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終わり
前回の続き
彼の寝顔を見ながら、
寝息を聞きながら、
たまにうとうとしてたら。
朝になった。
私は、家へ帰らなくては行けない。
彼は、まだ夢の中。
名残惜しさを感じながらも、
まだ人気のない道で、
寝ぼけまなこの彼は、
タクシーを探してくれている。
「じゃあ。気を付けてね」
手を振り、彼と別れる。
余韻に浸りながら帰り着いたら、
夫が待ち構えていた。
何度も着信が入っていたことに、その時気付いた。
「友達の家に泊めてもらってたの。電車がなかなか来なくて。ごめん」
夫とは、ずっと前から家庭内別居状態。
だから淋しくて、彼に気持ちを寄せていた。
だけど、その彼は、
私が、次の約束の日に会えなくなったことを知った途端、
他の人と会う約束をしていた。
ショックのあまり、
私は彼と会うのをやめた。
それ以来、彼から連絡が来なくなった。
誰からも愛されない私。
その淋しさを埋めるために、
また出会いを探すのかな。
彼は、その後、遠方へ転勤しました。
また会える日が来るんじゃないかと、
馬鹿な私は、いまだに淡い期待を抱いています。