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本条都九子は魔導書をつくる  作者: 筧伊瀬
グリモアツクール編
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08.第二回☆教えてジュエルさま~我が髪はなぜ白し~

「ジュエル、アナタ、人間化できたの?」

『思念変化のいっしゅです。ツッコのかみのいろがきれいだったので、まね、してみました』

「銀髪だぁ! 似合うー」


 キャッキャとジュエルと戯れる私は、いたく感動して感じ入っている風のセンさんを放置することにした。

 ちびジュエルの白い肌だとかぷにぷにのほっぺだとか、肩までの白い髪だとかをくりくりうりうりと堪能……そうだ、白い髪!


「ねえ、ジュエル。私、聞きたいことがあるんだけどさ!」

『なんでしょう』

「ジュエルが前に会ったっていう異世界のひとって、髪の毛が変な色だったり、した?」

『かみのけ?』


 きょとん、と首を傾げるジュエル。

 お、かわいいぞ。これは良いマスコットキャラだ。


「それがね、わたし、髪の毛、さっきまでは黒かったんだけど」

『くろ? あなたのかみは、わたしにはしろくみえる』

「いや、ついさっきまで黒かったの。でも、異世界? に来たとき、だと思うんだけど、白くなっちゃってて。みんなこうなのかなーって」


 これが浦島太郎みたいに玉手箱を開けたらおじいちゃんになっちゃった! っていう展開だったらシャレにならないが、少なくとも私の顔や手足はしわくちゃじゃない。髪の毛だけ時間が進んだんだと言われたらぐうの音もでないが、とりあえず色が変わったと考えるのが妥当だろう。


 漫画の世界だってゲームの世界だって同人誌の世界だって、異世界にトリップしたら異能が手に入りましたっていうのは定番の展開だ。だったら、髪の毛の色が変わるのはこの世界ではデフォルトなのかもしれない。

 私の問いに、ジュエルはまたきょとんと首を傾げ、


『わたしには、あなたがなにをいっているのかわからない』

「え? 分からない? ええと、つまり、ジュエルが会った……見た? っていう異世界の人間は、髪の毛の色が白かったり、あとは目の色が変だったりしなかった?」

『わたしがみた異世界のにんげんであれば、かみのいろはくろ、めのいろもくろ。きみょうなみなりであるいがい、かわったところはありませんでした』


 まじか。


「うーん。じゃあ、なんでわたしの髪の毛、色変わってるんだろ。浦島太郎説が妥当かな。やだなー」

『むかし、べつのユニコーンなかまにきいたことがありますが、つよいまりょくをもったにんげんが世界をわたると、まれにとつぜんへんいがおこるそうです』


 え、それほんと?


『わたしも、きいたはなしで、真偽のほどはわかりません。ただ、わたしにはにんげんの友がひとりだけいますが、アレもかみのいろはしろく、まりょくもとてもつよかった。もしかしたら世界をわたるとそうなるのかもしれません』

「アンビリィバボォ……」


 ジュエルの言うことが正しいのであれば、私は魔力が強く、そのせいで突然変異を起こして髪の毛が白くなってしまったらしい。

 そんなご都合主義展開あっていいのだろうか。

 ちかごろ異世界トリップモノがあふれ返って完全に飽和状態なのに、そんな適当さで他のと差別化できるのか? ってなにを言ってるんだ私は。これは私の身に起こってるマジの本気の現実なんだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!


『いいじゃないですか、ツッコのかみ、わたし、すきです。いいにおいです』

「んー、ジュエルがそういうなら、なんかそれでいいのかなぁ」


 現実的に考えて、また染めるのは髪にもよくないし、めんどくさいしね。

 私は早々に深く考えることを放棄して、センさんはいつトリップ状態から戻ってくるかなーとかおなかすいたなーとか考えていた。


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