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9・白竜ネイビーちゃん


勇者、聖女、忍者+魔法の竹ボウキ君の魔物討伐おおそうじの旅は順風満帆に進む。

魔物に苦しめられていた町や村の人々は大喜びで私達に感謝してくれた。


正直夜営続きの旅は13歳の女の子には色々と大変不便(トイレとか行水とかあの日とか)だったけど、大勢の人の感謝の笑顔を見るとよーし!と頑張れた。

あ、でも不衛生な町や村はしっかりお掃除の指導をさせて頂きました!前世の知識でマラリアとか感染病の初期対策は重要だからね!衛生第一だよ!!


森や草原で倒した魔物も魔法の竹ボウキ君で燃やして穴を掘ってもらって埋めて回る。

実は魔物の死肉は闇に汚染されていて野生動物も食べないんだ。

朽ちて淘汰されるまでずっと放置される。不衛生だよね。



「聖女さんはどうして魔物も丁寧に弔うの?そいつらは人の敵でしょう?」



廃棄物処理中の私に忍者ベリル君が聞いてきた。

うーん。細菌感染とか説明しても通じないよね?


「どのような罪を犯した生き物であっても、私はその骸には安らぎがあっても良いと思うのです。」


魔物も食べ物も腐ったら同じ腐臭物だよ?滅菌だ!抹消だ!


「ねえ、それは例えば....魔王でも?」


「魔王さんはチリになって消えてしまわれるので弔えませんが。ではそのチリを集めて海に流しましょう。」


地面に埋めたら掃き掃除の時に気になって仕方ないわ。

うん。確か魔王城の横、海だったし。


《.....聖女どのは変わってる、な。》


ありゃま!魔法の竹ボウキ君にも実家の家族と同じ事言われちゃったよ!



でもそんな順調な旅でうっかり調子に乗って油断してたんだ。


私はある日、魔法の竹ボウキ君から手を放したほんの一瞬の隙にびゅんと飛んで来た白い竜に攫われた。


白い竜に連れ攫われ、辿り着いた先は大きくて綺麗な湖の傍の洞窟。

白い竜はそこで人型に変化した。なんと!白金色の髪の女の子だ。

頭に角がにょんと生えてて金色の大きなお目々。


「お前が噂の聖女とやらか!わしは偉大なる白竜のネイビアンじゃ!!控えおろう!.....と、ん?何しとんのじゃ??」


いや、だってこの洞窟生ゴミだらけだよ!臭いし散らかってるし汚ったないよ?よく住んでいられるね、ネイビーちゃん。


「む?なんじゃ生意気な小娘じゃな!わしを馬鹿にしておるのか!?」


お・そ・う・じ・す・る・の!!!


「え?あ、はい。」


ちゃんと手伝ったら美味しいご飯作ってあげるよ。

材料はあるみたいだし、忍者ベリル君直伝の夜営バージョン激辛激貧スープ!!


「ホントか!!よし。何すればいいんじゃ!?」


私とネイビーちゃんは小1時間かけて彼女の巣をピカピカにお掃除した。魔法の竹ボウキ君はなかったけど、回復魔法の清浄魔法で殺菌出来たし、ネイビーちゃんが炎のブレスで溜まったゴミは洞窟の外で燃やして片付けた。

そして約束通り美味しい激辛激貧スープを作って二人でモリモリフーフー食べた。

最初は文字通り口からブレスを噴いていたネイビーちゃんだが、段々その旨辛にハマっていって顔を真っ赤っかにしておかわりをした。

うん。旨辛最高だね!


あれ?私何でここにいてご飯作ってるんだっけ?




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