最終章 突撃!創立記念日 断罪その2
変則断罪
なんで男ばっかりという気持ちから
お楽しみあれー
「ライフ先生ー
ここで皆様に人物関係図で関係者様の説明をいたします」
(まあーっ、そんなフリップいつの間にー)
「ADさん仕事速いです。
ホール中央左にいらっしゃる第2王子のアーヴィング殿下15歳と、向かい合っている同学年のエイダ公爵令嬢とが婚約関係にある訳です。
殿下は先日紅茶事件でご病気にかかられた側妃殿下のお子様であらせられます」
「紅茶事件で一躍表舞台に出られたのが、第3王子のイザヤ殿下。今、エイダ嬢のお隣に、何故か背のお高いエイダ嬢に庇われてうるうるされております。
お亡くなりになったご母堂様の身分が低くまだ11歳ということから、軽んぜられていらした傾向にあったのですが」
「ライフ先生を上手く利用されて、公然と薬物投与疑惑をふっかける機転と胆力で、侮れない存在となりました」
「御本人は、今でも、紅茶嫌いの相談で他意はないとの主張です」
「腹黒いですね!弱冠11歳で」
「ミートちゃん、失言は首チョンパに近づきますわ」
「あっ、ここオフレコで!
……で、エイダ嬢イザヤ殿下のお隣でアーヴィング殿下を睨んでいらっしゃるビアンカ嬢とシンディ嬢は、エイダ嬢の幼なじみであらせられます。
ビアンカ嬢は同じく15歳。シンディ嬢はイザヤ殿下と同年の11歳です」
「剣の女傑ビアンカ、麗しの頭脳シンディと、学内では称されるご令嬢です」
「本日の第2王子と第3王子の争いとは?ライフ先生」
(やっぱり紅茶事件らしいわ。納得いかない第2王子が第3王子にいちゃもん付けて、第3王子は負けてなかったみたい。で、思わず手を上げたようとした殿下を止めたのが、剣の女傑。そこから、御三方が第3王子のお味方になったようよ)
「成程。
兄弟喧嘩に三人娘が参入。
そして今、婚約破棄へと事は進んでいるという訳ですね。
では会場のライフ先生にお渡ししまーす!殿下やご令嬢のお声、集音マイクでしっかり拾って下さいね!」
――ここより皆様には、会場マイクは「」、わたくし達の音声は『』、ライフ先生のマイクは()でお送りします。――
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「何ゆえ、イザヤへの糾弾がお前との婚約破棄にすり変わるんだ?」
「わたくしの配偶者として相応しくないからですわ」
「どこがだ!」
「イザヤ殿下を苛めたではありませんか。」
「何が!」
「あら、ご自分の母は隣国の公女。お前なぞ庶民の出自。子種が尊いからといっても、胎がそれでは、と自慢げに」
「だから、イザヤと俺の諍いが何故婚約破棄になると言うのだ!」
(まってえ!待って!殿下、エイダ嬢!
あなたがたここを何だと思ってらっしゃるの?創立記念日祝賀パーティは、老若男女、上は王族から下は平民までいらっしゃる満座の、しかも!ま、魔鏡や新聞記者が許されているのよ?せ、せめて控え室でなさっては。)
『……あー、ライフ先生、常識的ですねー。水差さないでほしいなあー。折角の特番なんで、ざあんねん』
『いえ、貴女も随分、残念なキャラだと思いますけど……ま、言質をとって置かないと、コンプライアンスに抵触しますから』
「ライフ殿、何を言う!
このアーヴィング、天地天明に誓って後暗い事なぞ何一つない!女狐の陰謀を暴き、世間にこいつらの腐った性根を見せつけてくれるわ!」
『あ、やっぱりライフ先生のアドバイスに聞く耳ありませんわね。良かった良かった』
『ミートちゃん、お言葉…』
「ほほ。国王陛下やお父様達では、丸め込まれてしまいますもの。ここでこの男に愛想が尽きたことを天下に知らしめて差し上げますわ」
『うわあ、公爵令嬢までOK出しましたねーここまで言われても殿下は令嬢との婚約継続望んでいらっしゃるのでしょうかー』
『美貌才気、天下一と言われる令嬢ですからね。妃として傍に置くには最適ですもの』
『では皆様。言質も取れましたので、ごゆっくりと修羅場をご覧下さい。モザイク、ピー音、忖度なしでお送りできます』
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「貴方では、わたくしの夫は務まりません。貴方のこだわっていらっしゃる血筋も、能力も、国王になられる方にこそわたくしの夫は相応しいかと」
「だから、俺だろう!
