ちびっ子魔鏡相談2 紅茶が嫌い
本日二つ目です!
「続いてのご相談者です。
本日複数の魔鏡を使用する関係上、相談者の魔鏡にミュートがかけられませんので、声とお姿をアライグマさんに変えております」
「ご機嫌ようー。えっと、男の子ね」
(ハイ。学園では2年の11歳です。宜しくお願いします)
「……貴方さっきのウサギちゃんの彼氏じゃないでしょうね」
(いえ。それは兄の方です)
「さらっと怖い事言うわね。そう。で、今日はどのような?」
(ハイ。実は私は、紅茶が苦手なのです。あの渋みがなかなか克服出来なくて。お子様なのは分かっているんですが、どうにも。何とか美味しく頂きたいと)
「あらあー。居る居る、そういう子。そのうち味覚が変わるのだけどね。……それじゃ、困るから相談したのよね?」
「はい。立場上、茶会に招かれる事も多いし、執務室でも父上と頂きますし。あの、義母上のお住まいでも頂くのです。その時にお代わりをお断りしたり、苦い顔をしたりするのは失礼です。堪えてはいるのですが、なんとも」
「……アライグマ君、なんか話し方老成してるわねー。11歳でしょ?」
(はい。私の周りも同じ様に言っております。おじいとという二つ名まであります)
「ほほほ!それに、義母上のお住まいって」
(ええ。私の父は3人の妻がおります。長兄は本妻の子なのですが病弱で療養しております。二番目の兄は義母上のお子様です。私は、いわゆる妾の子でしかも母は早世なさったのですが、父が寵愛した女性の息子だからと、父上の屋敷に住わっております)
「……どっかの王家とそっくりね……それで?嫌いな紅茶を飲む機会と、取り繕う機会が多くて困っているわけね」
(はい)
「そうねえー。ちいちゃい子には薄めて飲ませてるでしょ?あれから順にだんだん濃くしていくというのは?」
(はい。試してみました。私室ではそれで良いのですが、外ではやはり。それに、無理をするせいか、必ず体調が良くなくなるのです)
「ちょっと、どういう事?」
(はい。何だかこの頃、義母上の所から戻ると、めまいとか頭痛とか。それに、手の平に固い皮膚が出来て。主治医は、成長期の変化に対応できていないのだと。皮膚は何か植物かぶれかもしれないと、塗り薬を頂いています。まあ、熱が出るわけでもないので、学園も政務も休んではおりませんが、時折どうにも辛くて寝室でやり過ごす日もあります)
「めまい。手の平の出来物……あのさ、お食事はどうやって食べてるの?誰と?」
(父上がお手隙の日は父とです。それ以外の日は、殆ど自分1人です)
「食器は?今流行りのマイセン?」
(いえ。給仕が常に銀食器を)
「そう。ではお茶の時なのよね……茶会は磁器ですものね……」
(あの?)
「お茶ポットは皆さんと同じ?サーブは女主人か侍女がしてるのよね?」
(はい。皆様と同じ茶葉の同じポットから頂いています)
「お茶にはお砂糖入れるの?」
(何せ私には苦いですからね。必ず。ミルクの時にも入れます。あ、流行りのコンフィチュールを入れるときもあります)
「流石オシャレね!ロシアンな感じね!……で?その時お砂糖壺は皆様と同じ?」
(そうですね……父上は入れませんし、義母上の所では、私の前に置かれていますのでそれを。コンフィチュールもサーブされておりますのでそちらを)
「兄上、とか、ほかのお子様がたも?」
(ご自宅ですから、家のものをお使いになります。私には私専用の器を出して下さっています)
「……じ、自分の部屋のは?お父様と一緒にお住まいなら、王、っと、お屋敷の侍女がセットしてるのよね?」
(はい。まあ、先程もお伝えしましたが、お茶に甘いものを混ぜるのは、館では私だけです。父はなさいません。あ、それと)
「何?」
(私室では、この茶葉は素直な味だからと、義母上から頂いたものを使っております。苦手克服にわざわざ私だけのために飲ませて下さるなんて、お優しい事です。先日、それでも苦くて、出来心で水槽に流したら、金魚がぷっかり浮いてしまって。殺生をしてしまいました)
「アライグマ君」
(何でしょう)
「貴方、お子様の割に腹黒いわね。聖女騒動を利用したわね」
(私は兄の様なお花畑を頭に作ってないですからね。ああ、父上と近衛兵が到着しました。証拠物件はこちらです。父上の政務室の砂糖壺も押収して下さい。
先生ありがとう。お茶は苦いですが、これからは安心して頂けると思います)
「………」
「………ライフ先生……。」
「まんまとやられたわね」
「明日の朝刊が楽しみでもあり、不安でもありますね…。
え、と、視聴者の皆様、この番組は生放送でお送りしております。そして、是非とも!政治的利用はお控えいただき!ざまあは他所で決行されますようご配慮下さい!
あなたの、とおーっても個人的なご相談を!切にお待ちしております。
―せんせ?ライフ先生?あっ、また血圧が?大変お医者様っ!
そ、それでは皆さままた来週!
ご機嫌ようーっ」
銀食器は硫黄で変質します。ヒ素化合物対策ですね!
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