第4話 状況把握
レイは竜を持っていきやがった子供の容姿を心の中に焼き付けて、現状の把握を始める。
「本当に殆ど持っていかれたな……肉すら殆ど無いじゃないか」
唯一その場に残されていたのは土の上に放り投げられた少しの肉片のみであった。
「にしても、どうやって持っていったんだろ?」
レイが倒した竜の全長はおよそ3m程もある。
大きなリュックを持っている訳でもないあの子供が1人で全てを持っていくのは無理があるというものだ。
しかし、ここでレイはあるスキルの存在を思い出す。
「『アイテムボックス』……?」
それは、自身も持っているスキルであった。
確かにこのスキルなら持っていく事も可能かもしれない、とレイは考えた。
「 ……『アイテムボックス』!」
試しにスキルを発動させてみると、レイの目の前の空間が歪み、黒い穴が生じる。
「へえー、こんな感じなんだ。おっ、何か入ってる」
レイはその穴に躊躇無く手を突っ込むと、何かがアイテムボックスの中に入れられていることに気づく。
何が入っているのか、もしや自身についての何かが入っているのではないか、と淡い期待を抱きながら中身を引っ張り出す。
「……剣、が2本?」
そこから出てきたのは、対になると思われる両刃の黒い剣と白い剣であった。
まさか二振りの剣が出てくるとは考えもしなかったため、レイはその剣を前に少し固まってしまう。
「でも、なんだか……」
───見たことが、ある?
レイは二振りの剣に手を伸ばし、右で白の剣を、 左で黒の剣を抜き取り、手に取る。
それは、まるで何十年も使ってきたかのように掌へと吸い付いてくる。
その感触が伝えてくるのは、この剣が自分の愛剣であったという確信。
装飾も何も無いただの白と黒の剣だが、不思議とレイは強い愛着が沸いてくるのを感じた。
「……うん」
レイは一つ頷くと、その二振りの剣にスキルを発動させる。
「『鑑定』!」
レイの目の前にその結果が表示される。
▽▽▽
ソラス 品質S
白く輝く光の剣。
魔力を込めることで聖属性を纏うことができる。
※封印
スレイヴ 品質S
漆黒に塗り潰されし剣。
魔力を込めることで闇属性を纏うことができる。
※封印
△△△
「封印、ね。 いつか解いてみせるからね、ソラス、スレイヴ」
レイは剣に語りかけると、まるで宝物を扱うかのように鞘に戻し左右の腰へと下げる。
「よしっ」
レイは気合を入れるかのように声を出し、顔を両手でぱしんっ と叩き、次の行動へ移ろうとスキルを発動させる。
「『地形把握』!」
──が。
「うそでしょ……」
その反応によって分かったことは、延々と森が続いているという事実だけであった。
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レイ (人間)
Lv 42
HP 1500/1500
MP 12/1410
ATK 1510
VIT 1371
DEF 1392
INT 1490
AGL 1533
DEX 1992
MND 1416
LUK 142
〈ユニークスキル〉
「*族 Lv-」 「地形把握 Lv2↑」 「空の王者 Lv1」 「空間魔法 Lv1」「アイテムボックス Lv1」 「経験値倍増 Lv-」 「翼 Lv1」 「**武具召喚 Lv1」
〈パッシブスキル〉
「暗視 Lv-」 「剣術 Lv1」 「槍術 Lv3」 「全耐性 Lv1」 「危機感知 Lv1」
〈スキル〉
「原始魔法 Lv1」 「威圧 Lv1」 「鑑定 Lv1」
〈称号〉
「試練を受けし者」 「神槍の担い手」 「竜を討伐せし者」
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地形把握 Lv2……自分が存在する半径10km圏内の地形を把握する事ができる。