラクラしたわ。


そうよねえ。幼馴染くんなら、あなたの料理屋経営を支えて、かつ、守ってくれるでしょうね。ストレスフリーね。生活基盤変わらないもの。


子供背負いながら、仕入れ手伝ってる様子が目に浮かぶわあー。

昼間は野菜の配達、夜は料理屋の旦那兼用心棒、ってね!

んで、街の人気者のまんま、貴女の尻に敷かれつつ、デレデレに愛してくれそう。


ダメ?


騎士様をお慕いしている。

でも、騎士様との未来は、前世の悔いを引き摺りながら、前世を活かした自分のスキル封じながら……共に生きる事が出来るか自信がない。


幼馴染くんは、やっと掴んだ自己実現をそのまま広げてくれる。でも、前世の貴方が彼を愛する気持ちにはなれない、と。


恋と仕事。前世の貴方と看板娘の貴女。


選べないわね。


あのさ、

わたくしはね、この仕事するにあたって、いろんなもん、捨てたわよ。

酷い事も言われたし、今でも憎んでる人いると思うわ。わたくしの事大っ嫌いな人、いーっぱいいるのよ、カミソリ送られたり!


でもね、万民に愛されたり、万民に蔑まれたりすることなんか絶対ないのよ。あったら宗教よ!


人はひとりなの。

悩もうが、笑おうが、その時その時関わる人がいたとしても、全部分かり合えるなんて、無理なの。


ひとりだ、と、自覚するから、人は他人と寄り添うのよ?


さ、あなた、ホントはわたくしとお喋りして、結論出てるんじゃないの?


……ほら、


ね。


ん!わたくしも、


同じよ。


……さあ、涙拭いて。

今日もディナ開くんでしょ?

頑張って。

近々行くから。サーブもしてね?

じゃあね。元気でね。



「先生、あの?」


「……転生者じゃなきゃ、前世で悔いが残る劣等感を持ち込まなきゃ、前世で愛されてりゃ、お嬢さんは、出会いの順番で結ばれたでしょうねえー。

 でも、お嬢さんは貴方であり貴女だったのよ。2人分の人格をまとめあげて人生考えなきゃ。

まず、人の事より自分を作る事が先なの。その意味では、傲慢よね。相手を踏みにじるんだから。


そしたら、どちらも、

選んじゃダメだと、彼女は決めたの。騎士様を捨てるのはキツいでしょうね。きっと身持ちのいい子の筈よ?恋を捨てるのは引きちぎられる位辛いわ。


幼馴染くんは、まだ、向き合い切れないでしょう。引きこもり引きずってるもの。


当分は、ううん、チートな料理人として、というより、この国の人間として、自分を認める事ができるまで、


あの娘は、恋を封印すると思う。


切ない回だったわね、しんみりしちゃって、ごめんなさいね皆様」


「……そうですか。


でも、先生。ひょっとしたら、男達の方が、待つかもしれませんよ?

騎士様が、女の生き方に気付かれる日が来るかもしれません。

 看板娘さんが自信をもって幼馴染くんに正面から向かい合える日が来るかもしれません。

わたくしは、働く女として、そんな夢を見てしまいますわ」


「あんたも苦労してるのね。

 言うじゃなーい。

 そうね!

 お二人さん!この放送見てくれてたら、すこーしお考えなさいね!」


「お二人とも一歩も引かずにバトルになったらどうなるんでしょうね」


「そん時は、看板娘の前で、わんこパスタでもで、勝負するといいわ!ジェノベーゼとトマトとカルボナーラとオリーブオイル塩と、ソースを準備して、お皿にほいほいゆでパスタ入れて、何皿食べるか!勝負よ!きっと、わたくしが勝つわ!」


「……人の恋路に割って入らないで下さい。

 皆様、AM化粧品美顔クリーム悪役令嬢タイプのご応募は画面下のテロップをご参照下さい。奮って応募お願いします」


「来週も相談待ってるわー!」






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