兄のウィリアムはひ弱。イザヤは卑しい出、俺しか王太子いや!この国の王になる者はいないであろうが!」
「ふん。ウィリアム様もイザヤ様も、おかしな紅茶でひ弱におなりになったようですわね」
「うっ……」
「エイダお姉様……わたしのせいでごめんなさい。
わたしは、兄上にいじめられ慣れているから。もう紅茶も取り払われたし、だいじょうぶですから……」
「ああ!イザヤ殿下、何と健気!
なんていじらしい!
こんなお可愛らしいイザヤ殿下をお独りにはいたしませんわ!」
「そうですわ!イザヤ殿下の教科書をビリビリに破り捨てたとか!」
「シンディ嬢、俺じゃない!」
「教科書のないイザヤ殿下は、すらすらと模範解答を暗唱なさったのですわ!逆境に負けない素晴らしいお方!わたくし殿下と共に研鑽して行きますわ!」
「それに剣術のお稽古では、お相手が何故かうっかり真剣であったとか?安全確認を怠らない学園の授業で、何故か」
「ビアンカまで!俺じゃないっ!」
「それでもイザヤ殿下は、模擬剣で真剣を刃こぼれさせる力技で凌いだ。服は裂けたがその肌には傷1つなかった。このビアンカ、その身軽さと剣筋の美しさに、胸を撃たれました……」
「そんな……ビアンカ嬢の強さ、しなやかさには憧れます。私などまだまだ♡」
「うっ!その目線、と、尊いっ」
「おまけに茶会では飲み物を頭からかけたのでしたわね?アーヴィング殿下?なんとイザヤ殿下に」
「う……私がいけなかったのです。兄上と身長の違いを考えずに振り向いてしまって」
「そうだ!事故だ!いや、イザヤが悪い!」
「はい、それは勿論。ですが、ワインは真っ赤で……白のジャケットが染まってしまって……兄上はケタケタと、それは落ちないだろうな!と嘲笑われて。ぐすっ」
「男が服ごときで泣くか?女々しい奴だ」
「アーヴィング殿下?」
「何だ」
「あの時のイザヤ殿下のお衣装は、お父様……父君のお譲りですのよ?しかも、先の王太后、そして現王太后殿下が養われ紡がれた王家の蚕からの絹ですわ。唯一無二の上着でしたのよ?国宝モノをあなたは汚したのです!」
「な、なんと!」
「ぐす……だから私は懸命に落としましたが、兄上のおっしゃる通り、落ちませんでした……おばあ様に兄上の持っていらしたワインですと、泣いてご説明し、逆に抱いていただきました」
「お前!お、俺のせいにした挙句、チクったのかあっ!」
「何言ってますの?
確かに、あなたが持っていたグラスではありませんか!しかも詫びもせず!
わたくし妃教育の際に王妃殿下にも同じ事をご説明申し上げてイザヤ殿下に情状酌量頂くようお願いしましたもの!」
「な、なんとお優しいエイダお姉様。わたしは、……幸せものです」
「ああっ、イザヤ殿下っ!良いのです、あなたは幸福になって良いのです!このエイダ、貴方様の臣下としてお守り致しますわ!」
「エイダ様っ、わたくしもです!」
「わたくしもっ!あー、キュンキュン致しますー」
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(ふお)
『ライフ先生、何ですか?』
(紅茶殿下、大きな目に涙を浮かべてうるうるしてんの。つぶらな瞳でご令嬢がたを見つめて。
……相談の時とは別人よ!)
『年上女性のウケ狙いですね!腹黒全開ですね!』
『ミートちゃん、お言葉…』
(悔しいけど、わたくしも賛同ね。あざといわ〜
で、只今第2王子劣勢ね
紅茶王子、圧勝かしら、
あら?ドタドタとはしたなくも走り寄る人影が……
「エイダさん!
アーヴィングは、あーくんは、何も悪くないっ!分かって!」
(皆様、なんかさっきのうさぎちゃんを色気足して大きくしたようなお嬢ちゃんが登場しました……)
『ここで一旦CMですう』
王子はアーヴィング、イザヤ
、ウィリアム
あ、い、う
令嬢はエイダ、ビアンカ、シンディ
ABCねー。
前作 断罪の時間です!とは世界は違いますよー