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辺境の母 娘が男爵令嬢です2

「それでは、皆様、辺境に住む今は農婦の方からのご相談。

 娘さんをこのまま貴族の男に託してよいか、という旨です。先生」


そうねえー。

 娘さんはお勉強は?……そう。貴女は聡明そうなのにねえ。お洒落と男の子とのお喋りが好きで、家の手伝いも余りしなかった、と。


まあ綺麗だし?可憐だし。外見は。


じゃあ、貴女は?恋人とかはいないの?……ふうん、貴女のお婆様の介護で手一杯。働き者なのね。ご近所は?そう、親切な善良な人達で良かったわね。


うん。

きつい事言うけど、ごめんなさいね?


貴女が反対しようと娘さんの意向がどうであろうと、向こうへ行くわ。後継が居ないなら、男爵にとって家を絶やさないためには、必要なの。娘さんは。


そうねえー、爵位を継げる婿をあてがうか、お家を盛り立ててくれる高位貴族の子息をたらし込ませるか。

或いは、王都で大店の商会の子息とかねー。貴女の若さだったらお相手の男爵もまだまだお盛んな歳じゃなあい?

要は、利権をくれる家を釣り上げる餌なのよ。


だから、どんな汚い手を使っても、娘さんを自分の娘にするでしょうね。


それでね。

貴女、もう、娘さんは死んだものと考えた方がいいと思うわ。


その子、帰る気ないわ。


農村でそれだけ垢抜けるには、結構(たら)しこんででるんじゃない?そうよ、男よ。


ごめんなさいね。キツイけど、貴女とは違うのよ。娘さんは。


可愛くて男の気持ちをアゲてくれて、そんな男の子達にチヤホヤされるのが大好き。田舎の仕事なんか自分には似合わない。ましてや、田舎の男だって。


いつか、私には、この容貌に相応しい人が迎えに来て、贅沢で素晴らしい世界へ連れて行ってくれる。自分には、そう、王子様がお似合い。


煌びやかな御殿で、華麗なドレスを身に(まと)い、周りから褒めそやされ、美しい貴族の男性と踊る。羨望の眼差しを一身に浴びて。


そんな事、夢見ているんじゃないの?

夢が現実になるんですもの!


……学園では、上手くやると思うわ。選び放題の子息を手玉に取る事が出来ると思う。その写真見ただけでも、王都でも頭ひとつ出てるわよ、その子。

それで磨きをかけたら、そりゃもう恐ろしい位。


それで、いい人と結ばれたら、それでいいじゃない。お相手の暮らしに合わせて生きていくわよ。


貴女との暮らしを顧みる事なく。

そう。

男爵令嬢になった段階で、その子は実家を捨てるわ。自分の為に。


泣かないで。

貴女も薄々感じていたんでしょ?


ただねえ。ノーマルエンドならいいのよ。

問題は、ハーレム作っちゃう場合。

それと王子様ルートを選んじゃった場合よ!


天然の男たらしで、例えば騎士団長子息とか宰相子息とか枢機卿の養子とか、複数の男をメロメロにしちゃったら!

高位貴族の子息は婚約者が定まっているわ。そのお相手のお家が、どんな手を使って、彼女を排除するか分かったもんじゃないわよ。

例えば、病ピー、毒ピー、ピーピーピーピー


「視聴者の皆様、放送倫理及び忖度の為、お聴き苦しい箇所がございました事、お詫びします。

 ライフ先生、続けて下さい」


……とにかく、男爵家の小娘なんか、指でひねるようなもんよ。

だからね、学園ではヒロインでも、成人すれば、余程腹黒く立ち回らなきゃ潰されるって事。


腹黒い?……としたら、弱みを握ってゆすりタカリで渡り合えるかも知れないわねえ。……恐ろしい子。


王子狙いの場合、ハッピーもありよ?王子の権限で庇護する事ができるかも。愛妾、上手くやったら側室に玉の輿かも!


でね、ここ大事。

決して妃なんて望まさせないでよ?


そんな針の穴にスリコギぶっこむ様な無茶苦茶したら、王子が廃嫡されちゃう!困るわあー。王家のバランス悪くなっちゃう!

王子だって、廃嫡されたら子種をピーピーピーピー……


「先生。」


分かったわよ。

そう言う訳で、欲を張れば全てを失うわ。

程々の男と添い遂げる様に慎ましく出来たら、それでいいのよ。


無理?

……やっぱり?

あの強欲な子が一度覚えた贅沢を捨てる筈がない?

上昇志向強いわねえー。


だったら、貴女にできることは、娘さんを忘れる事よ。


娘さんがもし、そのまま貴女と暮らしていても、いつか駆け落ちかなんかで、貴女を捨てたでしょうね。

近い将来か、今か、の違いよ。

半分貴女を捨てた男の血が入っているのよ、その子には。


それよりね。

わたくしは貴女に幸せになって欲しいわ。

まだ30になったばかりくらいじゃない。お子さんだって望めるわよ。

申し訳ないけど、いつかはお婆様だって神の身許に旅立たれるの。


気になる男性はいないの?


今まで辛かったわね。頑張ってきたわね。そんな田舎でコツコツ農作してお婆様をお世話して。横紙破っちゃいそうな男もいたでしょう。その美貌だと。

なのに、細腕で娘さん育てて。


いいこと?

娘さんはね、男にぶら下がらないと生きていけないタイプよ。自分のことしか考えられない女よ。貴女の幸せなんか、考えようとはしないわ!

下手すると、平民上がりを握り潰す為に、貴女を……排除するかもよ。


ううん!育て方じゃないわよ

血筋でしょ?お相手の!

そう思って、綺麗さっぱり忘れて頂戴。


そして、心寄せる男性と出会ったら、ご自分の人生、もう一度考えることね。


泣かないで。

幸せを見つけるのよ。


じゃあね。


「……先生。相談者はご納得されたでしょうか」

「するしかないわ。娘は出て行く。戻らない。あなたも魔鏡見たでしょ?あのタイプはあざとさ満点だもの。んで、相談者見たでしょ?」

「清楚な方でしたね」

「お綺麗よお!生き方がにじみ出てるわよ!どんな田舎だか分からないけど、わたくしだったら放って置かないわね!」


「……如何でしたか視聴者の皆様。

 人として生き方は顔に出る。顔は女の履歴書。その様言葉が浮かぶのは私だけではないと思います。

相談者様の幸せと、娘さんの企みが成功される事を願って、本日は閉じたいと思います。

先生。ありがとうございました」


「皆様!またねー♡」







まだ続けます

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